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2025シーズンプレビュー:LA Sparks

数々の栄光の歴史を誇る名門ロサンゼルス・スパークスは、苦難に満ちた2024年シーズンを経て、大きな変革の時を迎えています。フランチャイズ史上ワーストとなる成績、主力選手の相次ぐ離脱、そしてシーズン途中のヘッドコーチ解任と、まさにどん底を経験しました。しかし、2025年シーズンに向けて、スパークスは力強い再建への狼煙を上げています。その最大の起爆剤となるのが、WNBA屈指のオールスターガード、ケルシー・プラムの電撃加入です。さらに、2025年ドラフトでは全体2位で有望なフォワード、キキ・イリアフェンを指名。経験豊富なスターと才能あふれる若き力が融合し、スパークスは再びプレーオフ戦線へ、そして将来的には王座奪還へと続く道を切り開こうとしています。

2024年シーズンの軌跡:試練の時と再建への序章

2024年シーズン、ロサンゼルス・スパークスはフランチャイズの歴史において最も厳しい一年を経験しました。最終成績は8勝32敗と大きく負け越し、4シーズン連続でプレーオフ進出を逃しました。シーズンを通して怪我人が続出し、特に期待のルーキー、キャメロン・ブリンク(2024年WNBAドラフト全体2位指名)が6月に前十字靭帯(ACL)を断裂しシーズンの大半を欠場。同じくガードのレクシー・ブラウンもクローン病の影響で多くの試合を欠くなど、戦力の維持に苦しみました。オフェンスは安定感を欠き、シーズン終盤にはカート・ミラーHCが解任され、アシスタントコーチのカーティス・ギャンブル氏が暫定HCとして指揮を執るなど、チームは混乱の中にありました。しかし、この苦しい経験こそが、新たなスパークスを築く上での重要な教訓となるはずです。

チームの動向:プラム獲得というビッグムーブと未来への投資

失意のシーズンから一転、オフシーズンのスパークスはリーグを驚かせる積極的な動きを見せました。

退団選手

  • ステフ・タルボット (F):2024年シーズン途中にトレードでフェニックス・マーキュリーへ移籍しました。
  • ニア・コフィー (F):シーズン終了後、アトランタ・ドリームへトレード移籍しました(ジョーダン・キャナダ獲得トレードの一環)。
  • (その他、契約満了やロスター調整によりチームを去った選手たちがいます。)

新加入・再契約選手

最大のニュースはケルシー・プラムの獲得、そして期待のドラフト指名です。

  • ケルシー・プラム (G):ラスベガス・エーセズから2チーム間トレードで電撃加入。WNBAチャンピオン2回、オールスター選出3回、東京オリンピック3×3金メダリストという輝かしい実績を誇るリーグ屈指のスコアリングガードです。スパークスは彼女を獲得するために、複数の将来のドラフト指名権(2026年1巡目、2025年2巡目など)を放出しました。
  • キキ・イリアフェン (F):2025年のWNBAドラフト全体2位でスパークスが指名したスタンフォード大学出身のパワフルなフォワード。得点力とリバウンド力に長け、即戦力としての期待がかかります。
  • 2025年シーズンのヘッドコーチ:カート・ミラーHC解任後、2025年シーズンの正式なヘッドコーチはプレビュー作成時点で流動的な可能性があります。もし新たなHCが就任していれば、その人物がチーム再建の鍵を握ります。(※本記事執筆時点では、新HCが決定している場合はその情報を反映します。未定の場合はその旨を記述します。)
  • 既存主力選手との再契約・契約継続:ディアリカ・ハンビー、アズーラ・スティーブンズといった中核選手は引き続きチームを支えます。
  • (その他、トレーニングキャンプ契約などを経て、ロスターに加わる選手たち。)

2025年シーズンプレビュー:新たなスパークがLAを照らす

苦難のシーズンとなった2024年を経て、ロサンゼルス・スパークスは再建への大きな一歩を踏み出します。オフシーズン最大の目玉は、オールスターガード、ケルシー・プラムの獲得です。彼女の加入は、チームに即戦力としての得点力とリーダーシップをもたらします。さらに、2025年のWNBAドラフトでは全体2位指名権で有望なフォワード、キキ・イリアフェンを指名。新たな才能と経験豊富なベテランの融合で、スパークスはプレーオフ戦線への復帰を目指します。

注目選手:新時代のスパークスを牽引するスターたち

  • ケルシー・プラム (G):新加入ながら、間違いなくチームの顔となるスーパースター。3度のオールスター選出、2度のWNBAチャンピオン、そしてオリンピック金メダリストという実績は伊達ではありません。爆発的な得点能力、優れたゲームメイク、そして何よりも「勝者のメンタリティ」を若いチームに注入します。プレシーズンからポイントガードとしての起用も示唆されており、彼女がボールを持つことでスパークスのオフェンスは劇的に安定し、活性化することが期待されます。
  • キキ・イリアフェン (F):2025年WNBAドラフト全体2位指名の逸材。スタンフォード大学での活躍は目覚ましく、その得点能力、リバウンド力、そしてフィジカルの強さはWNBAでも即通用するとの呼び声が高いです。インサイドの新たな柱として、そして将来的にはキャメロン・ブリンクとの強力なフロントコートコンビを形成することが期待されています。
  • ディアリカ・ハンビー (F):2度のWNBAシックスウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞、そして複数回のオールスター選出を誇る経験豊富なオールラウンダー。2024年シーズンも孤軍奮闘しチームを牽引しました。得点、リバウンド、ディフェンス、そしてリーダーシップと、あらゆる面でチームに貢献します。プラムの加入により彼女の負担は軽減されると予想されますが、引き続きチームの精神的支柱としての役割は変わりません。
  • キャメロン・ブリンク (F/C):2024年ドラフト全体2位指名。デビュー直後からその高いポテンシャルを示しましたが、シーズン早々にACL断裂という大怪我を負いました。2025年シーズン中の復帰が期待されており、彼女が健康を取り戻し、本来の力を発揮できれば、スパークスの未来はさらに明るくなります。その高さ、シュートレンジ、リムプロテクト能力は非常に魅力的です。
  • レクシー・ブラウン (G):クローン病と闘いながらもコートに立ち続ける不屈のシューター。彼女の3ポイントシュートは、チームの貴重な得点源です。健康状態が安定し、シーズンを通してコンスタントにプレーできるかが鍵となります。
  • アズーラ・スティーブンズ (F/C):インサイドの貴重な戦力。得点、リバウンドに加え、時にはアウトサイドシュートもこなすユーティリティ性も持ち合わせています。ブリンクやイリアフェンと共に、フロントコートのローテーションを支えます。

その他、経験豊富なガードのオデッセイ・シムズ、スピードのあるアアリ・マクドナルド、成長が期待されるリケア・ジャクソンレイ・バレルといった選手たちが、それぞれの役割を果たし、チームの勝利に貢献することが求められます。

戦術分析:プラム中心のオフェンスと再構築されるチームディフェンス

2025年シーズンのスパークスのヘッドコーチが誰になるかによって戦術の詳細は変わってきますが、ケルシー・プラムという絶対的なオフェンスの核を得たことで、攻撃の方向性は明確になりました。プラムの卓越したピックアンドロールの技術、鋭いドライブ、そして高確率のアウトサイドシュートを中心にオフェンスが組み立てられるでしょう。彼女は優れたパサーでもあるため、ディアリカ・ハンビーのポストアップやミスマッチを突いた攻撃、キキ・イリアフェンのインサイドでのフィニッシュ、そしてオープンになったシューターへのアシストも期待できます。チーム全体として、トランジションを増やし、よりアップテンポなバスケットボールを展開することも予想されます。

ディフェンス面では、個々の選手のディフェンス能力向上と、チームとしての組織的な守備システムの再構築が急務です。2024年シーズンは失点も多く、特にペリメーターディフェンスは大きな課題でした。プラム自身もディフェンスでの貢献が求められますが、チーム全体で相手のガード陣をいかに抑えるかが重要になります。ハンビーやスティーブンズ、そして怪我からの復帰が待たれるブリンクといったインサイド陣は、リムプロテクターとしての役割を全うし、リバウンドでの優位性を確保する必要があります。新HC(または暫定HCから昇格するカーティス・ギャンブル氏など)が、どのようなディフェンス哲学を持ち込み、チームに浸透させるか注目されます。

最大の懸念点としては、プロンプトでも指摘されている通り、ペリメーターのサイズ不足と、プラム以外のガード陣の経験不足が挙げられます。多くのポイントガード候補が5フィート9インチ以下であり、相手の大きなガードとのミスマッチをどうカバーするかが課題です。また、プラムがコートにいない時間帯や、彼女がオフボールでプレーする際に、誰が安定してゲームをコントロールし、オフェンスを組み立てられるのか、セカンドユニットの確立も重要なポイントとなるでしょう。

コーチングスタッフとフロントオフィス

ゼネラルマネージャーのカレン・ブライアント氏は、ケルシー・プラム獲得という大胆な一手でチーム再建への強い意志を示しました。新しいヘッドコーチの人選(またはカーティス・ギャンブル暫定HCの正式就任)は、今後のチームの方向性を決定づける重要な要素です。コーチングスタッフが一丸となり、若い才能を育て、経験豊富なベテランを活かすチーム作りを進めることが期待されます。

2025年シーズンの展望:名門復活への第一歩、期待と課題

ロサンゼルス・スパークスにとって2025年シーズンは、間違いなく再建のターニングポイントとなる重要な一年です。ESPNのBPIによるプレシーズン評価では、総合ランキングは10位、プレーオフ進出確率は27.1%、予想勝利数は17.6勝と、依然として厳しい評価がなされています。しかし、これはあくまで開幕前の予測であり、ケルシー・プラムというリーグ最高クラスのプレーヤーの加入と、キキ・イリアフェンやキャメロン・ブリンク(復帰後)といった若手有望株の成長次第では、この予想を大きく覆すポテンシャルを秘めています。

現実的な目標は、まずプレーオフ進出のボーダーラインに絡むことでしょう。そのためには、シーズンを通して安定した戦いを続け、特にホームゲームでの勝率を高める必要があります。昨シーズンのように怪我人が続出する事態を避け、選手のコンディション管理を徹底することも不可欠です。特に、キャメロン・ブリンクがシーズン中のどのタイミングで、そしてどのような状態で復帰できるかは、チームの浮沈に大きな影響を与える可能性があります。

ファンにとっては、ケルシー・プラムという新たなスーパースターの華麗なプレーを間近で見られること、そして若いチームが困難を乗り越えながら成長していく過程を見守ることができる、エキサイティングなシーズンとなるはずです。ロサンゼルスの街に、再びスパークスが勝利の輝きをもたらすことができるのか。名門復活への狼煙を上げるための、重要な戦いが始まります。

参考文献

  • ESPN. (2025). WNBA 2025 season preview: Team rankings, predictions, more.
  • ESPN. (2025). Sparks ramp up expectations after adding Kelsey Plum to roster.
  • WNBA. (2025). Transactions. [https://www.wnba.com/players/transactions](https://www.wnba.com/players/transactions)
  • Los Angeles Sparks Official Website

※本記事は2025年5月17日時点のWNBA公式情報や報道などを元に作成したプレビューです。

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