シアトル・ストーム vs ダラス・ウィングス(2025年5月20日)試合総括
WNBA2025シーズンの序盤、5月20日(現地時間)にテキサス州アーリントンでシアトル・ストームとダラス・ウィングスが対戦しました。
試合はストームが79-71でウィングスを下し、開幕戦の敗戦から見事に立て直して今季初勝利を収めています。
一方のウィングスは開幕から連敗となり、ドラフト全体1位新人のペイジ・ビューカーズ擁する新生チームとして課題を残す結果となりました。
試合の流れとスコア
試合は序盤から接戦で、第1クォーターは26-25とウィングスが1点リードして終了しました。残り1分を切った場面でビューカーズが3ポイントシュートを沈め、ウィングスが15-7のランで逆転して勢いよく締めくくる展開でした。
しかし第2クォーターに入ると流れが一変します。30-30の同点からストームのスカイラー・ディギンズが約7mの3ポイントを沈めて均衡を破ると、この一撃をきっかけにストームが14-4のランを展開し、一気に44-34と二桁リードを奪いました。
さらに終了間際にはガブリー・ウィリアムズが3ポイントを決め、前半を終えてストームが56-41と17点差をつける猛攻を見せました。
後半、第3クォーターではストームのシュート成功率が落ち始め、今度はウィングスが反撃します。
特に控えフォワードのマディー・シーグリストがこのクォーターで2本の重要な3ポイントを沈めるなどチームに勢いをもたらし、ウィングスが11-0のランを記録して点差を大きく詰めました。
ストームは一時17点あったリードを徐々に失い、第3Q終了時には66-61とわずか5点差まで詰め寄られます(第3Qだけを見るとウィングスが20-10と圧倒)。
追い上げムードの中で迎えた第4クォーター序盤は両軍とも得点が停滞しましたが、最初の得点が動いたのは開始約2分後でした。
ウィングスがビューカーズのジャンプショットミスからカイラ・チャールズのオフェンスリバウンドを経てシーグリストのレイアップに繋げ、このクォーター最初の得点を奪います。
しかしその後は再びストームのペースでした。オグミケとエジ・マグベガーがそれぞれ立て続けに得点し、ストームが8-0のランでリードを再拡大して残り4分で74-63とします。以降はストームが主導権を握り、ウィングスは最後まで差を詰めきれず試合終了。
最終スコアは79-71でストームが逃げ切りました。
注目選手とスタッツ
勝利したストームでは、今季加入したベテランフォワードのネカ・オグミケが23得点・19リバウンドの圧巻のダブルダブルを記録しチームをけん引しました。
オールスターガードのスカイラー・ディギンズも21得点・9アシストと躍動し、ガブリー・ウィリアムズも17得点を挙げるなど攻撃を支えています。
ストームはチーム全体でフィールドゴール29本中25本にアシストがつくという抜群のボールムーブを見せ、前半だけで3ポイント成功率81.8%(9/11)を記録するなど、連携とシュートの精度が光りました。
対するウィングスでは、ドラフト全体1位ルーキーのペイジ・ビューカーズがチーム最多の19得点をマーク。
フィールドゴール成功率50%(7/14)と効率良く得点を重ねただけでなく、8アシスト・5リバウンド・2スティールとオールラウンドな活躍を見せています。
特に第3Qにはアシストを量産し、自身もプラスのコート評価(+2)を記録するなど、新人ながらチームを牽引する存在感を示しました。
他にはナリッサ・スミスとマディー・シーグリストがそれぞれ12得点、センターのティアラ・マコーアンがベンチから10得点・9リバウンド・3ブロックとインサイドで貢献しています。
一方でエースガードのアリケ・オグンボワレはシュートに苦しみ、この日は14本中2本の成功(8得点)に留まりました。ウィングスは3ポイントもわずか4/19成功(21%)と不発で、勝負どころでの得点力不足が響いた形です。
試合後のコメントと印象的な場面
この試合では、ストームの経験豊富な選手たちとウィングスの若手タレントが激突した点も大きな見どころでした。
特に注目されたのはドラフト1位のビューカーズ(21歳)とドラフト2位のドミニク・マロンガ(19歳)の初対決です。
マロンガはフランス出身の新人センターで、第4Q終盤に短い時間ながらコートに立ち、巧みなフットワークからフェイダウェイのジャンプシュートを沈めてWNBA初得点を記録しました。
出場1分間で2得点1リバウンドというわずかな数字ではありますが、将来を嘱望される19歳がプロの舞台で存在感を示したシーンとして印象的です。
試合後、ウィングスのビューカーズはメディア対応で課題と収穫についてコメントを残しています。
新人ながら2試合目にしてチームトップの成績を残したビューカーズですが、
「自分が求めているのは“心地よさ”ではありません」
と語り、プロの舞台に慣れることよりもチーム全体の競争力を高めることに意識を置いていると強調しました。
さらに
「クォーターごとに良い流れは出てきている。追い上げる展開自体は評価できるけれど、試合の中で生じる気の緩みを減らし、40分間を通して安定したプレーをしなければならない」
と指摘し、チームが一定時間ごとに集中力を欠いてリードを許してしまう現状を課題として挙げています。
実際この試合でも第2Qと第4Qに計44-25と大きく離されており、今後ウィングスが競争力あるチームへ成長していくためには試合を通じた安定感が鍵となりそうです。
一方、勝利したストームにとってはベテラン勢の活躍が光った試合でした。
オグミケとディギンズという経験豊富なオールスター選手が攻守にわたりチームを落ち着かせ、要所で得点を奪ったことで、追い上げられてもリードを守り切ることに成功しています。
開幕戦では黒星スタートとなったストームですが、この試合では持ち味の組織力と集中力を発揮し、シーズン初白星を手にしました。
ノエル・クインHCも試合後、
「特に前半は選手たちがプランを遂行し素晴らしい戦いぶりだった」
とチームの立て直しを称賛しており、今後に向けて手応えを感じる内容となったようです。