ペイジ・ビューカーズが、ケイトリン・クラークでさえ達成できなかった記録を打ち立てました。
月曜日のニューヨーク・リバティ戦(92-82で勝利)で20得点を記録したビューカーズは、ルーキーシーズンで10回目の20得点以上を達成。わずか21試合での到達は、2006年以降のルーキーガードとして最速記録となりました。
2024年の新人王で2度のオールスター選出を誇るクラークでさえ、この記録達成には26試合を要しました。その差、5試合。一見小さな差に見えますが、この数字が示す意味は決して小さくありません。
8勝18敗のチームで輝く「真の実力」
ビューカーズの記録がより印象的なのは、チーム状況を考慮した時です。
ダラス・ウィングスは現在8勝18敗でリーグ11位。プレイオフ圏内まで5ゲーム差という厳しい状況です。一方、クラークがプレーするインディアナ・フィーバーは、彼女の加入により注目度が急上昇し、チーム全体のレベルも向上しました。
つまり、ビューカーズは「勝てないチーム」で「注目度も低い」環境において、この記録を達成したのです。相手チームの守備的注目度、チームメイトのサポート、すべてにおいて不利な状況での快挙と言えるでしょう。
現在のビューカーズのスタッツ:
- 平均18.2得点
- 平均4.0リバウンド
- 平均5.5アシスト
- FG成功率45.0%
- 3P成功率32.9%
オグンボワレとの「化学反応」が生む相乗効果
同じ試合で、ベテランガードのアライク・オグンボワレがWNBA史上初となる「前半だけで15得点10アシスト以上」を達成(最終的に20得点、キャリアハイ14アシスト)。
これは偶然ではありません。ビューカーズの存在がオグンボワレの負担を軽減し、オグンボワレのプレイメイクがビューカーズの得点機会を増やす。この相乗効果が、両選手の記録達成につながっています。
特に注目すべきは、ビューカーズが6リバウンド、4アシスト、3スティールという「得点以外」でも貢献していること。単なるスコアラーではなく、オールラウンドプレイヤーとしての資質を示しています。
「2006年以降」が持つ重い意味
なぜ「2006年以降」という区切りなのか。それは、WNBAの戦術的進化と関係しています。
2006年頃を境に、WNBAはより戦術的に洗練され、守備システムも高度化しました。特にルーキーに対する守備的プレッシャーは格段に上がり、20得点を記録することのハードルは大幅に上昇しました。
その環境下で、ビューカーズが示した得点力は、単純な数字以上の価値を持ちます。現代バスケットボールに完全に適応し、即座に結果を出せる選手であることの証明なのです。
クラークとの比較が生む「不毛な議論」を超えて
クラークとビューカーズ、どちらが優れているかという議論は不毛です。両者とも素晴らしい選手であり、それぞれの環境で最高のパフォーマンスを見せています。
しかし、この記録が示すのは、WNBAに「複数の若きスター」が同時に存在する新時代の到来です。クラークの人気だけに頼らない、層の厚いスター選手群の誕生は、リーグ全体の発展にとって極めて重要です。
水曜日のアトランタ・ドリーム戦(東部時間午後8時)で、ビューカーズは11回目の20得点に挑みます。果たして、この「最速記録」をどこまで更新できるのか。8勝18敗のチームを背負う若きスターの挑戦は続きます。
引用:YARDBARKER

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