WNBAオールスターウィークエンドで行われた労使協定(CBA)交渉が、選手側の怒りと失望で終わりました。木曜日にインディアナポリスで実施された対面交渉は、両者の溝を埋めるどころか、むしろ対立を深める結果となったのです。
シカゴ・スカイの2年目フォワード、エンジェル・リースは交渉を「失礼だ(disrespectful)」と痛烈に批判。「私たちに送られてきた提案は失礼なものでした」と、リーグ側の姿勢に強い不満を表明しました。
「無駄な機会だった」ブリアナ・スチュワートが明かす交渉の実態
選手会副会長を務めるニューヨーク・リバティのブリアナ・スチュワートは、交渉の実情について率直に語りました。
「木曜日の会議は、リーグや理事会と同じ部屋にいられたという点では良かったです」とスチュワート。「しかし、率直に言って、無駄な機会でした」
この対立の発端は、2024年シーズン終了後に選手会が2025年10月31日でのCBA離脱を発表したことにあります。ケイトリン・クラークの登場により急上昇したテレビ放映権料を背景に、選手たちはより大きな分配を求めているのです。
ロサンゼルス・スパークスのケルシー・プラムは記者団に対し、核心を突く発言をしました。「収益分配こそが真の変革です。私たちはパイ全体の一部を求めています。パイの一部の一部ではなく」
この「パイ全体」という表現は、現在の収益分配システムの問題点を端的に表しています。選手たちは、リーグ全体の収益から直接分配を受けるのではなく、限定的な収益源からの分配しか受けていないと主張しているのです。
「女子バスケは急上昇中」リースが語る将来への危機感
リースは交渉の重要性について、より広い視点から語りました。
「明らかに、女子バスケットボールは急上昇しています。今だけでなく、将来のためにも、私たちが望むものを獲得することが重要です」
さらに、初めて交渉の場に参加したリースは、その経験を「目を開かされた」と表現。「使われている言葉、私が聞いて嬉しくなかったこと。それは失礼でした」と、リーグ側の態度に失望を隠しませんでした。
新しい協定に合意するまでの期限は、わずか3カ月半。ミネソタ・リンクスのスター選手で、同じく選手会副会長のナフィーサ・コリアーは切迫感を露わにしました。
「時間との戦いです。誰もロックアウトを望んでいません」とコリアー。「しかし結局のところ、私たちは断固として立ち向かわなければならず、特定のトピックについては譲歩するつもりはありません」
Unrivaledとの利益相反?複雑化する交渉の背景
興味深いことに、コリアーとスチュワートは今オフシーズンにデビューした3対3リーグ「Unrivaled」の共同創設者でもあります。選手会の交渉当事者である2人が、ライバルリーグに重要な財政的投資をしていることは、利益相反に見える可能性があります。
実際、多くの選手にとってUnrivaledの給与体系は、WNBAの給与よりも優れていることが指摘されています。これも交渉の一部となっており、WNBAは選手たちに自リーグを優先するよう求めています。
一方、キャシー・エンゲルバートコミッショナーは交渉を「非常に建設的な対話」と表現し、合意に達することに楽観的であると述べました。しかし、選手側の反応を見る限り、両者の認識には大きなギャップがあるようです。
選手側の主な要求
- リーグ全体の収益からの直接的な分配
- テレビ放映権料上昇分の公平な配分
- 将来の成長を見据えた長期的な保証
- 他リーグでのプレーの自由
期限まで残り3カ月半の中で、以下の課題が山積み
- 収益分配の具体的な割合
- 選手の最低・最高給与の設定
- Unrivaledなど他リーグとの関係性
- 海外リーグでのプレーに関する規定
「私たちは回復力のあるグループです。望む結果を得るために必要な団結力を知っています」とプラムが語ったように、選手たちは団結して交渉に臨んでいます。
WNBAが歴史的な成長を遂げている今、その果実をどう分配するかは、リーグの将来を左右する重要な問題です。リースが「失礼だ」と表現した現在の提案から、両者が歩み寄れるかどうか。残された時間は多くありません。
引用:YARDBARKER

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