2025年5月22日 WNBA ワシントン・ミスティックス vs ゴールデンステート・ヴァラ 試合レポ試合展開
2025年5月22日に行われたWNBAのワシントン・ミスティックス対ゴールデンステート・ヴァルキリーズ の一戦は、終始拮抗した展開となりました。
第1クォーターは両チームとも固い立ち上がりで、ミスティックスが14-11と僅かにリードして終了します。ゴールデンステートは序盤からシュートに苦しみ、特に3ポイントシュートがなかなか決まりませんでした。
第2クォーターになるとヴァルキリーズ が徐々に調子を上げ、粘り強いディフェンスから反撃を開始します。
残り時間わずかの場面で、ヴァルキリーズ のガード、ヴェロニカ・バートンが約11メートルのロングシュートをブザービーターで沈め、31-30とゴールデンステートが1点のリードで前半を終えました。
試合は後半に入っても緊迫感が続きます。第3クォーター中盤、ミスティックスが一時7点差をつける場面がありましたが、ヴァルキリーズ は諦めずに反撃しました。
ケイラ・ソーントンの連続得点などで12-4のランを築き、第3クォーター終盤には再び両者が肩を並べます。このクォーターは互いに16点ずつを取り合い、スコアは依然1点差(ゴールデンステート46-ワシントン45)で最終クォーターへともつれ込みました。
勝負の第4クォーターは白熱した展開となりました。
残り2分を切ったところで、ワシントンのブリトニー・サイクスがフリースローを沈め、ミスティックスが僅かにリードを奪います。
しかしその直後、ヴァルキリーズ のバートンが残り1分38秒で勝ち越しとなる3ポイントシュートを決め、会場を沸かせました。
さらに続く攻撃でも、ソーントンが3ポイントシュートを放った際にファウルを受け、笛と同時に放たれたシュートが見事にリングを通過します。
ソーントンはこのプレーでフリースローも確実に決める「4点プレー」を成立させ、試合時間残り1分3秒でリードを5点に広げました。
さらに終盤、バートン選手が再び3ポイントシュートを成功させ、一時は7点差までリードを拡大します。
ミスティックスも最後まで粘りを見せ、ソニア・シトロンが残り5秒で値千金の3ポイントシュートを沈めて2点差まで追い上げましたが、反撃もここまででした。
最終スコアは76-74となり、ゴールデンステート・ヴァルキリーズ が接戦を制して球団創設以来の初勝利を挙げました。試合終了のブザーが響くと、地元サンフランシスコのチェイス・センターは満員の観衆が歓喜に包まれ、記念すべき初勝利に祝福の紙テープが舞いました。
注目選手とスタッツ
接戦を制したゴールデンステート・ヴァルキリーズ では、ヴェロニカ・バートンがチームを牽引しました。
バートンは自己最高となる22得点をマークし、さらに9リバウンドと5アシスト、2スティールを記録するオールラウンドな活躍でした。
特に第4クォーターだけで14得点を挙げる勝負強さを見せ、終盤には勝利を引き寄せる2本の3ポイントシュートを沈めています。
ケイラ・ソーントン選も18得点5リバウンドの活躍で、要所でチームを支えました。ソーントン選手の放った3ポイントシュートがファウルを誘い、4点プレーとなった場面はこの試合最大のハイライトの一つでした。
また、新人のジャネル・サローンにも注目が集まりました。
開幕戦を欠場したサローン選手はこの日がWNBAデビュー戦でしたが、先発に抜擢されると立ち上がりから落ち着いたプレーを見せ、チーム最初の得点を含む10得点4リバウンドを記録しました。
さらにベンチから出場したカーラ・レイテも10得点を挙げるなど、この日はヴァルキリーズ から合計4名の選手が二桁得点をマークしました。
センターのテミ・ファグベンレも得点こそ6点にとどまりましたが、7リバウンドとチーム最多となる4スティールを記録し、守備面で大きく貢献しています。
主力ガードのティファニー・ヘイズは第2クォーター終盤に相手選手と接触して鼻を負傷し退場を余儀なくされましたが、それまでに13分間の出場で2得点を記録していました。
一方、惜しくも逆転負けを喫したワシントン・ミスティックスでは、ブリトニー・サイクスが際立った活躍を見せました。
サイクスはゲームハイとなる30得点を挙げ、終盤には勝利を目指して果敢に攻め続けました。第4クォーター残り2分には彼女のフリースローでワシントンが一時リードを奪う場面もあり、その得点力で最後までチームを牽引しました。
インサイドではルーキーのキキ・イリアフェンが存在感を発揮しています。
イリアフェン選手はゴール下で奮闘し、この試合で10得点に加えて両チーム最多となる12リバウンドを記録しました。守備リバウンドだけでも9本を数え、何度も相手のセカンドチャンスを阻んでみせました。
さらに、ルーキーのソニア・シトロンも35分間と長時間起用に応え、10得点8リバウンドをマークしました。
第4クォーター残り僅かに放った執念の3ポイントシュートはチームに最後の望みを繋ぐプレーとなり、観客を大いに沸かせました。
また、ベンチから登場したジェイド・メルボルンは8得点を挙げただけでなく、7リバウンド7アシストとゲームメークにも貢献し、交代出場選手として存在感を示しました。
その他にもルーシー・オルセンが4得点、エミリー・エングストラーが3得点、シカ・コネが3得点、シャキーラ・オースティンが2得点を記録しています。
試合後のコメント
劇的な勝利を収めたゴールデンステート・ヴァルキリーズ の選手たちは、試合後のインタビューで喜びと興奮を語りました。
エースとしてチームを勝利に導いたヴェロニカ・バートンは、
「こうした瞬間は決して忘れません。私たちはこの日のために練習を重ね、多くの期待と盛り上がりの中でこの試合に臨みました。勝利の喜びを今は噛み締めています」
と、初勝利の瞬間を振り返りました。
また、勝負を決定づける4点プレーを演出したケイラ・ソーントン選は、負傷退場したチームメイトのティファニー・ヘイズについて触れ、
「彼女が途中で抜けたのはチームにとって大きな痛手でしたが、その分『自分たちが穴を埋めよう』と全員で奮起しました。今日の勝利はティフ(ヘイズ選手の愛称)とファンの皆様のおかげです。この初勝利に満足することなく、ここからが始まりだと思っています」
と語り、仲間と支えてくれたファンへの感謝を述べました。
チームを率いるナタリー・ナカセ監督も喜びを隠しきれませんでした。ナカセ監督は試合後の記者会見に黒いバスローブ姿で現れましたが、これは選手たちから初勝利を祝福されて水を浴びたためでした。
監督は
「この勝利は、チーム全員で積み重ねてきた努力の成果です。シーズン開幕からまだ2試合を戦っただけですが、皆が準備を怠らず懸命に取り組んできた結果が出ました」
と述べ、選手たちを称賛しました。
また、「接戦になる展開は予想していました。コーチ陣ともども延長戦も視野に入れて万全の準備をしてきました」
と明かし、最後まで集中を切らさず戦い抜いたチームを誇りに思うと語りました。さらに、
ロッカールームでヘイズが笑顔で「大丈夫です」と声をかけてきたエピソードにも触れ、
「彼女自身、チームの勝利を誰よりも喜んでくれました」
と嬉しそうに明かしています。
ミスティックスにとっては今季初黒星となりましたが、勝利したヴァルキリーズ にとって記念すべき歴史的な一夜となり、選手・スタッフ一同が初勝利の喜びに浸った試合後のコメントでした。