2023年3月23日のNBAの試合で起きた異常な賭博行為の詳細が、連邦捜査の文書から明らかになりました。マイアミ・ヒートのテリー・ロジアーに関する30もの賭けが、わずか46分間で1人の賭け客から行われていたのです。総額1万3759ドル(約206万円)にのぼるこの賭けは、すべてロジアーの得点、リバウンド、アシストの「アンダー(予想を下回る)」に賭けられていました。
ESPNのデビッド・パーダム記者が入手した捜査文書によると、この異常な賭博パターンは即座に監視システムに検知され、NBAと主要スポーツブックに警告が発せられました。そして試合では、まるで脚本通りのような展開が待っていたのです。
わずか10分で退場!すべての賭けが的中した「偶然」
シャーロット・ホーネッツ対ニューオーリンズ・ペリカンズの試合で、ロジアーは足の怪我を理由にわずか10分で退場。その成績は5得点、4リバウンド、2アシストと、すべての項目で賭けのラインを下回りました。結果として、30の賭けはすべて的中したのです。
米国の賭博市場監視機関「U.S.インテグリティ」は、この異常な賭博パターンを検知し、警告を発してから1時間以内に、主要なスポーツブックはロジアーに関する賭けの受付を停止。しかし、すでに賭けは成立していました。
NBAは独自の調査を行い、リーグ規則違反はなかったと判断。ロジアーはリーグから「クリア」されたと報じられました。しかし、連邦捜査は現在も継続中です。ロジアーの弁護士はESPNに対し、ロジアーはもはや連邦捜査の対象ではないと主張していますが、ニューヨーク東部地区連邦検事局の広報担当者は、捜査におけるロジアーの立場について確認も否定もしていません。
「ムース」という謎の人物が繋ぐ3選手の賭博疑惑
この事件は、より大きな賭博スキャンダルの一部である可能性が浮上しています。同じ連邦捜査により、トロント・ラプターズのジョンテイ・ポーターは2024年4月に重罪で起訴され、NBAから永久追放処分を受けました。
さらに、フリーエージェントのマリク・ビーズリーも、2024年1月にミルウォーキー・バックスでプレーしていた時期の賭博行為について、連邦当局とNBAから調査を受けています(まだ起訴はされていません)。
パブロ・トーレ記者とヤフースポーツのトム・ハバーストローの調査報道によると、「ムース」という偽名を使う人物が、ロジアー、ポーター、ビーズリーの3選手の賭博活動を結びつけているとのこと。驚くべきことに、ロジアーの事件が報じられた5カ月前の時点で、ビーズリーが調査対象になることを予測していたといいます。
2600万ドルの契約を持つスター選手の今後は?
ロジアーは問題の試合後、その2022-23シーズンの残り8試合に出場することはありませんでした。その後マイアミ・ヒートにトレードされ、現在も2025-26シーズンまで2660万ドル(約40億円)の契約を結んでいます。
ヒートでの2シーズンで、ロジアーは平均12.5得点、3.9リバウンド、3.3アシスト、3ポイント成功率32%という成績を残しています。決して悪い数字ではありませんが、この賭博疑惑の影がキャリアに与える影響は計り知れません。
NBAはロジアーを「クリア」したとはいえ、連邦捜査が継続している事実は重い意味を持ちます。46分間で30回という異常な賭けのパターン、試合でのタイミングよすぎる退場、そしてすべての賭けが的中したという「偶然」。これらの事実は、多くの疑問を残しています。
スポーツ賭博の合法化が進む中、このような事件はプロスポーツの公正性に対する信頼を大きく揺るがします。「ムース」という謎の人物の存在、複数の選手に関わる組織的な賭博スキームの可能性など、この事件の全貌解明にはまだ時間がかかりそうです。
ファンが最も恐れるのは、愛するスポーツが賭博によって汚染されることです。NBAと連邦当局には、徹底的な調査と透明性のある説明が求められています。ロジアーの無実を信じたいファンも多いでしょうが、これだけの「偶然」が重なることへの説明は、まだ誰からも提供されていません。
引用:YAHOO!SPORTS

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