試合展開
2025年5月22日に行われたWNBAのダラス・ウィングス対ミネソタ・リンクスの一戦は、序盤から波乱含みの展開となりました。
第1クォーター開始直後、ホームのリンクスは立ち上がりに苦しみ、ウィングスに15-5とリードを許します。
しかしリンクスはすぐさま12連続得点の猛攻で巻き返し、クォーター終盤には21-18と逆転しました。
このリンクスの連続得点で試合の流れが一変し、第2クォーター以降はリンクスが主導権を握ります。
リンクスは前半終了時点で47-40とリードを7点に広げ、試合を折り返しました。
後半に入ってもリンクスが優勢を保ち、第3クォーター終了時には70-62とリードを維持します。
第4クォーター中盤にはリンクスが最大で10点のリードを奪い、勝利まであと一歩に迫りました。
しかし終盤に入るとリンクスのシュートが約4分間沈黙し、その間にウィングスが猛追します。残り時間40秒足らずで、ウィングスのエース、アリケ・オグンボワレが3ポイントシュートを沈め、スコアは83-81と2点差まで詰まりました。
それでもリンクスは落ち着いて対応し、残り約17秒でナフィーサ・コリアーがファウルを受けて得たフリースローを2本とも確実に沈めて85-81とし、試合を決定づけました。
最終スコアは85-81でリンクスが逃げ切り、ホーム開幕戦を白星で飾っています。この勝利でリンクスは開幕3連勝(3勝0敗)となり、2019年以来となる好スタートを切りました。一方、ウィングスは開幕から3連敗(0勝3敗)と苦しい滑り出しとなりました。
注目選手とスタッツ
この試合では両チームで複数の選手が活躍を見せました。主な選手の成績は以下の通りです。
- ミネソタ・リンクス:エースのナフィーサ・コリアーが28得点・8リバウンドの活躍でチームを牽引しました。
特にフリースローを12本すべて成功させる勝負強さを発揮し、第4Qだけで8得点(うち6点がフリースロー)を記録しています。
また、コートニー・ウィリアムズも13得点・7アシスト・5リバウンドとオールラウンドな貢献を見せました。
さらにアラーナ・スミスが13得点・6リバウンド、ナティーシャ・ハイダマンが10得点・8アシストを記録するなど、リンクスは6人がほぼ二桁得点を挙げるバランスの良いオフェンスを展開しました。
チーム全体ではフィールドゴール28本中27本でアシストが付く見事なボールムーブも光りましたが、一方で19個のターンオーバーを喫し相手に21得点を許す場面もあり、課題も見えました。 - ダラス・ウィングス:アリケ・オグンボワレが21得点を挙げ、チーム最多得点をマークしました。
オグンボワレは3ポイントシュートを5本沈め、第4Q終盤には勝負所で重要な3ポイントを決めてチームの追い上げを演出しています。
また、ドラフト全体1位ルーキーのペイジ・ビューカーズも、前半は無得点と静かだったものの後半に存在感を示し、最終的に12得点・10アシスト・3スティールのダブルダブルを記録しました。ビューカーズにとってWNBAキャリア初のダブルダブルとなり、37分間の出場で積極的にプレーメイクを行いチームに貢献しました。
その他のでは、ネイリッサ・スミスらが序盤のリードに貢献しましたが、試合を通じて2桁得点に乗せたのはオグンボワレとビューカーズのみでした。
試合後のコメント
試合後、両チームの選手たちはそれぞれにこの試合について語りました。
ダラス・ウィングスのルーキー、ペイジ・ビューカーズは自身にとって初めてとなった地元ミネソタでのプロ試合を振り返り、
「地元でプレーできたのは本当に素晴らしい経験でした。でも、私たちが一試合ごとに築こうとしているものの方がもっと大事です」
と語りました。
かつて子ども時代にリンクスの試合に熱中し憧れていたというビューカーズは、同じアリーナにプロ選手として戻って来られたことに感慨を示し、
「観客席にはかつての自分のように選手に憧れる少女たちがいます。その姿を目にすると、WNBAでプレーできている自分は本当に恵まれているのだと実感します」
と、その喜びと決意を丁寧に言葉にしました。
一方、勝利したミネソタ・リンクスのキャプテンであるナフィーサ・コリアーも、好調なチームの戦いぶりについてコメントしています。
コリアーは
「私たちのチームは本当に安定して戦うことができています」と手応えを語り、開幕から3連勝という結果にも驕らず落ち着いた姿勢を強調しました。また「自分たちが何をすべきか分かっているし、このチームはとても粘り強いです。それが私たちの最大の強みだと思います」
と続け、昨シーズンから培ってきたチームの粘り強さ(レジリエンス)こそが勝利を引き寄せているとの自信を示しました。
ホーム開幕戦を制し無傷の3連勝スタートを飾ったリンクスのたちは、ファンの前で勝利を届けられたことに喜びつつも、「これからも一戦一戦成長していきたい」と気持ちを新たにしていました。