WNBAで17年ぶりの拡張チームとなったゴールデンステート・バルキリーズは、5月16日の初戦で独自の歴史の足跡を残しました。この日、ナカセ・ナタリー(Natalie Nakase)が正式にWNBA史上初のアジア系アメリカ人ヘッドコーチとなったのです。
身長わずか5フィート1インチのナカセは、典型的なバスケットボール選手やコーチではありません。UCLAでウォークオンガードとしてキャリアをスタートし、3年生で先発の座を獲得、チームキャプテンまで務めました。
彼女は全米女子バスケットボールリーグでプロとしてプレーしましたが、リーグが閉鎖され、WNBAのロスターに残ることができなかった後、海外でプレーを続けました。
膝の怪我でキャリアが終わった後、コーチングに転身し、ドイツと日本で経験を積んだ後、アメリカに戻ってLAクリッパーズのビデオインターンとなりました。
NBAからWNBAへの華麗なキャリア転身
ナカセはNBAで10年間を過ごし、最終的にクリッパーズのアシスタントコーチに任命されました。2022年、ベッキー・ハモンの下でWNBAのアシスタントコーチとして雇われ、ラスベガス・エースを21年ぶりの連続WNBA優勝に導きました。
10月にバルキリーズのコーチに任命されたナカセは、2勝2敗のスタートを切り、5月21日にホームで初勝利を挙げました。
最近、ESPNとのインタビューで、ヘッドコーチ職への道のりと、父親や他のメンターが彼女の人生に与えた影響について語りました。
今シーズンについて、ナカセは
「私たちは全く新しいチームで、時間がかかります。選手たちに日々シーズンを処理する空間を与えています。毎日1%ずつ良くなろう、コントロールできることをコントロールしようという考え方を身につけてもらおうとしています」
と語っています。
父親との絆と指導哲学
ナカセの指導哲学には、父親ゲイリー・ナカセの影響が色濃く反映されています。初のWNBA優勝後に父親の墓を訪れたことをInstagramに投稿していた彼女は、
「私は生まれながらにしてこの仕事に向いており、父もそう言っていたでしょう。父は悪口を言うので、『ナット、俺に会いに来る必要なんてねえよ。花なんていらねえ』と言っていたでしょう。父は花が嫌いでした。『仕事に行け。目標に集中しろ』と言っていたでしょう」
と振り返ります。
チーム作りにおいても独特のアプローチを取っています。
多くの海外選手を抱えるチームの緊張を和らげるため、キャンプ初日にスタッフと一緒にダンスを踊ることにしたそうです。
「最初はスタッフも嫌がっていましたが、私は『物事を混ぜ合わせて、私たちが愚か者になって、選手たちを笑わせなければならない』と言いました」
メンターからの厳しい愛と貴重な助言
ナカセは数多くのメンターから学んできました。
インディアナ大学のアーモンド・ヒルコーチは、
「巨大なメンターでした。彼は私の弱点を知っており、それらの弱点について私を押し進め、指摘してくれます。私の父と同じ考え方です」
と語ります。
ボストン・セルティックスのジョー・マズーラコーチからは
「死ぬことを恐れるな」
という助言を受けました。
「少し暗いですが、同じ考え方です:大きなリスクを取れ。これがあなたの初年度だ。思い切ってやれ、しかし大きなリスクを取る時は、転倒する準備をして、そこから学ぶ準備をしなければならない」
エースでの勝利体験と学んだ教訓
ベッキー・ハモンの下でエースで2度の優勝を経験したナカセは、
「勝利は困難です。勝利には多くのものが必要です。人々は勝利には多くの運が必要だと言いますが、私は運を準備するものだと思います」
と語ります。
「勝利した2年間、私は人生で一度も働いたことがないほど働きました。ベッキーは本当に私をそこまで押し進めてくれましたが、同時に私に挑戦し、常に『ナット、私に挑戦しろ。これがゲームプランだ、それを分析しろ』と求めてきました」
次世代への影響と責任
アジア系アメリカ人として初のWNBAヘッドコーチになったことについて、ナカセは、
「私にとって世界を意味します。実際に声に出して言ったことはありませんでしたが、本当に世界を意味します。そして、最初のプレシーズンゲーム中にそれを感じました。考えてはいましたが、それが実際に実現し、周りを見回して2時間で影響を与えることができる17,000人のファンを見た時、それはある意味で非常に象徴的でした。しかし、私が最初である理由は実際にはそれではないことを学びました。私が最後にならないようにしなければなりません」
この言葉は、ナカセが単に歴史を作るだけでなく、後に続く者たちの道を切り開く責任を深く理解していることを示しています。彼女の挑戦は、多様性と包含性がスポーツ界でいかに重要かを体現する生きた例となっています。
引用:ESPN

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