ミネソタ・ティンバーウルブズの新オーナーに正式就任したアレックス・ロドリゲスとマーク・ロアが、球団レジェンドであるケビン・ガーネットとの関係修復を最優先事項の一つに掲げました。グレン・テイラー前オーナーとの確執から15年以上もチームと距離を置いてきたガーネットでしたが、ついに「帰還」の時が訪れるかもしれません。
「蛇とはビジネスをしない」ガーネットの怒りの真相
2020年4月、ガーネットはThe Athleticのシャムズ・チャラニアとのインタビューで、テイラーを「蛇(snake)」と呼び、強烈な批判を展開しました。
「グレンは私の立場を知っている。私はそれを受け入れるつもりはない。第一に、それは本心からのものではない。第二に、彼はファンやコミュニティから圧力を受けているだけだ」
「私はミネソタでの年月、そのコミュニティを大切に思っている。しかし、グレン・テイラーやテイラー社、彼に関わるものとは一切関わりたくない。私は蛇とビジネスをしない。蛇のようなクソ野郎とはビジネスをしない」
この激しい言葉の背景には、2015年に起きた悲劇と約束の破棄がありました。
フリップ・サンダースの死と消えた約束
2015年、ガーネットはブルックリン・ネッツからティンバーウルブズへトレードで復帰しました。この復帰には重要な約束が含まれていたといいます。当時のヘッドコーチ兼GMだったフリップ・サンダースの仲介により、ガーネットは引退後にチームの少数オーナーとなり、フロントオフィスで重要な役割を担うという計画でした。
しかし、2015年10月にサンダースががんで急逝。ガーネットによれば、その瞬間にテイラーとの約束も消え去ったといいます。
「グレンと私はフリップが亡くなる前に理解し合っていた。フリップが亡くなったとき、その理解もフリップと共に消えた。そのことについて、私はグレンを許さない」
1億2600万ドル契約から始まった複雑な関係
皮肉なことに、1997年にガーネットをNBA史上最高額(当時)の6年1億2600万ドル契約で引き留めたのはテイラーでした。この契約は後にNBAのロックアウトを引き起こし、最高年俸制度導入のきっかけとなりました。
しかし、その後のテイラーの経営判断は、ガーネットとの関係を徐々に悪化させていきました:
- 2005年:恩師サンダースの解雇
- ジョー・スミスの違法契約によるドラフト指名権剥奪
- 優勝を狙えるロスター構築の失敗
- 2007年:ガーネットのボストン・セルティックスへのトレード
ロドリゲスが語る「レガシー・コネクター」の重要性
トーマス&マックセンターで行われたインタビューで、ロドリゲスは力強く語りました。
「私たちは関係を修復したい。なぜなら彼(ガーネット)は私たちのフランチャイズ、コミュニティ、ティンバーウルブズの歴史にとって非常に重要な存在だからです」
「ケビンとの関係について、私たちは大きな橋を架ける必要はありません。なぜなら、私たちはケビンと素晴らしい関係を持っており、彼に大きな敬意を抱いているからです。彼も私たちに対して同じように感じてくれています」
MLBのレジェンドであるロドリゲスは、ヤンキース時代の経験を引き合いに出しました。
「ジョージ・スタインブレナー(ヤンキースの故オーナー)は、背中の名前以上のもののためにプレーすることを理解していました。ピンストライプのユニフォームには責任が伴い、レガシー・コネクターは非常に重要です。私たちもここで同じことをしようとしています」
ガーネットの記録と功績が物語る偉大さ
ガーネットがティンバーウルブズにとってどれほど重要な存在かは、数字が雄弁に語っています:
- 2004年:NBA MVP受賞(フランチャイズ史上唯一)
- 通算19,201得点(球団歴代1位)
- 通算10,718リバウンド(球団歴代1位)
- 通算2,805アシスト(球団歴代3位)
- オールスター選出10回(ウルブズ在籍時)
- 1998から2007年の10年間:平均22.0得点、12.2リバウンド、4.9アシスト、1.7ブロック、1.4スティール
2004年のウエスタン・カンファレンスファイナル進出は、現在もフランチャイズ史上最高の瞬間として語り継がれています。
新時代への期待と和解の可能性
プレーオフでガーネットの昔のハイライト映像が流されると、ファンは熱狂的な反応を示しました。これは、ファンがどれほどガーネットの帰還を望んでいるかを如実に示しています。
ロドリゲスは「ファンベースにとって重要なことは、マークと私にとっても重要になる」と明言。ニックスの「Always a Knick」のような、OBを大切にする文化を作りたいと語りました。
現在、アンソニー・エドワーズという新たなスターを擁するティンバーウルブズ。しかし36年の歴史において、ガーネットを超える選手は現れていません。新オーナー体制の下、ついに背番号21の永久欠番セレモニーが実現する日が来るのでしょうか。
「私たちのフランチャイズを通過した素晴らしい人々がいます。彼らが周りにいないのは心が痛む」とロドリゲス。
15年以上続いた確執に終止符を打ち、ティンバーウルブズ史上最高の選手が「家」に帰る日。それは単なる和解以上の意味を持つことになるでしょう。
引用:YAHOO!SPORTS

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