TMZの記者が投げかけた一つの質問が、WNBAを取り巻く不都合な真実を暴露しました。
「ケイトリン・クラークに有名な500万ドルのオファーをしましたが、エンジェル・リースはどうですか?彼女もかなり実力がありますよね?」
BIG3リーグの創設者アイス・キューブの答えは、残酷なまでに率直でした。
「ああ、彼女は素晴らしい選手だ。だが同じオファーはできない。リーグへの影響力が同じではないからだ。個人的な感情ではない」
「愚かな質問」と切り捨てた元選手の真意
この発言に対し、元シカゴ・スカイのスター、モニーク・カリーがインスタグラムのTMZ投稿下にコメントしました。
「愚かな質問(Dumb question)」
たった2語の返信ですが、その意味は深い。カリーは質問自体が持つ問題性を指摘したのです。なぜクラークと同じオファーを受けられないのかという質問は、そもそも2人を不公平に比較する構図を作り出している、と。
数字が示すリースの実力と「市場価値」の乖離
リースの今季成績は圧倒的です:
- リバウンド数でWNBAトップ(平均12.5)
- リーボックとのシグネチャーシューズ「AR 1」発売
- 新人王レース有力候補
にもかかわらず、アイス・キューブは「スポンサーはクラークの契約しか支援しなかった」と明かしました。つまり、500万ドルの差は純粋に「市場性」の判断によるものだということです。
この「市場性」という言葉が問題の核心です。視聴率や商業的価値で判断される時、黒人選手は系統的に過小評価されているのではないか。この議論は避けて通れません。
バービーゲームデーが露呈した「スター不在」の皮肉
日曜日、ウィントラスト・アリーナで開催された第2回バービーゲームデー。華やかなイベントでしたが、肝心のクラークとリースは両者とも怪我で欠場。
ケルシー・ミッチェルが35得点、アライア・ボストンがダブルダブルを記録しましたが、観客の多くはクラークのジャージを着て、彼女がいないにもかかわらずサインを求めていました。
この光景が示すのは、2人の存在がいかに大きいか、そして同時に、その扱いがいかに不平等かということです。
NCAAファイナルから続く「ライバル関係」の商業化
クラークとリースの関係は、あの伝説的なNCAAファイナルから始まりました。この対立構造が女子バスケットボールへの注目を高めたことは事実です。
しかし、その「ライバル関係」が商業的に利用される時、なぜ一方だけが500万ドルの価値があり、もう一方にはないと判断されるのか。
アイス・キューブの「影響力が同じではない」という言葉は、ビジネスの論理としては理解できます。しかし、その論理が生み出す格差は、WNBAが抱える構造的な問題を浮き彫りにしています。
リースの実力は数字が証明しています。彼女の人気も日々高まっています。それでも「市場価値」という名の下に、500万ドルの差が正当化される。
これがWNBAの、そしてアメリカスポーツ界の現実です。カリーが「愚かな質問」と切り捨てたのは、この不公平な比較を当然のものとして受け入れる姿勢そのものだったのかもしれません。
引用:YARDBARKER

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