ワシントン・ミスティックスとコネティカット・サンの一戦は、終盤にミスティックスが猛攻を仕掛けて90-85で逆転勝利を収めました。
ミスティックスは新指揮官シドニー・ジョンソン体制で開幕2連勝。
一方、ホーム開幕戦となったサンは序盤から主導権を握りながらも、最後は地力に勝るミスティックスに押し切られ、惜しくも白星スタートを逃しました。
試合は序盤からドラマチックな展開を見せ、第4クォーターに勝負が決する白熱の内容でした。
試合の展開とスコア推移
前半はコネティカット・サンが試合の流れを掴み、後半にワシントン・ミスティックスが巻き返す展開となりました。
第1クォーターをサンが23-13と10点リードで終えると、第2クォーターではミスティックスが反撃。
ミスティックスはこのクォーターで28点を奪い、一時33-33の同点に追いつきます。
しかしサンも踏ん張って前半終了時点では46-41と5点のリードを維持しました。
第3クォーターも互いに19点ずつ取り合う互角の展開で、サンが65-60と5点リードを持って最終クォーターへ。
勝負の第4クォーター、ミスティックスが30-20と圧倒的な攻勢を見せて試合をひっくり返しました。
残り5分半でステファニー・ドルソンの3ポイントシュートが決まり、ミスティックスはこの日初めてリードを奪取。その後ソニア・シトロンの3点プレー(バスケット+ファウル)で流れを完全に引き寄せると、試合残り数秒でマリーナ・メイブリー(サン)の同点を狙った長距離3ポイントが外れ、シトロンが勝負を決定づけるフリースローを沈めました。
最終スコア90-85でミスティックスが勝利しています。
クォーターごとの流れとハイライト
第1クォーター
立ち上がりからホームのサンが勢いを見せました。
連続6得点で試合をスタートすると、その後も攻撃の手を緩めず開始数分で14-2と大きくリードを広げます。
ティナ・チャールズのインサイドでの存在感やブリア・ハートリーのベンチからの得点などでサンは主導権を握り、ミスティックスを13得点に抑えて23-13とリードして第1Qを終了しました。
序盤7分過ぎにはミスティックスのセンター、シャキーラ・オースティンとサンの新人カリアタ・ディアビーの小競り合いから両者にテクニカルファウルが科される場面もあり、早くも火花が散る展開となりました。
第2クォーター
今度はミスティックスが反撃します。
ルーキーのキキ・イリアフェンが積極的にゴール下を攻めて6得点を挙げるなど、ミスティックスは開始から14-6のランでサンに詰め寄りました。
ブリトニー・サイクスのドライブからの得点も加わり、残り3分17秒でスコアは33-33とついに同点に。追いつかれたサンはたまらずタイムアウトを取り立て直します。
タイムアウト後、チャールズやハートリーの得点でサンが再び突き放し、前半終了時点ではサンが46-41と5点のリードを確保しました。
チャールズは前半だけで11得点7リバウンドと存在感を示し、ハートリーも11得点の活躍でチームを牽引します。
第3クォーター
後半も両チーム一進一退の攻防が続きました。サンはチャールズがこのクォーターだけで8点を積み上げ、第3Q途中には得点を19点まで伸ばして依然存在感を放ちます。
ミスティックスも着実に得点を重ねて食らいつき、このクォーターは19-19と互角。サンが65-60と5点リードのまま最終クォーターへ突入しました。
しかし、第3Q残り6分半でミスティックスのオースティンがベンチでの発言によりこの日2つ目のテクニカルファウルを取られて退場処分となるハプニングが発生。主力センターを欠くことになったミスティックスでしたが、動揺を見せずに他のメンバーがカバーし合い、サンもその隙を大きく突くことはできませんでした。
第4クォーター
勝負の第4Qはミスティックスが底力を発揮しました。
サイクスがドライブやフリースローで着実に加点し、シトロンも積極的に仕掛けて両者だけで9点ずつをこのクォーターで記録します。
残り5分38秒、ミスティックスはついに同点に追いつくと、続く攻撃でベテランのステファニー・ドルソンが25フィートのロング3ポイントを沈め、初のリードを奪いました。
勢いに乗るミスティックスはシトロンがバスカン(バスケット・カウント)となるレイアップを決め、残り4分半で3点のリードを確保。このリードは最後まで揺らぐことはありませんでした。
サンも終盤にチャールズやオリビア・ネルソン=オドーダの得点で一時は1点差(残り1分36秒)まで追い上げますが、ミスティックスは落ち着いて対応。
残り数秒、メイブリーの起死回生の同点3ポイントはリングに嫌われ、リバウンドを押さえたミスティックスがファウルゲームからフリースローをきっちり沈めて勝負あり。
ミスティックスが終盤の集中力でサンを振り切り、劇的な逆転勝利を飾りました。
注目選手とスタッツ
ワシントン・ミスティックス
– 勝利したミスティックスは、この試合で4人が15得点以上を記録するバランスの良いオフェンスを展開しました。
中でもエースガードのブリトニー・サイクスはゲームハイの27得点を挙げ、7アシスト2スティール1ブロックと攻守にわたって存在感を発揮。
第1半だけで16得点を稼ぎ、チームを勢いづけました。ルーキーのキキ・イリアフェンも17得点14リバウンドのダブルダブルを達成し、ゴール下で奮闘。
さらに同じく新人のソニア・シトロンは15得点3アシスト(第4Qだけで9得点)と勝負どころで躍動し、ベンチからジェイド・メルボルンも15得点を加えてチームを支えました。
ミスティックスはチーム全体でフィールドゴール成功率51.6%と高精度のオフェンスを展開し、速攻得点でも23-4と圧倒するなど、走力と攻撃力の高さが光りました。
コネティカット・サン
– 敗れたサンも見所の多い内容でした。
ベテランのティナ・チャールズは古巣サン復帰初戦から23得点10リバウンド2アシスト3スティール2ブロックとフルラインナップの活躍でチームを牽引。
序盤はチャールズを起点にオフェンスが機能し、計5人が二桁得点をマークするバランスの良さを発揮しました。オリビア・ネルソン=オドーダは18得点8リバウンドとインサイドで奮闘し、マリーナ・メイブリー、ジェイシー・シェルドン、ブリア・ハートリーがそれぞれ11得点を記録。
新人や新加入の多い新生サンですが、ガードのリンジー・アレンが8アシストで攻撃を組み立てるなど連携面で明るい兆しを見せました。
ただ、3ポイントシュート成功率は21.4%(14本中3本)と振るわず、後半にシュートタッチが落ちたこともあって逃げ切りに失敗。課題と収穫の両方が見えた試合となりました。
試合後のコメントと印象的な場面
新体制で戦う両チームにとって、開幕戦ならではの手応えと課題が浮き彫りとなるゲームでした。
敗れたサンのラシード・メジアネ新ヘッドコーチは
「望んだスタートではないが、この敗戦から学んで小さな部分を修正していきたい」
と前向きにコメントしています。
主将のティナ・チャールズも
「40分間を通してやり切る難しさがある。勝てる手応えは示せただけに、疲れが出る時間帯でも粘り強く戦い抜くことが必要」
と悔しさと今後への意気込みを語りました。
それでも序盤に見せたチームオフェンスの連動や、新加入選手同士がお互いに声を掛け合い助け合うシーンからは、今季のサンの可能性と結束力の高さが感じられます。
実際、試合序盤にはルーキーのディアビーが相手と揉み合いになった際、真っ先にメイブリーが駆け寄り擁護に入る場面もあり、新チームながら早くも一体感を示しました。
一方、勝利したミスティックスは、新人たちの貢献とベテランの勝負強さが噛み合い、逆転勝利をもぎ取った形です。
ジョンソン新HCは就任から2連勝と最高の滑り出しとなり、
「チームが終盤に見せた集中力と粘り強さを誇りに思う」
と選手たちを称えました。
エースのサイクスは持ち味の果敢なドライブで相手ディフェンスを崩し続け、イリアフェンとシトロンというルーキー2人も終盤の大事な時間帯で落ち着いてプレーして得点を重ねたことは、チームにとって大きな収穫です。
また、後半開始直後にオースティンが退場となるアクシデントがありながらも、残るメンバー全員がハードワークと集中力を維持し、相手の猛攻をしのいで逆転に繋げた点は特筆すべきでしょう。
昨季から主力の一部が入れ替わった若いチームですが、この試合を通じて見せた粘り強さと戦う姿勢は、今後に向けて明るい材料となりました。