WNBA28年の歴史に新たな1ページが刻まれました。ダラス・ウィングスのルーキー、ペイジ・ベッカーズが、あのケイトリン・クラークと並ぶ最速記録を達成したのです。わずか19試合で300得点100アシストという偉業を成し遂げ、改めてその才能の凄さを証明しました。
驚くほど似ていた2人の「19試合目」
最も興味深いのは、ベッカーズとクラークが記録を達成した19試合目のスタッツが驚くほど似ていたことです。
ケイトリン・クラーク(19試合目):
- 15得点
- 6リバウンド
- 7アシスト
- 1ブロック
ペイジ・ベッカーズ(19試合目):
- 14得点
- 4リバウンド
- 6アシスト
- 1スティール
- 1ブロック
まるで示し合わせたかのような、ほぼ同じ数字。これは偶然なのか、それとも偉大な選手の宿命なのか。
使用率で見る「静かな凄さ」
実は、ベッカーズの記録にはクラーク以上の価値があるかもしれません。なぜなら、ボールの使用率(Usage Rate)に大きな差があるからです。
- クラーク:28%(ルーキーシーズン)
- ベッカーズ:24%
つまり、ベッカーズはクラークよりも少ないボールタッチで同じアシスト数を記録しているのです。これは、オフボールでの動きが優れていることを示しており、より効率的にチームメイトを活かしていることを意味します。
本人は記録より「勝利」を重視
シアトル・ストーム戦後、ベッカーズは記録について聞かれても、チームの勝利の方が重要だと語りました。これも彼女の魅力の一つ。個人記録よりもチームの成功を優先する姿勢は、かつてのUConn(コネチカット大学)時代から変わりません。
実際、この試合でウィングスは重要な勝利を収めました。ディジョナイ・カリントンが復帰し、アリケ・オグンボワレも今季最高のパフォーマンスを見せるなど、チーム全体が上向きになっています。
異なるプレースタイル、同じ偉大さ
クラークとベッカーズは、よく比較されますが、実はプレースタイルは大きく異なります。
クラークの特徴:
- ボールを持った時の爆発力
- 長距離3ポイントシュート
- 派手なパスワーク
- ターンオーバーは多め(ダイナミックゆえの代償)
ベッカーズの特徴:
- オンボール・オフボール両方で効果的
- 堅実なボール管理(ターンオーバーが少ない)
- 守備での貢献度も高い
- チームプレーに徹する姿勢
どちらが優れているという話ではありません。2人とも、それぞれの方法でチームを勝利に導く「フォースマルチプライヤー」(力を倍増させる選手)なのです。
ウィングスに待ち受ける試練
ベッカーズ個人は素晴らしいスタートを切りましたが、ウィングスにはこれから厳しい日程が待っています。
残りの対戦相手:
- ニューヨーク・リバティ戦:3試合
- アトランタ・ドリーム戦:2試合
- ラスベガス・エイシーズ戦:2試合
- ミネソタ・リンクス戦:1試合
- シアトル・ストーム戦:1試合
Tankathonによると、ウィングスの残り日程はWNBA最難関とのこと。しかも、主力のマイーシャ・ハインズ=アレンが負傷離脱中という不安材料もあります。
まとめ:新たなライバル関係の幕開け
ペイジ・ベッカーズがケイトリン・クラークと並ぶ最速記録を達成したことで、2人のライバル関係がより鮮明になりました。
インディアナ・フィーバーのクラークと、ダラス・ウィングスのベッカーズ。異なるカンファレンスで戦う2人ですが、今後何年にもわたってWNBAを盛り上げる存在となることは間違いありません。
19試合で300得点100アシスト。この記録が今後破られることはあるのか。そして、2人のうちどちらが先に次の大記録を打ち立てるのか。WNBAの新時代は、まだ始まったばかりです。

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