試合展開
2025年5月22日にフェニックスで行われたWNBAのロサンゼルス・スパークス対フェニックス・マーキュリーの一戦は、序盤から拮抗した展開となりました。第1クォーターはマーキュリーが23-19と4点のリードを奪いましたが、第2クォーターにはスパークスが反撃します。
ロサンゼルスは一時11点差を追う展開から23-3の猛攻を繰り広げ、前半終了時には46-42と4点のリードを奪い返して試合を折り返しました。
第3クォーターに入ると流れが一変し、フェニックスが守備の強度を上げて主導権を握りました。
マーキュリーは立ち上がりから相手を無得点に抑え、第3Qだけで24-7とスパークスを圧倒します。ロサンゼルスはシュートが極度に低迷し、このクォーターのフィールドゴール成功はわずか3本、得点も7点にとどまりました。
マーキュリーは堅守と速攻でリードを広げ、第3Q終了時には66-53と13点の差をつけて最終クォーターに臨みました。
第4クォーターではスパークスが意地を見せ、激しい追い上げを見せました。フェニックスが一時は14点のリードを奪いましたが、ロサンゼルスはデアリカ・ハンビーの7連続得点などで反撃し、残り3分には78-75とわずか3点差まで詰め寄ります。
さらに残り2分半にはケルシー・プラムのフリースローで78-77と1点差に迫り、試合は最後までわからない展開となりました。
しかし直後にフェニックスのアリッサ・トーマスが立て続けに6得点を挙げ、再びマーキュリーが点差を広げます。
終盤、プラムはチーム最後の11得点を一手に担い猛追しました。残り4秒には左ウイングから起死回生のロングシュートを沈めますが、シュート放った際に彼女の足が3ポイントラインを踏んでおり、2点止まりで87-86と1点差に留まりました。
マーキュリーは直後にサトゥ・サバリーがファウルを受けて得たフリースローを2本とも沈めて再び点差を3点に広げ、最後はプラムのハーフコートからの同点狙いのシュートは届かず、89-86でマーキュリーが逃げ切りました。
注目選手とスタッツ
勝利したフェニックス・マーキュリーでは、フォワードのサトゥ・サバリーがチーム最多の25得点を挙げました。
サバリーはフィールドゴール成功率こそ伸び悩みましたが、15本中12本のフリースローを確実に沈め、合計25得点5リバウンド3アシスト3スティール1ブロックと攻守にわたる活躍を見せています。
オールスター選手のアリッサ・トーマスも19得点に加えて5リバウンド7アシストを記録し、特に後半にリーダーシップを発揮しました(第4Qだけで8得点をマークしてチームを鼓舞しました)。
さらに、モニーク・アコア・マカニが3本の3ポイントシュートを含む11得点を挙げるなど脇を固め、マーキュリーは相手のミスを突いて17個のターンオーバーを誘発し、その失点から23得点を奪った堅実なチームディフェンスも光りました。
敗れたロサンゼルス・スパークスでは、新加入のケルシー・プラムが40分フル出場し25得点と奮闘しました。
プラムは3ポイントシュート4本成功を含む25得点を挙げただけでなく、6アシスト2スティールとゲームメイクでも存在感を示しています(なお、この試合の第4Qには自身通算500本目となる3ポイントシュートを達成しました)。
インサイドではアズーラ・スティーブンスが23得点17リバウンドのダブルダブルを記録し、ゴール下を支配する活躍を見せました。
デアリカ・ハンビーも15得点7リバウンドをマークし、第4Q序盤に7連続得点で反撃の原動力となっています。
その他、オデッセイ・シムズが先発ガードとして8得点4アシストを記録し、残り3分に放ったレイアップで一時3点差まで追い上げるなど随所で貢献しました。
試合後のコメント
試合後、フェニックス・マーキュリーのネイト・ティベッツ・ヘッドコーチは、接戦を制したチームの頑張りを称えました。ティベッツ監督によれば、ハーフタイムにアリッサ・トーマスがチームメイトに強い言葉で発破をかけ、それが後半の奮起につながったといいます。
実際、第3クォーターにスパークスを7得点に抑え逆転に成功したことについて、指揮官はトーマスのリーダーシップを高く評価しました。
ティベッツ監督は、
「トーマスは勝利のために全てを尽くす選手であり、そのタフさと闘志でチーム全員を高い基準へと引き上げてくれる存在です」
とその貢献を称賛しています。また、
「シーズン序盤でこうした接戦に勝てることは、後々大きな意味を持つだろう」
と語り、開幕から2連勝と順調なスタートを切ったことに手応えを示しました。
一方、惜しくも及ばなかったロサンゼルス・スパークスのカート・ミラー監督は、悔しさをにじませながらも試合を総括しました。
ミラー監督は「第3クォーターでの失速が痛かった」と振り返り、あの時間帯に流れを渡してしまったことが敗因の一つであると指摘しています。
それでも終盤の追い上げについては選手たちの粘り強さを評価し、「今日の経験を次戦に活かしたい」と前向きにコメントしました。
実際、スパークスは最後まで諦めずに戦ったことで収穫も得られたとし、ミラー監督は課題であるターンオーバーの多さや試合を通じた安定感の欠如を修正しつつ、次のホームゲームでの巻き返しを期していました。