ダラス・ウィングスにとって、2025年シーズンはまさに「リセット&リスタート」の年となります。2024年シーズンは9勝31敗という厳しい結果に終わり、過去3シーズン連続でプレーオフに進出していたチームの勢いは完全に失速しました。この大きな後退を受け、ウィングスはフロントオフィスとコーチングスタッフを一新。経験豊富なカート・ミラー氏を新たなゼネラルマネージャーに、そしてクリス・コクラネス氏を新ヘッドコーチに迎え、チームの再建を託しました。そして、その再建計画の絶対的な中心に据えられるのが、2025年WNBAドラフト全体1位で指名したUConn(コネチカット大学)のスーパーガード、ペイジ・ベッカーズです。彼女の加入は、ウィングスに新たな希望の光を灯し、リーグ全体の注目を再びダラスへと集めることになるでしょう。
2024年シーズンの軌跡:予期せぬ失速と変革への序章
2024年シーズン、ダラス・ウィングスは大きな期待を背負ってスタートしましたが、最終的には9勝31敗という成績で、リーグワースト2位という屈辱的な結果に終わりました。これは、2023年シーズンに22勝18敗という好成績を収め、プレーオフでも存在感を示したチームの姿からは想像もつかないほどの失速でした。主力選手たちの怪我やコンディション不良、チームケミストリーの課題などが複合的に絡み合い、シーズンを通して苦しい戦いが続きました。この結果は、チームにとって大きな変革が必要であることを明確に示し、オフシーズンの大胆な動きへと繋がりました。
チームの動向:ベッカーズ獲得と新体制の船出
ウィングスは、2024年シーズンの不振を糧に、未来への明確なビジョンを持ってオフシーズンを動きました。
退団選手
- サトゥ・サバリー (F):チームのオールスターフォワードであったサバリーは、サイン&トレードで他チームへ移籍しました。彼女のオールラウンドな能力とリーダーシップは大きなものでしたが、チームは新たな方向性を模索することを選択しました。
- (その他、契約満了やロスター調整によりチームを去った選手たちがいます。)
新加入・再契約選手
最大のトピックはペイジ・ベッカーズの加入、そして新フロントとコーチングスタッフの就任です。
- ペイジ・ベッカーズ (G):2025年WNBAドラフト全体1位指名。UConnで数々の個人賞を受賞し、カレッジバスケットボール界を席巻した世代を代表するガード。怪我によるブランクも経験しましたが、その才能は疑いようもありません。ウィングス再建の絶対的中心選手です。
- クリス・コクラネス (ヘッドコーチ):新たな指揮官としてチームを率います。WNBAでのアシスタントコーチ経験などを持ち、選手の育成とチームディフェンスの構築に定評があります。
- カート・ミラー (ゼネラルマネージャー):コネティカット・サンやロサンゼルス・スパークスでHCやGMとして実績のあるミラー氏がGMに就任。彼の経験と手腕がチーム再建の鍵を握ります。
- マイーシャ・ハインズ=アレン (C/F):ワシントン・ミスティックスからFAで獲得した経験豊富なインサイドプレーヤー。得点、リバウンド、そしてパス能力も兼ね備え、テアイラ・マッカワンをサポートし、フロントコートに厚みをもたらします。
- アリーク・オグンボワレ (G):契約下にあるウィングスのエーススコアラー。
- テアイラ・マッカワン (C):リーグ屈指のフィジカルセンター。リバウンドとインサイドでの得点力はチームに不可欠。
- ナターシャ・ハワード (F):経験豊富なオールスターフォワード。攻守にわたり高い貢献度を誇り、若いチームを支えるリーダーシップも期待されます。
- マディ・シーグリスト (F):2023年ドラフト1巡目指名の若手フォワード。2年目のシーズンでさらなる飛躍が期待される有望株です。
- (その他、2025年ドラフトでベッカーズ以外にも指名した選手や、トレーニングキャンプ契約からロスター入りを目指す選手たちがいます。)
2025シーズンプレビュー:Dallas Wings – 新たな時代の幕開け、ベッカーズと共に
ダラス・ウィングスにとって2025年シーズンは、まさに再出発の年となります。2024年シーズンの不振を受け、チームはフロントオフィスとコーチングスタッフを一新。新たなヘッドコーチにはクリス・コクラネスが、ゼネラルマネージャーにはカート・ミラーが就任しました。そして何よりも大きな話題は、2025年のWNBAドラフトで全体1位指名権を獲得し、UConnのスター選手であったペイジ・ベッカーズを指名したことです。彼女の加入は、チーム再建の大きな柱となることが期待されています。
注目選手:ウィングスの未来を照らすスターたち
- ペイジ・ベッカーズ (G):「ペイジ・バケッツ」の愛称で知られる、WNBAの次代を担うスーパースター候補。大学時代にはその卓越したスキル、得点能力、パスセンス、そして高いバスケットボールIQで全米を熱狂させました。度重なる怪我を乗り越えてWNBAの舞台に立つ彼女には、計り知れないプレッシャーがかかるでしょうが、その類稀な才能はそれを凌駕するだけの輝きを秘めています。ルーキーシーズンからチームのオフェンスを牽引し、新たなウィングスの象徴となることが期待されます。
- アリーク・オグンボワレ (G):リーグ屈指のピュアスコアラー。爆発的な得点力でチームを牽引し続けてきました。ペイジ・ベッカーズという優れたゲームメーカーが加入したことで、オグンボワレはより得点に集中できる環境が整う可能性があります。彼女とベッカーズのバックコートコンビは、リーグで最もエキサイティングなものの一つとなるでしょう。
- テアイラ・マッカワン (C):WNBAでも有数のフィジカルと高さを誇るセンター。リバウンドにおいては常にリーグ上位にランクされ、インサイドでの得点力もチームの大きな武器です。ベッカーズのパスから、よりイージーな得点機会が増えることも期待されます。
- ナターシャ・ハワード (F):経験、実績ともに豊富なオールスターフォワード。攻守両面で高いレベルのプレーを見せ、得点、リバウンド、ディフェンスでチームに貢献します。若い選手が多いウィングスにおいて、彼女のリーダーシップと安定感は不可欠です。
- マイーシャ・ハインズ=アレン (C/F):新加入の経験豊富なインサイドプレーヤー。得点、リバウンドに加え、優れたパス能力も持つ多才な選手です。マッカワンやハワードと共に、強力かつ多様なフロントコートローテーションを形成します。
- マディ・シーグリスト (F):2023年のドラフト1巡目指名選手。ルーキーシーズンからポテンシャルの高さを示し、2年目の2024年シーズンで成長を見せました。2025年は、ベッカーズらと共にウィングスの中核を担う選手へと飛躍することが期待される有望株です。
戦術分析:新生ウィングス、コクラネスHCとミラーGMの描く未来図
新ヘッドコーチのクリス・コクラネス氏がどのような具体的な戦術を用いるかは、シーズンが始まってみなければ分からない部分も多いですが、GMに就任したカート・ミラー氏が過去にコネティカット・サンで築き上げた堅実で組織的なチーム作りが、一つの指針となるかもしれません。ペイジ・ベッカーズという非凡な才能の加入により、オフェンスの選択肢と創造性は飛躍的に向上するでしょう。
オフェンス面では、ペイジ・ベッカーズがポイントガードとしてゲームをコントロールし、彼女のスコアリング能力とパスセンスを最大限に活かす形が中心となるでしょう。アリーク・オグンボワレとの連携によるピックアンドロールや、ベッカーズのドライブからのキックアウトパスでオープンシューターを活かすプレーが増えるはずです。テアイラ・マッカワンとナターシャ・ハワード、マイーシャ・ハインズ=アレンといったインサイド陣のポストプレーや、彼女たちへのエントリーパスも重要な攻撃パターンとなります。チーム全体として、ボールムーブメントを重視し、より効率的なオフェンスを目指すことが予想されます。
ディフェンス面では、2024年シーズンの大きな課題であった失点の多さを改善することが急務です。コクラネスHCはディフェンスのスペシャリストとしても知られており、チーム全体のディフェンス意識の改革と、組織的な守備システムの構築に取り組むでしょう。マッカワンとハワード、ハインズ=アレンといったフロントコート陣のリムプロテクションとリバウンド、そしてガード陣の粘り強いペリメーターディフェンスが求められます。若いチームであるため、ディフェンスでの規律とコミュニケーションをシーズン通して維持できるかが鍵となります。
サトゥ・サバリーの移籍は確かに大きな痛手ですが、ペイジ・ベッカーズという新たなスターを中心に、チームは新しいアイデンティティとケミストリーを構築していく必要があります。
コーチングスタッフとフロントオフィス
カート・ミラーGMとクリス・コクラネスHCという新しいリーダーシップのもと、ウィングスは明確な再建プランを推進します。ミラーGMの経験豊富なチーム運営と、コクラネスHCの育成手腕、戦術構築能力が、チームの未来を大きく左右するでしょう。
2025年シーズンの展望:ベッカーズ効果で上昇気流に乗れるか
ダラス・ウィングスにとって2025年シーズンは、どん底からの再起を目指す、希望に満ちた一年となるでしょう。ESPNのBPIによるプレシーズン評価では、プレーオフ進出確率は72.0%、予想勝利数は21.1勝と、前年の9勝から大幅な改善が見込まれており、ペイジ・ベッカーズというスーパースター候補の加入効果がいかに大きいかを物語っています。彼女の存在は、チームに新たなエネルギー、スキル、そして何よりも勝利への渇望をもたらすはずです。
目標は、まずプレーオフ進出を果たし、再建への確かな手応えを掴むことでしょう。ベッカーズを中心とした若いコアがシーズンを通して成長し、新HCの戦術が浸透すれば、この目標は十分に達成可能です。しかし、WNBAは甘いリーグではなく、若いチームには必ず浮き沈みが伴います。厳しい敗戦から学び、チームとして団結し続けることができるかが試されます。
ファンにとっては、ペイジ・ベッカーズのWNBAデビューという歴史的な瞬間を目の当たりにし、新しいウィングスが未来へと羽ばたいていく過程を共に見守ることができる、非常にエキサイティングなシーズンとなるでしょう。ダラスの地に、再びWNBAの熱狂が戻ってくるか。ウィングスの新たな挑戦から目が離せません。
参考文献
- ESPN. (2025). WNBA 2025 season preview: Team rankings, predictions, more.
- ESPN. (2025). 2025 WNBA guide: New coaches, trades, more from offseason.
- WNBA. (2025). Transactions. [https://www.wnba.com/players/transactions](https://www.wnba.com/players/transactions)
- Dallas Wings Official Website
※本記事は2025年5月17日時点のWNBA公式情報や報道などを元に作成したプレビューです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。