WNBAの歴史に輝かしい足跡を残してきたシアトル・ストーム。スー・バードという絶対的なレジェンドがコートを去った後も、チームは新たな時代のチャンピオンシップ獲得を目指し続けています。2024年シーズンは、スカイラー・ディギンズ=スミスとネカ・オグウミケという強力な新戦力を迎え、プレーオフに進出したものの、ラスベガス・エーセズの前に悔しい敗退を喫しました。ノエル・クインHC体制のもと、2025年シーズンは、エースのジュエル・ロイドを中心に、経験豊富なベテラン、そしてドラフト全体2位で指名した19歳の逸材ドミニク・マロンガという新たな才能が融合し、再びWNBAの頂点を目指す戦いに挑みます。「ストームの目」となるのは誰か、そしてシアトルに再び歓喜をもたらすことができるのか、大きな注目が集まります。
2024年シーズンの軌跡:新戦力とプレーオフ、そして見えた課題
2024年シーズン、シアトル・ストームはレギュラーシーズンを25勝15敗で終え、ウェスタン・カンファレンスのプレーオフ進出チームとして名を連ねました。オフシーズンの大型補強として鳴り物入りで加入したスカイラー・ディギンズ=スミスとネカ・オグウミケは、ジュエル・ロイドと共に強力なコアを形成。しかし、シーズンを通してチームケミストリーの構築やオフェンスの安定感に課題を残し、プレーオフでのホームコートアドバンテージを獲得するには至りませんでした。プレーオフ1回戦では、優勝候補のラスベガス・エーセズに0勝2敗のスウィープで敗れ、シーズンの幕を閉じました。オフェンシブレーティングはリーグ7位、特に3ポイントシュートの成功率はリーグワーストの27%に留まるなど、得点力向上が2025年への大きな課題として浮き彫りになりました。
チームの動向:コアの維持と未来への大型投資
ストームは、既存の強力なコアメンバーを維持しつつ、未来を見据えた大型ルーキーの獲得に成功しました。
退団・去就未定選手
- (大きな主力選手の退団は現時点では報じられていません。契約満了やロスター調整によりチームを去る選手は出る可能性があります。)
新加入・再契約選手
ドラフトでのビッグネーム獲得と、経験豊富なベテランの再契約がオフシーズンの主な動きです。
- ジュエル・ロイド (G):契約下にあるチームの絶対的エース。WNBA屈指のスコアラーであり、クラッチタイムの女王。
- スカイラー・ディギンズ=スミス (G):経験豊富なオールスターポイントガード。2024年に加入し、ロイドと共にダイナミックなバックコートを形成。
- ネカ・オグウミケ (F):元MVPであり、攻守に高い貢献度を誇るオールスターフォワード。2024年に加入し、インサイドの柱として活躍。
- ドミニク・マロンガ (F):2025年のWNBAドラフト全体2位でストームが指名したフランス出身の19歳の逸材。身長6フィート6インチの驚異的な身体能力を誇り、将来のフランチャイズプレーヤーとして大きな期待が寄せられています。ストームは彼女を指名するために、将来のドラフト指名権を複数使ったトレードアップを行った可能性もあります。
- アリシャ・クラーク (F):12年のキャリアを誇るベテランフォワードがチームと再契約。3度のWNBAチャンピオン経験を持ち、攻守両面での貢献とリーダーシップが期待されます。アウトサイドシュートも魅力です。
- エリカ・ウィーラー (G):9年のキャリアを持つ経験豊富なガードもチームと再契約。ディフェンス力とゲームメイク、そしてベンチからの活力注入が期待されます。
- エジ・マグベゴー (C/F):若きオーストラリア代表センター。インサイドでのディフェンスとリバウンドで成長を見せており、2025年はさらなる飛躍が期待されます。マロンガとのコンビも注目です。
- (その他、ロスターにはサミ・ウィットコムの妹であるジョーダン・ホーストンなど、チームの層を厚くする選手たちが在籍しています。)
2025シーズンプレビュー:Seattle Storm – 王座奪還へ、新たな嵐を巻き起こせ
2024年シーズンは大型補強で注目を集めたシアトル・ストームだったが、プレーオフでは悔しい結果に終わりました。2025年シーズンは、ジュエル・ロイド、スカイラー・ディギンズ=スミス、ネカ・オグウミケという実績ある「ビッグ3」を中心に、経験豊富なベテランの再契約、そして何よりもドラフト全体2位で指名した19歳の超大型新人ドミニク・マロンガの加入により、再びWNBAの頂点を目指せる戦力が整いました。ノエル・クインHCのもと、新旧の力が融合し、シアトルに新たな嵐を巻き起こすことができるか、大きな期待が寄せられています。
注目選手:シアトルの空に輝くスタープレイヤーたち
- ジュエル・ロイド (G):「ゴールド・マンバ」の愛称で知られる、リーグ最高のスコアラーの一人。クラッチタイムでの勝負強さは他の追随を許さず、チームの絶対的エースとしてオフェンスを牽引します。ディギンズ=スミスとの連携が深まれば、リーグで最も破壊力のあるバックコートとなるでしょう。
- スカイラー・ディギンズ=スミス (G):6度のオールスター選出を誇るエリートポイントガード。得点、アシスト、ディフェンスと全てにおいて高いレベルを誇り、コート上の指揮官としてチームを操ります。ロイドとのコンビネーションは2年目を迎え、さらなる化学反応が期待されます。
- ネカ・オグウミケ (F):2016年のWNBA MVP。攻守両面で常に高いレベルのパフォーマンスを見せるオールラウンダーです。インサイドでの得点力、リバウンド力に加え、リーダーシップもチームにとって不可欠な要素。彼女の安定感がチームの基盤となります。
- ドミニク・マロンガ (F):2025年ドラフト全体2位指名の19歳。身長6フィート6インチ(約198cm)という恵まれた体格と、驚異的なアスレチック能力を兼ね備えたフランスの至宝。ダンクも可能と噂されるそのポテンシャルは計り知れません。ルーキーシーズンから大きなインパクトを与え、将来のストームを背負って立つ存在へと成長できるか、リーグ全体の注目が集まります。
- アリシャ・クラーク (F):経験豊富な3&Dフォワード。3度のチャンピオン経験は、チームに勝者のメンタリティをもたらします。彼女の安定したアウトサイドシュートと粘り強いディフェンスは、スター選手たちを輝かせる上で不可欠な役割を担います。
- エジ・マグベゴー (C/F):若きインサイドの要。リバウンドとディフェンスで着実に成長を遂げており、2025年はオフェンス面でもより積極的な貢献が期待されます。マロンガとの若きフロントコートコンビは、ストームの未来を明るく照らします。
戦術分析:クインHCが描く、経験と若さの調和
ノエル・クインHCは、2025年シーズンも引き続きチームの指揮を執ります。彼女の戦術は、ジュエル・ロイド、スカイラー・ディギンズ=スミス、ネカ・オグウミケという強力な「ビッグ3」の能力を最大限に活かしつつ、ドミニク・マロンガという新たな才能をチームに組み込み、攻守両面でバランスの取れたチームを作り上げることを目指します。2024年シーズンの大きな課題であったオフェンスの効率性、特に3ポイントシュートの精度向上は最優先事項です。
オフェンス面では、ディギンズ=スミスがゲームをコントロールし、ロイドとオグウミケが主要な得点源となります。アリシャ・クラークの復帰は、アウトサイドシュートのオプションを増やし、フロアバランスを改善する上で大きなプラスとなるでしょう。ドミニク・マロンガには、ルーキーシーズンからトランジションオフェンスでのフィニッシャーや、セットプレーでのダイブ役など、その身体能力を活かした役割が与えられると予想されます。チーム全体として、ボールムーブメントを増やし、よりクリエイティブで効率的なオフェンスを展開し、2024年の課題であった3ポイントシュート成功率(リーグワーストの27%)を大幅に改善する必要があります。
ディフェンス面では、オグウミケとマグベゴーがインサイドの守備の要となり、リムプロテクションとリバウンドで貢献します。ペリメーターでは、ディギンズ=スミス、クラーク、そして経験豊富なエリカ・ウィーラーが相手のガード陣にプレッシャーをかけます。マロンガの驚異的なウィングスパンと運動能力は、ディフェンス面でも大きな可能性を秘めており、スイッチディフェンスやヘルプディフェンスでの活躍も期待されます。チーム全体として、コミュニケーションを密にし、組織的なディフェンスを構築することが重要です。
コーチングスタッフとフロントオフィス
ノエル・クインHCは、WNBAでも評価の高い指導者の一人です。彼女のリーダーシップと戦術眼が、タレント豊富なチームをまとめ上げ、勝利へと導く鍵となります。ゼネラルマネージャーのタニス・ウェイクフィールド氏は、ドラフトでのマロンガ指名という大胆な動きを見せるなど、チームの現在と未来を見据えたロスター構築を進めています。
2025年シーズンの展望:王座奪還へ、視界良好
シアトル・ストームは、2025年シーズン、WNBAチャンピオンシップを十分に狙える戦力を擁しています。ESPNのBPIによるプレシーズン評価では総合ランキングは5位、プレーオフ進出確率は96.4%、予想勝利数は25.3勝と非常に高く、WNBA.comのプレシーズンパワーランキングでも4位にランクインするなど、そのポテンシャルは専門家からも高く評価されています。
目標は、もちろんWNBAチャンピオンシップ獲得です。そのためには、シーズンを通してチームケミストリーを最高潮に高め、特にオフェンス面での課題を克服し、安定した得点力を身につける必要があります。スーパールーキー、ドミニク・マロンガが期待通りのセンセーショナルな活躍を見せ、ロイド、ディギンズ=スミス、オグウミケの「ビッグ3」がその実力を遺憾なく発揮し、そして経験豊富なベテランたちが脇を固めれば、シアトルの街に4度目のWNBAタイトルがもたらされる可能性は十分にあります。
ノエル・クインHCが、この才能あふれるチームをどのようにまとめ上げ、勝利へと導くのか。そして、将来のWNBAを代表するスター候補であるドミニク・マロンガが、どのような衝撃的なデビューシーズンを送るのか。シアトル・ストームの2025年シーズンは、スリリングな展開と多くの見どころに満ちた、記憶に残るシーズンとなるでしょう。
参考文献
- ESPN. (2025). WNBA 2025 season preview: Team rankings, predictions, more.
- WNBA.com. (2025, May 5). 2025 WNBA Power Rankings: Preseason Edition.
- WNBA. (2025). Transactions. [https://www.wnba.com/players/transactions](https://www.wnba.com/players/transactions)
- Seattle Storm Official Website
※本記事は2025年5月17日時点のWNBA公式情報や報道などを元に作成したプレビューです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。