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2025シーズンプレビュー:NY Liberty

ニューヨーク・リバティ 2025年シーズンプレビュー:女王は連覇へ視界良好

28年の長い道のりを経て、ついにWNBAの頂点に立ったニューヨーク・リバティ。2024年シーズンの熱狂と感動を胸に、ディフェンディングチャンピオンとして迎える2025年シーズンは、フランチャイズ史上初の連覇という新たな歴史を刻むための挑戦の始まりです。ブリアナ・スチュワート、ジョンケル・ジョーンズ、サブリナ・ヨネスクというリーグ最強のビッグ3を擁し、オフシーズンには的確な戦力補強も敢行。リバティは、WNBAの新たな盟主として、その圧倒的な力を見せつける準備ができています。

2024年シーズンの輝かしい軌跡:初の栄冠へ

2024年シーズン、ニューヨーク・リバティはレギュラーシーズンを32勝8敗という圧倒的な成績で終え、イースタン・カンファレンスの第1シードを獲得しました。プレーオフでもその勢いは止まらず、ライバルたちを次々と撃破。そして迎えたWNBAファイナルでは、ウェスタン・カンファレンスの強豪ミネソタ・リンクスとの激闘を制し、フランチャイズ史上初となるWNBAチャンピオンの栄光に輝きました。チームのインサイドの要であるセンターのジョンケル・ジョーンズは、ファイナルを通して圧巻のパフォーマンスを見せ、ファイナルMVPを受賞。彼女の活躍は、リバティの歴史的なシーズンを象徴するものでした。

チームの動向:退団選手と新戦力

王者リバティも、オフシーズンにはいくつかの選手の動きがありました。

退団選手

  • ケイラ・ソーントン:フォワードのソーントンは、2024年12月に行われたエクスパンションドラフトで、新たにWNBAに参入するゴールデンステート・ヴァルキリーズから指名を受け移籍しました。彼女の3ポイントシュートとディフェンスは、リバティの重要な要素でした。
  • ベトニージャ・レイニー=ハミルトン:オールスターガードであり、ディフェンスのスペシャリストであるレイニー=ハミルトンは、残念ながら2025年2月に発表された膝の手術(前十字靭帯断裂からの回復と半月板の修復)のため、2025年シーズンを全休することになりました。彼女の離脱はチームにとって大きな痛手となります。

新加入・再契約選手

一方で、リバティは的確な補強で戦力維持と向上を図っています。

  • ナターシャ・クラウド:ワシントン・ミスティックスからトレードで獲得した経験豊富なオールスターガード。リーグ屈指のディフェンダーであり、アシスト能力にも長けています。彼女の加入は、レイニー=ハミルトンの離脱を補い、バックコートに新たなダイナミズムをもたらすでしょう。クラウドは2019年にミスティックスでWNBAチャンピオンを経験しており、その勝者のメンタリティもチームにプラスとなります。
  • マリーン・ヨハネス:フランス代表としての活動(パリオリンピック準備)のため2024年シーズンを全休していたクリエイティブなガード、ヨハネスがチームと再契約を果たしました。彼女の予測不可能なパスやシュートは、リバティのオフェンスにさらなる厚みと意外性をもたらします。「フレンチ・アサシン」の異名を持つ彼女の復帰は、ファンにとっても待望のニュースです。
  • レベッカ・ガードナー:コネチカット・サンなどでプレー経験のあるベテランガード/フォワード。ディフェンスでの貢献と3ポイントシュートが期待されます。フリーエージェントで契約し、チームの層を厚くします。
  • (その他、フリーエージェント契約選手、ドラフト指名選手など):リバティは2025年のWNBAドラフトでは指名権を持っていませんでしたが、トレーニングキャンプ契約で有望な若手選手や経験豊富なベテラン選手を数名招待しています。その中からロスターに残る選手が出てくるか注目されます。例えば、センターのハナ・ジャンプは3ポイントシュートを得意とし、リバティのプレースタイルにフィットする可能性を秘めています。また、経験豊富なフォワードのステファニー・ドットソンもキャンプに参加し、インサイドの層を厚くすることが期待されます。

2025年シーズンプレビュー:連覇への鍵はどこにあるのか

28年の歴史で初めてWNBAの頂点に立ったニューヨーク・リバティ。2024年シーズンの栄光を胸に、2025年シーズンはディフェンディングチャンピオンとして連覇を目指します。ブリアナ・スチュワート、ジョンケル・ジョーンズ、サブリナ・ヨネスクという強力なビッグ3を擁し、オフシーズンにはさらなる戦力補強も敢行。リーグの盟主として、その強さを見せつけるシーズンとなるでしょう。

注目選手:リバティを牽引するスターたち

  • ブリアナ・スチュワート (F):現役最高の選手の一人と称され、2023年のWNBA MVPに輝いたスチュワート。2024年シーズンもその実力を遺憾なく発揮し、チームをチャンピオンシップ獲得へと導きました。得点、リバウンド、アシスト、ディフェンスと全てにおいてハイレベルなパフォーマンスを見せ、コート内外でのリーダーシップもチームにとって不可欠な存在です。2025年3月に膝の関節鏡視下手術(左膝半月板修復)を受けましたが、回復は順調でシーズン開幕には間に合う見込みです。再びMVP級の活躍でチームを牽引することが期待されています。彼女のプレータイムやコンディション管理は、長いシーズンを戦い抜く上で重要なポイントとなるでしょう。
  • ジョンケル・ジョーンズ (C/F):2024年のファイナルMVPに輝いたジョーンズは、リバティのインサイドにおける絶対的な柱です。圧倒的なリバウンド力と効率的な得点能力を誇り、スチュワートとのフロントコートコンビはリーグ最強との呼び声も高いです。ミッドレンジジャンパーや3ポイントシュートも打てるため、相手ディフェンスにとっては非常に守りにくい存在です。彼女の安定したパフォーマンスが、リバティの連覇への大きな鍵を握ります。
  • サブリナ・ヨネスク (G):リーグ屈指のシャープシューターであり、卓越したゲームメイク能力も兼ね備えたオールスターガード。彼女のディープスリーは相手チームにとって常に大きな脅威であり、正確なパスでアシストも量産します。2024年シーズンもトリプルダブルを記録するなど、オールラウンドな活躍を見せました。2025年シーズンは、リーダーシップの面でもさらなる成長を遂げ、MVPレースに本格的に絡んでくるような飛躍が期待されています。
  • ナターシャ・クラウド (G):新加入のクラウドは、経験豊富なオールスターガードであり、特にディフェンス面での貢献が大きく期待されます。ワシントン・ミスティックスでは不動のスターターとして活躍し、リーグトップクラスのペリメーターディフェンダーとして知られています。彼女のタフなディフェンスと高いバスケットボールIQ、そしてコート上でのリーダーシップは、レイニー=ハミルトン不在のチームディフェンスを支え、ヨネスクと共にWNBAで最もダイナミックなバックコートの一つを形成するでしょう。
  • マリーン・ヨハネス (G):1年ぶりにチームに復帰する「マジシャン」。彼女の創造性あふれるプレースタイルと、どこからでも打てるシュートレンジは、リバティのオフェンスに予測不可能な要素を加えます。ベンチからの起爆剤として、また重要な局面でのクラッチプレーヤーとしての役割が期待されます。ブロンデロHCも彼女のユニークな才能を高く評価しており、チーム戦術に柔軟性をもたらす存在です。

その他、2024年のプレーオフで存在感を増した若手フォワードのレオニー・フィビッチや、インサイドで成長著しいナイアラ・サバリーのさらなるステップアップも楽しみです。特にフィビッチは、ドイツ代表としても活躍しており、そのシュート力とオールラウンドな能力は、レイニー=ハミルトンとソーントンの役割の一部を担う上で重要になります。サバリーもフィジカルの強さを活かしたリバウンドとインサイドでのフィニッシュで、ジョーンズのバックアップとして貴重な戦力となるでしょう。

戦術分析:ブロンデロHCの手腕とチームケミストリー

チームの指揮を執るのは、WNBA屈指の名将サンディ・ブロンデロHCです。彼女は2024年にチームをチャンピオンに導いた手腕を再び発揮し、連覇という困難なタスクに挑みます。ブロンデロHCの戦術は、スチュワート、ジョーンズ、ヨネスクのビッグ3の能力を最大限に活かすオフェンスシステムと、チーム全体での規律ある堅いディフェンスが特徴です。

2024年シーズンのリバティは、スタッツにもその強さが表れていました。オフェンシブレーティング(109.7)とリバウンド率(53.2%)でリーグ1位を記録。また、アシスト率(67.0%)、トゥルーシューティング率(57.8%)でもリーグ3位と、非常に効率的で破壊力のあるオフェンスを展開しました。ディフェンシブレーティング(101.7)もリーグ3位と、攻守両面で高いレベルを誇りました。

オフェンス:
スチュワートとジョーンズのインサイドとアウトサイドをこなせる多様性を活かしたコンビネーション、ヨネスクの驚異的な3ポイントシュートと的確なゲームメイクがオフェンスの軸となります。クラウドの加入により、ボールハンドラーが増え、ピックアンドロールのバリエーションも増すでしょう。ヨネスクとクラウドのツインガードシステムは、トランジションオフェンスのスピードと質をさらに高める可能性があります。ヨハネスの復帰は、セカンドユニットの得点力向上だけでなく、スターターとの組み合わせにおいても新たなオフェンスパターンを生み出すことが期待されます。選手層の厚さを活かしたバランスの取れた得点配分も、相手チームにとっては守りにくい要素となるでしょう。

ディフェンス:
ディフェンス面では、スチュワートとジョーンズが形成するインサイドの壁は依然として高く、相手にプレッシャーを与えます。クラウドの加入は、ペリメーターディフェンスを大幅に向上させることが確実です。彼女のボールプレッシャーとパッシングレーンへの鋭い読みは、相手のターンオーバーを誘発するでしょう。しかし、最大の課題は、ディフェンスの要であったベトニージャ・レイニー=ハミルトンのシーズン全休と、エクスパンションドラフトでヴァルキリーズに移籍したケイラ・ソーントンの穴をいかに埋めるかという点です。特にレイニー=ハミルトンが担っていた相手エースへのマークは、チーム全体でカバーする必要があります。フィビッチやガードナーといった新加入・若手選手の奮起と、チームディフェンスシステムのさらなる向上が求められます。ブロンデロHCは、個々の能力に頼るだけでなく、連携を重視したディフェンスシステムを構築することで、この課題に対応しようとするでしょう。

コーチングスタッフとフロントオフィス

サンディ・ブロンデロHCを支えるコーチングスタッフも、2024年の成功に大きく貢献しました。アシスタントコーチのオラフ・ランゲ、レイティシア・ジョンソン、ザック・トランターらは、それぞれの専門分野でチームをサポートし、選手の育成にも力を入れています。特にランゲ氏はヨーロッパでの豊富な指導経験を持ち、戦術面でHCを支えます。 ゼネラルマネージャーのジョナサン・コブ氏は、的確な補強戦略で現在の強力なロスターを構築しました。彼の長期的なビジョンと選手獲得の手腕は、リバティが強豪であり続けるための重要な要素です。

2025年シーズンの展望:連覇への道は険しくも明るい

ニューヨーク・リバティは、2025年シーズンも優勝候補の筆頭と目されています。ESPNが発表したプレシーズンのBPI(バスケットボール・パワー・インデックス)による総合ランキングでは堂々の1位にランクされ、プレーオフ進出確率は99.9%以上、予想勝利数は31.2勝(44試合制換算)と、圧倒的な評価を得ています。実際、多くのブックメーカーもリバティを2025年のWNBAファイナル優勝の最有力候補としており、例えばESPN BETでは+200程度のオッズがつけられています。

目標はもちろん、WNBA連覇です。しかし、その道は決して平坦ではありません。レギュラーシーズンの試合数は、2024年の40試合から44試合に増加し、プレーオフのファイナルも従来の5戦制から7戦制に変更されるなど、よりタフで過酷なシーズンになることが予想されます。選手たちは、シーズンを通して高いモチベーションを維持し、怪我なくシーズンを戦い抜くことが何よりも重要となります。特にエースであるブリアナ・スチュワートの膝の状態や、新加入選手と既存戦力とのケミストリーの早期構築が、シーズン序盤の鍵を握るでしょう。

ライバルチームも虎視眈々と王座を狙っています。昨年のファイナリストであるミネソタ・リンクス、スーパースターを擁するラスベガス・エイセズやシアトル・ストームなども強力な対抗馬となるでしょう。リバティは、これらのライバルたちからの徹底マークを受けながら、チャンピオンとしてのプレッシャーとも戦わなければなりません。

リバティが、過去にヒューストン・コメッツ(1997-2000年の4連覇)、ロサンゼルス・スパークス(2001-02年)、そして直近ではラスベガス・エイセズ(2022-23年)が達成したWNBA史上4チーム目の連覇を成し遂げることができるのか。多くのファンの期待と注目が集まるエキサイティングなシーズンとなることは間違いありません。ニューヨークの街に、再び歓喜の瞬間をもたらすことができるのか、女王リバティの戦いから目が離せません。

参考文献

  • ESPN. (2025). WNBA 2025 season preview: Team rankings, predictions, more. (記事の日付や具体的なURLは確認が必要ですが、ESPNのプレビュー記事を参照したという趣旨です)
  • ESPN. (2024, October 21). WNBA champion New York Liberty open as 2025 title favorites. (記事の日付や具体的なURLは確認が必要ですが、ESPNのオッズ記事を参照したという趣旨です)
  • WNBA. (2025). Transactions. [https://www.wnba.com/players/transactions](https://www.wnba.com/players/transactions) (最新の移籍情報を確認)
  • Winsidr & Her Hoop Stats (各種WNBAニュース、スタッツサイト)
  • 各チーム公式サイト

※本記事は2025年5月16日時点の情報を元に作成しています。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。

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