インディアナ・フィーバーによるデワナ・ボナーの電撃解雇は、WNBA界に大きな衝撃を与えました。今オフシーズン最大の補強として華々しく迎えられた6度のオールスター選手が、わずか9試合でチームを去ることになった背景には、複雑な事情が絡んでいました。
今年2月、ボナーは20万ドルの契約でフィーバーと合意しました。これはケルシー・ミッチェルの24万9244ドル(スーパーマックス)、ナターシャ・ハワードの21万4466ドルに次ぐ、チーム3番目の高給でした。15年のキャリアを持つベテランは当時、「私は彼らが持っているものの中の、もう一つのパズルピースになりたかった」と語っていました。
当初の期待と現実のギャップ
ステファニー・ホワイトHCは加入会見で「彼女のパズルピースという表現が気に入っています。コート上での能力、ロッカールームでの存在感、そして毎日チームに提供できる知恵のために、これは大きなピースなのです」と絶賛していました。
実際、開幕戦ではボナーがWNBA通算得点で歴代3位に浮上する記念すべき瞬間もありました。ケイトリン・クラークがマイクに向かってチームメイトに「ボナーに記録達成をさせよう」と呼びかける姿が全国中継で放送され、ファンからも大きな喝采を浴びました。
しかし、その後の展開は期待とは大きく異なりました。最初の3試合でスターターを務めたものの、20分以下の出場時間で合計1得点という厳しい結果に終わりました。5月末から6月初旬にかけては復調の兆しを見せ、ワシントン戦で21得点、古巣コネチカット戦で13得点を記録しましたが、その後「個人的な事情」でチームから離れることになりました。
「契約離婚」の背景
WNBAでは小さなロスターと制限的なサラリーキャップのため、予想通りの貢献ができない選手やロッカールームで問題を起こす選手を抱え続ける余裕がありません。ボナーのケースは、近年では2022年のティナ・チャールズとフェニックス・マーキュリーの「契約離婚」に似ています。
チャールズも優勝を求めてマーキュリーに移籍しましたが、わずか16試合でチームから離れることになりました。GMは「今シーズンは我々の計画通りに進んでおらず、この時点で双方が別々の道を歩むのが最善だった」と発表していました。
2022年シーズンは「契約離婚」の年と呼ばれ、5件の契約解除が発生。前年も3件発生しており、WNBAでは珍しいことではなくなっています。
フィーバーは既にアーリ・マクドナルドの再契約で対応を開始しています。マクドナルドはベテラン最低保証の5万3000ドルで契約でき、ボナーの契約から約13万6000ドルを節約できるため、約11万9000ドルのキャップルームが生まれます。
一方、ボナーは48時間以内にウェーバーにかけられ、キャップスペースのあるチームが獲得可能です。しかし、報道によれば彼女はフェニックス・マーキュリーとの契約を希望しており、他チームは獲得を控えるよう助言されているとのことです。
マーキュリーには8万8103ドルのキャップスペースがあり、ベテラン最低保証の7万8831ドルを上回るため、獲得は可能です。そこには婚約者のアリッサ・トーマス、カーリア・コッパー、サトゥー・サバリーがおり、フリーエージェント補強で急速にまとまったチームです。
ボナーがインディアナで過ごした短い期間中も、優勝への願望は変わりませんでした。フィーバーのアンバー・コックスGMは加入会見で「DBを本当に特別にしているのは、彼女の勝利への意欲です。2009年のフェニックスでのルーキーシーズン以来、DBに最も大切なことを尋ねると、答えは変わりません。『ただ勝ちたい』」と語っていました。その願いが、最終的に別のチームへの移籍につながったのは皮肉な結果と言えるでしょう。
引用:YAHOOSPORTS

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