ブロックバスタートレードとその期待の重圧
今年2月、シカゴ・スカイは全体3位指名権、2027年の1巡指名権交換オプション、2027年の2巡指名権をワシントン・ミスティックスに送り、ベテランコンボガードのアリエル・アトキンスを獲得するビッグトレードを実行しました。
このウィンナウ(勝利優先)戦略の動きは、バスケットボール界に驚きをもって迎えられました。アトキンス自身の実力は疑う余地がありません。
彼女はWNBAチャンピオン、オリンピック金メダリスト、2度のオールスター選出、5度のオールディフェンス選出という輝かしい経歴を持つ選手です。
しかし、宝くじ級のドラフト指名権を手放してまで、スカイのチーム力の上限を十分に引き上げることができるのかという疑問の声も多く聞かれました。
シーズン開始から約1ヶ月が経過した現在、このトレードはスカイにとってさらに厳しい状況を生み出しています。
チームは2勝5敗で順位表の11位に沈んでおり、アトキンスのパフォーマンスは不安定で、さらにはコートニー・バンダースルートが前十字靭帯断裂で今シーズン絶望となる重傷を負ってしまいました。
現在の厳しい状況とソニア・シトロンの活躍
現在のスカイを取り巻く状況は非常に困難です。ミスティックスが3位指名権で獲得したソニア・シトロンは、平均13.7得点、4.3リバウンド、2.2アシストを記録し、3ポイントシュート成功率37.5%という優秀な成績を残しており、新人王の有力候補となっています。
さらに悪いことに、スカイは2026年の1巡指名権をミネソタ・リンクスに借金で渡しているため、タンク戦略(順位を下げて上位指名権を狙う戦略)を取ることもできません。つまり、スカイには今シーズン競争力を発揮する以外に選択肢がないのです。
0.500を下回るチームでも定期的にプレーオフに進出するリーグにおいて、プレーオフ進出はまだ可能な状況です。そのためには、アトキンスがチームを牽引する必要があります。
アトキンスの適応とチームへの期待
「確かに最初の頃は、トレードによって設定された期待に応えなければならないというプレッシャーを少し感じていました」
と、アトキンスは6月7日のインディアナ・フィーバー戦前にCBSスポーツに語りました。
「でも結局のところ、誰かがあなたを欲しがり、あなたを信じているなら、ただ出て行って自分らしくプレーするしかないんです。彼らには理由があってトレードしてくれたのですから。」
ワシントンでキャリア最初の7シーズンを過ごしたアトキンスは、新しいシステムと新しいチームでの自分の役割を見つけようとする中で、シカゴでのスタートは苦戦しました。
しかし、最初の3試合と直近の4試合を比較すると、彼女のパフォーマンスは劇的に改善しています。
直近4試合では平均17得点を記録し、チーム内での得点とシュート試投数の両方でトップに立っています。
タイラー・マーシュ ヘッドコーチは、
「アリエルはゲームを深く考える選手です。キャリアのほぼ全てを同じシステムで過ごしてきた選手にとって、私たちのスタッフやシステム、チームメイトを学ぶことは調整が必要なことです」
と説明しています。
バンダースルートの離脱により、アトキンスへの期待と責任はさらに大きくなりました。スカイがプレーオフ進出という目標を達成するためには、彼女のリーダーシップと得点力が不可欠となっています。

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