今季からラスベガス・エイシーズに加入し古巣シアトルに初凱旋したジュエル・ロイドは、第1クォーター開始直後から9連続得点を挙げて好調な滑り出しを見せました。
しかしシアトル・ストームは終盤に14-2の猛攻を仕掛け、初節を34-20と大量リードで終えます。
第2クォーター以降もストームは二桁リードを保ち、前半残り1分8秒には最大24点差(58-34)にまでリードを広げました。
後半に入ってラスベガスも反撃を試み、第4クォーター残り4分18秒には点差を17点まで縮めましたが、そこがこの日の最小得点差で、逆転には至りませんでした。
最後はストームが102-82で逃げ切り、今季3連勝を飾りました。エイシーズは開幕からの連勝が2で止まり、2勝2敗の五分に戻っています。
注目選手とスタッツ ストームはこの試合、先発・控え問わず多彩なオフェンスを展開し、計5人が二桁得点を記録しました。
中でも元MVPのベテラン、ネカ・オグミケがゲームハイの23得点を挙げ、8リバウンド6アシストと攻守に存在感を示しました。
オグミケは第1クォーターだけで11得点を叩き出し、試合終盤には通算得点でキャンデース・パーカー(6,574点)を抜いてWNBA歴代9位に浮上しています。
さらに控えガードのエリカ・ウィーラーが今季自己最多となる21得点・7アシストの活躍でチームを勢いづけ、ギャビ・ウィリアムズとエジ・マグベガーもそれぞれ12得点をマークしました。
加えてポイントガードのスカイラー・ディギンズも10得点8アシストと攻撃を組み立て、ストームのアシスト数は計32本に達しました。
32アシストは球団史上3番目に多い記録で、フィールドゴール成功率も驚異の60%(42/70)を記録するなど、チーム全員で効率的なオフェンスを展開したことが数字にも表れています。
一方、エイシーズは主力陣がやや伸び悩みました。
エースのエイジャ・ウィルソンはチーム最多の15得点を挙げたものの、相手の厳しい守備に遭いフィールドゴール成功は5/13本と苦戦しました。
ロイドは古巣相手に14得点を記録し、第1Qの9得点もあって存在感は示しましたが、その後はストームの守備に抑え込まれ追加点を伸ばせませんでした。
スターティングガードのジャッキー・ヤングも14得点で続き、ルーキーのエリザベス・キトリーが今季自己最多の11得点を挙げる健闘を見せました。
しかしチーム全体のフィールドゴール成功率は43.9%にとどまり、アシスト数も19本とストームに大きく見劣りしています。
また、リバウンド数でも25対34と下回り、ペイント内得点も38対52、速攻得点も10対24と総合力で圧倒されました。ウィルソンはこの試合で連続二桁得点記録を「55試合」に伸ばしWNBA歴代8位タイとしましたが、女王たるエイシーズは課題の残る敗戦となりました。
試合後のコメント 試合後、ラスベガスのベッキー・ハモン・ヘッドコーチはチームの内容に強い不満を示しました。
ハモンHCは、
「規律がなく、努力も足りなかった」
と語り、攻守においてチームが噛み合っていない現状を厳しく指摘しました。
さらに、
「システムが正しく遂行されない限り、戦術が機能するかどうかさえ判断できない」
とも述べ、基本の徹底ができていないと苦言を呈しています。
一方、勝利したストームのノエル・クインHCは、
「全員が序盤からエナジーを発揮し、自分たちのバスケットができた結果だ」
とチームの立ち上がりを称賛しました。
32本のアシストについても、
「選手同士が信頼し合い、ボールをよく回してくれた」
と満足げに語り、特に初回に34得点を叩き出した攻撃陣の集中力を勝因に挙げています。
ロイドの古巣相手の初対戦について問われると、クインHCは、
「特別な試合だが、自分達は目の前の一戦に集中するだけ」
と冷静に振り返り、あくまでチームとして目指すバスケットを全うした結果だと強調しました。
最後に、この日のヒーローとなったオグミケは、
「チーム全員で掴んだ勝利。とても誇らしい」
と笑顔を見せました。
自身の通算得点がレジェンドのパーカーを上回ったことについて問われると、
「偉大な選手の記録を越えられて光栄です。まだ先は長いので、一戦一戦ベストを尽くしたい」
と気を引き締めています。
ストームは新戦力を多く迎え入れた今季、ロイド退団の穴を感じさせない好スタートを切りました。
クインHCは、
「経験豊富なベテランたちがチームを落ち着かせ、要所で得点を取ってくれる。これからも組織力と集中力を発揮して戦いたい」
と述べ、シーズンは始まったばかりだと気を引き締めていました。
今回敗れたエイシーズもリーグ屈指の戦力を擁する強豪であり、今後の巻き返しが期待されます。
両チームの次戦は、エイシーズが今週金曜日にロサンゼルス・スパークスと、ストームは火曜日にミネソタ・リンクスと対戦します。
今季のWNBAは始まったばかりで、昨年王者のエイシーズと新生ストームの戦いから今後も目が離せません。