日本人ガードの河村勇輝が2ウェイ契約を結んだシカゴ・ブルズ。実はこのチーム、今まさに大きな転換期を迎えています。NBAを代表する名門チームの一つであるブルズが、ラスベガスで行われた若手選手の登竜門「サマーリーグ」で見せた光と影。そこには川村の今後を左右する重要な変化が隠されていました。
河村勇輝が加入したブルズってどんなチーム?
まず簡単にブルズについて説明しましょう。1990年代にマイケル・ジョーダンを擁して6度の優勝を果たした超名門チーム。しかし近年は低迷が続き、プレーオフ(上位8チームが進む決勝トーナメント)進出すら苦戦している状況です。
そんなブルズが今、大胆な若返り作戦を進めています。その象徴的な出来事が、まさに河村の獲得だったのです。
40得点男が2日後に河村にポジションを奪われた衝撃
サマーリーグで最も衝撃的だったのは、ジャミール・ヤングという選手の運命でした。彼は1試合で40得点という驚異的な活躍を見せたにもかかわらず、そのわずか2日後に河村がチームに加入。正規ロースター(レギュラーシーズンに出場できる15人枠)の座を奪われてしまったのです。
これはNBAの厳しさを物語る出来事でした。どんなに点を取っても、チームが求める選手像に合わなければ容赦なく切られる。逆に言えば、河村はそれだけチームのニーズに合致した選手だということです。
ビリー・ドノバンHC(ヘッドコーチ)は、この激しい競争環境を高く評価しています。「ベンチの最後の席を巡る競争が、チーム全体のレベルを押し上げている」と。
22歳の主力選手が「年俸47億円→31億円」に減額された理由
ブルズで今最も注目を集めているのが、ジョシュ・ギディという22歳の若手スター選手の契約問題です。彼は昨シーズン前、年俸3000万ドル(約47億円)の長期契約を希望していました。
ギディは身長203cmの大型ポイントガード。昨シーズンはキャリア最高の成績を残し、チームの中心選手として活躍しました。しかし、ブルズの経営陣が提示したのは年俸2000万ドル(約31億円)前後。なんと16億円もの差が生じているのです。
なぜこんなことが起きたのか?それは、ブルズのGM(ゼネラルマネージャー)であるアルトゥーラス・カルニショバスが「過去の失敗から学んだ」からです。これまで高額契約を結んだ選手が期待通りの活躍をせず、チームの財政を圧迫してきた苦い経験があるのです。
元ドラフト全体4位のエリートが「リーグ最悪契約」候補に
もう一人の注目選手が、パトリック・ウィリアムズ(23歳)です。彼は2020年のドラフトで全体4位という超エリート指名を受けた選手。しかし現在、「リーグ最悪契約ランキング」の上位に名前が挙がるほど、期待を裏切る成績に終わっています。
昨シーズン終盤、ウィリアムズの出場時間は激減。新人のマタス・ブゼリスにスターターの座を奪われる場面もありました。ブゼリスはサマーリーグで28得点を叩き出すなど、「もはやこのレベルではない」と評価される急成長を見せています。
さらに追い打ちをかけるように、ブルズは同じポジションの選手を次々と補強。ウィリアムズは今や、試合に出ることすら危うい状況に追い込まれているのです。
河村勇輝にとってこの状況は追い風か?
このようなチーム状況は、河村にとってどう影響するでしょうか?
プラス面:
- 若手重視の方針で、実力があれば抜擢される可能性が高い
- ポイントガード争いが激しく、競争の中で成長できる環境
- チーム再建期のため、新しい選手にチャンスが回ってきやすい
マイナス面:
- 40得点男ですら簡単に切られる厳しい競争
- ギディという絶対的な主力がポイントガードにいる
- 成績が振るわなければ、すぐに契約を切られるリスク
ブルズは今、マイケル・ジョーダン時代の栄光を取り戻すべく、大胆な改革を進めています。高額契約に慎重になり、若手の競争を促進し、実力主義を徹底する。この荒波の中で、河村がどのような活躍を見せるのか。日本のバスケットボールファンにとって、目が離せないシーズンになりそうです。

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