フェニックス・マーキュリーのアリッサ・トーマスが、とんでもない記録に向かって突き進んでいます。
ジ・アスレチックのベン・ピックマンによると、トーマスは今シーズン、平均14得点以上、7リバウンド以上、9アシスト以上、1スティール以上をフィールドゴール成功率50%以上で記録するペース。これが実現すれば、WNBA史上初の快挙となります。
さらに驚くべきは、アメリカのプロバスケットボールリーグでこの記録を達成したのは、レブロン・ジェームズ、マジック・ジョンソン、ニコラ・ヨキッチのわずか3人だけという事実です。
サン退団1年目で見せる圧倒的な数字
トーマスは2014年にニューヨーク・リバティから全体4位で指名されましたが、ドラフト当日にコネチカット・サンへトレード。そこから11シーズンをサンで過ごし、チームを何度もプレイオフ深いラウンドへ導いてきました。
しかし2024年シーズン後、WNBAキャリアで初めて新天地を求めることを決断。フェニックスへ移籍し、カリーア・カッパー、サトウ・サバリーと新たなビッグ3を形成しました。さらにインディアナから少し回り道をして、デワナ・ボナーも合流。
移籍1年目にして、トーマスはチーム最多のリバウンド、アシスト、スティールを記録。特にアシストはリーグトップの平均9.4を誇り、2位のケイトリン・クラーク(8.8)、3位のコートニー・ウィリアムズ(6.0)を大きく引き離しています。
現在のトーマスのスタッツ:
- 平均14.2得点(FG成功率51.3%)
- 平均7.6リバウンド
- 平均9.4アシスト(リーグ1位)
- 平均1.2スティール
マーキュリーも15勝9敗でミネソタ・リンクス、ニューヨーク・リバティに次ぐ3位と好調。トーマスの加入が即座にチームを優勝候補へと押し上げました。
MVP争いで浮上する「効率性の怪物」
シーズン前、ナフィーサ・コリアーがMVP最有力候補とされていました。昨年アジャ・ウィルソンに次いで2位、アンライバルドでの素晴らしいパフォーマンスを見せた彼女は、次のレベルへの準備ができていると思われました。
しかし、トーマスが見せているのは単なる好成績ではありません。すべての分野で卓越し、すべてを高い効率性で実行するという、まさに「効率性の怪物」と呼ぶべきパフォーマンスです。
実際、ミネソタ・リンクス戦では29得点という爆発的な得点力も披露。コリアーとの直接対決でも存在感を示しました。
なぜこの記録がそれほど特別なのか
「14-7-9-1」をFG50%超えで達成することの難しさは、NBA/WNBAの歴史を見れば明らかです。
達成者たち:
- レブロン・ジェームズ:史上最高のオールラウンダーの一人
- マジック・ジョンソン:ショータイムレイカーズの司令塔
- ニコラ・ヨキッチ:現代NBAを代表するセンター
この3人に共通するのは、単にMVPを獲得しただけでなく、チームを優勝に導いた実績があることです。トーマスがこのリストに名を連ねることは、彼女がWNBA史上最高のオールラウンダーの一人であることの証明となるでしょう。
31歳という年齢を考えると、トーマスがサンを離れた決断は大きなリスクでした。11年間慣れ親しんだ環境を離れ、新しいシステム、新しいチームメイトに適応する必要がありました。
しかし、その賭けは見事に成功しています。むしろ環境の変化が、彼女の能力をさらに引き出したとさえ言えるでしょう。
WNBAがNBAと同等の評価を受けるためには、このような歴史的なパフォーマンスが不可欠です。トーマスの偉業達成は、単なる個人記録を超えて、リーグ全体の価値を高める意味を持っています。
果たしてトーマスは、レブロン、マジック、ヨキッチという偉大な名前と並ぶことができるのか。残りのシーズン、彼女の一挙手一投足から目が離せません。

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