試合はニューヨークのバークレイズ・センターで行われ、WNBA現王者のニューヨーク・リバティが開始直後から主導権を握りました。
ブリアナ・スチュワートが立ち上がりから9連続得点を挙げる活躍でリバティが22-3とリードを広げ、第1クォーターから27-10と大差をつけます。
ヴァルキリーズはフィールドゴールわずか2/15(成功率12.5%)とシュートが大きく崩れ、第1Qだけでチーム合計10得点に留まりました。
一方、スチュワートはこのクォーターだけで11得点を記録し、相手全体の得点を上回る勢いでした。
第2Q以降、ヴァルキリーズは徐々に落ち着きを取り戻し、第2Qは21-19と互角の展開に持ち込んで前半を48-29(19点差)で折り返します。
第2Qにはリバティのマリーン・ヨハネスが3ポイントを立て続けに沈め(このクォーターだけで4本成功)、リードを守る重要な働きを見せました。
後半に入るとヴァルキリーズが反撃します。
第3Q、中盤に10-2の連続得点を奪うランで一時は点差を14点まで縮め、さらにカイラ・ソーントンの3ポイントシュートで11点差まで迫ったかに見えました。
しかしその直後、このソーントンの3ポイントは**ショットクロック・バイオレーション(時間切れ)**によって無効と判定され、せっかく掴みかけた流れを失ってしまいます。
この判定の後、リバティが態勢を立て直し、第3Q終了時点でも67-51とリードを16点に保ちました。
最終第4Q、リバティは再びペースを上げて28-16とヴァルキリーズを圧倒し、最終スコア95-67で試合終了。
リバティは試合開始から終了まで一度もリードを明け渡すことなく、**ワイヤートゥワイヤー(終始リードする展開)**で快勝しました。
リバティはこの試合、持ち味のボールムーブ(速い展開と的確なパス回し)で30アシストを記録し、相手を上回るチームオフェンスを展開しました。
特に第4Qにはヴァルキリーズのターンオーバーが相次ぎ(このクォーターだけで8本)、リバティは速攻から合計24得点を稼いで一気に突き放しています。
リバティは相手のターンオーバー23本から32得点を奪う効率の良さを見せつけ、ヴァルキリーズのセットした守備をさせないまま試合を進めました。
ヴァルキリーズは第2Q・第3Qだけを見れば計41-40と互角以上の得点を奪いましたが、序盤と終盤(いわゆるブックエンドの各クォーター)で計29点差をつけられたことが響き、最後まで追いつくには至りませんでした。
注目選手とスタッツ
この試合の主役はリバティのエース、ブリアナ・スチュワートでした。
スチュワートはフィールドゴール10/14の高確率でゲームハイの24得点を挙げ、序盤からリバティの攻撃を牽引しました。
加えて3スティールも記録し、攻守に存在感を発揮しています。
ジョンケル・ジョーンズも昨季ファイナルMVPに輝いた実力を見せ、13得点・10リバウンドのダブルダブルをマークしました。
ジョーンズは5アシスト・1ブロックも記録し、ゴール下だけでなくハイポストからの展開力でも貢献しています。
ベンチからはマリーン・ヨハネスが18得点の活躍。
第2Qに4本の3ポイントシュートを沈めるなど、この日6本の3ポイントを決めてオフェンスに勢いを与えました。
また、新加入のガード、ナターシャ・クラウドは得点こそ5点に留まったもののゲーム最多の10アシストを捌き、リバティのシーズンハイとなるチーム30アシストを演出しています。
リバティはフィールドゴール成功率50.0%(37/74)・3P成功率40.0%(14/35)とシュートも高精度で、守備でも14スティールを記録するなど終始隙のない戦いぶりでした。
敗れたヴァルキリーズでは、カイラ・ソーントンとヴェロニカ・バートンの2人がそれぞれ13得点を挙げ、チームの得点源となりました。
フォワードのソーントンは古巣リバティとの初顔合わせとなったこの試合で6リバウンドに加え4スティールも記録し、意地を見せています。
ポイントガードのバートンも6アシスト・3スティールをマークし、攻守に奮闘しました。
ベテランセンターのテミ・ファグベンルもシュート好調で、放ったフィールドゴール5本を全て成功させて11得点を記録。
攻撃面ではチーム全体で3ポイントをシーズン最多の11本沈めるなど見せ場も作りましたが、フィールドゴール成功率は33.9%にとどまり、シュート精度の差が最終スコアに表れる形となりました。
なお、ヴァルキリーズはこの試合でティファニー・ヘイズ(主力シューティングガード)とモニク・ビリングス(フォワード)が共に欠場しており、ヘイズは鼻の負傷、ビリングスは足首の捻挫で直前まで出場可否が不透明でした。
試合後のコメント
試合後、敗れたヴァルキリーズの選手たちは立ち上がりの躓きを悔やみました。
先発ポイントガードのヴェロニカ・バートンは記者会見で、「プロのバスケットボール選手である以上、常に我々には果たすべき水準があります。
第1Qは先発陣がかなり平坦(精彩を欠いた)な立ち上がりとなってしまい、主導権を握れませんでした。
だから正直、もう二度と同じことを繰り返してはいけないと思います」と語り、自らを含め先発の責任を述べました。
またバートンは、第4Qだけで8個ものターンオーバーを犯してしまった点について問われると、「私たちは決してサイズの大きなチームではありません。
ここ数試合はボールを大事に扱えていましたが、まだ学習途中でもあります。
毎試合前にターンオーバーを減らすことを鍵だと確認しているのに、必要のない難しいパスを狙いすぎてしまう場面がある。
ディフェンスを割ろうとして無理をしてしまうこともあるし、もっとシンプルにパスを回すべきなんです。
第4Qに8個ものミスを犯したのはメンタルの問題だと思います」とチームの課題を分析しました。
ナタリー・ナカセ・ヘッドコーチも試合後の会見で、ターンオーバーが守備面に与えた悪影響について言及しています。
「ボールさえしっかりキープできれば、相手に速攻(トランジション)のチャンスを与えずに済みます。
シュートまで持っていき良い形で攻めきること、ボールを大切に扱うことが本当に重要です。
今日は色々なディフェンス策を試しましたが、指示を守れたのはせいぜい50%程度でしょう。
細部にもっと注意を払わなければなりません」と述べ、基礎的な部分の徹底不足に課題があると語りました。
一方、勝利したリバティ側では、この試合が昨季優勝メンバーで現在ヴァルキリーズ所属のカイラ・ソーントンに対するリング授与式を伴う特別な一戦でもありました。
ブロンデロHCは「我々はセレモニーも含めて気持ちを切らさず集中して臨めた。
昨年の優勝は素晴らしいものだったが、もう切り替えて前に進んでいる」と語り、リング受け渡しのセレモニー後もしっかり集中してゲームに入れたことを強調しています(※ソーントンは試合前に古巣リバティから優勝リングと花束を受け取り、元チームメイトたちから祝福を受けました)。
連勝を伸ばしたリバティの選手たちは、試合後のSNSでも「チームの状態は最高だ」「4戦無敗を誇りに思う」などとコメントしており、王者として順調な滑り出しに手応えを見せています。