7月19日(土)、インディアナポリスで開催される2025年WNBAオールスターゲーム。チーム・クラーク対チーム・コリアーの対戦は、単なるエキシビションマッチを超えた、リーグの未来を占う重要な一戦となりそうです。
最大の注目は、2022年以来3年ぶりに復活する「4ポイントサークル」。リムから28フィート(約8.5メートル)の位置に設置される特別ルールが、これまでにない興奮をもたらすことは間違いありません。しかし、鼠径部の怪我でケイトリン・クラークが欠場を発表。ファン待望の「超ロングレンジ対決」は来年に持ち越しとなりました。
記録更新の予感!過去3年連続で個人最多得点記録が塗り替えられた驚異のデータ
WNBAオールスターゲームでは、過去3年連続で個人最多得点記録が更新されるという異常事態が続いています。2022年にケルシー・プラムが30得点でマヤ・ムーアの記録に並び、2023年にはジュエル・ロイドが31得点で新記録を樹立。そして昨年、アリケ・オグンボワレが34得点という驚異的な数字を叩き出しました。
今年も記録更新の可能性は十分。特に注目すべきは、クラークがすでに歴代2位タイのアシスト数(10)を記録していること。スー・バードの持つ11アシストの記録更新も視野に入っていましたが、残念ながら今年は実現しません。
チーム得点記録も更新される可能性があります。2023年にチーム・スチュワートが143得点、2024年にチーム・ウィルソンが134得点を記録。4ポイントサークルの復活により、今年はさらなる高得点ゲームが期待されます。
「4ポイントサークル」のスペシャリストたちの数字を見ると、その期待値の高さがわかります:
- クラーク:25-29フィート間でリーグ最多の1試合平均5本を試投、1.6本を成功
- サブリナ・イオネスク:同距離で3.9本試投、1.3本成功(リーグ2位タイ)
- サトウ・サバリー:3.0本試投、0.9本成功(リーグ7位)
32-37フィート(約9.7-11.3メートル)という超ロングレンジからも、クラークは3本を成功させており、これは他の全選手の合計と同じ数字です。
賞金総額11万5000ドル!3ポイントコンテストとスキルコンペティションに超豪華メンバーが集結
今年のオールスターウィークエンドは、賞金面でも大きな注目を集めています。保険会社Aflacの協賛により、3ポイントコンテスト優勝者には6万ドル(約900万円)、スキルコンペティション優勝者には5万5000ドル(約825万円)が贈られます。これはNBAと同額の賞金設定で、WNBAの規定による2575ドルを大きく上回ります。
昨年両部門を制したアリーシャ・グレイは、合計11万5000ドル(約1725万円)を獲得。今年も連覇を狙います。3ポイントコンテストには、2年前に男女通じて史上最高記録を樹立したイオネスクも参戦。ミスティクスのルーキー、ソニア・シトロンは、チームメイトのキキ・イリアフェンの背中を使って練習する姿が目撃されており、ダークホースとして注目されています。
「賞金が明確になったことで、選手たちのモチベーションは格段に上がっています」と関係者は語ります。オリンピックイヤーではない今年、トップ選手たちが積極的に参加を表明したのも、この賞金額の影響が大きいでしょう。
CBA交渉の緊張感とUnrivaledリーグの存在感が会場を支配
しかし、華やかなオールスターウィークエンドの裏側では、選手会とリーグの間で行われているCBA(労使協定)交渉の緊張感が漂っています。木曜日に予定されている両者の会合は、今後のリーグの方向性を決める重要な交渉となります。
ブリアナ・スチュワートは先週、「交渉のペースが遅すぎる」と不満を表明。「昨年10月に正式にオプトアウトしたのに、最初の回答が今になってようやく来るなんて」と批判しました。
選手会の幹部には、会長のネカ・オグウミケ、第一副会長のプラム、副会長のスチュワート、コリアー、アリーシャ・クラークが名を連ねます。彼女たちはオールスターという華やかな舞台を、交渉の重要性をアピールする場としても活用するでしょう。
さらに興味深いのは、コリアーがドラフト中にUnrivaledのTシャツを着用し、同リーグについて何度も言及したこと。彼女はスチュワートと共同で設立したこの新リーグのチームメイト全員を自分のチームにドラフトしました。「マダム・プレジデント(会長)」と呼んでオグウミケを指名するなど、政治的なメッセージも込められています。
UnrivaledはインディアナポリスでもPRイベントを開催予定。WNBAの独占的な地位に挑戦する新リーグの存在感は、オールスターウィークエンドでも無視できないものとなっています。
インディアナポリス市内では、空港にバスケットボールコートが設置され、市内各所でファンイベントが開催されます。リンクスのコートニー・ウィリアムズとナティーシャ・ハイデマンは、72時間連続のライブ配信を予告。「カメラは止まらない。バッテリーパックもWi-Fiボックスも準備万端」とウィリアムズは意気込みを語りました。
ケビン・ハート設立のHartbeat社主催による「フィーバー・フェスト」では、セドリック・ジ・エンターテイナー、レスリー・ジョーンズ、ザ・キッド・ラロイ、G-イージーが出演。フィーバーのシドニー・コルソンはコメディデビューも果たします。
今年のWNBAオールスターは、単なるバスケットボールの祭典を超えた、リーグの現在と未来が交錯する歴史的なイベントとなりそうです。クラークの欠場は残念ですが、4ポイントサークルの復活、記録更新への期待、そしてCBA交渉の行方など、見どころは尽きません。7月19日の夜、インディアナポリスから目が離せません。

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