2025年WNBAシーズンは開幕から3週間が経過し、各チームが44試合中わずか7試合を消化した段階ですが、すでに各アワードの有力候補が浮かび上がってきています。ESPNの専門家パネルによる最新の評価から、今シーズンの個人賞レースの現状を分析します。
目次
MVP賞:ナフィーサ・コリアーが独走態勢
ミネソタ・リンクスのナフィーサ・コリアーが、MVP賞の最有力候補として全専門家から支持を集めています。28歳のフォワードは、リーグトップの平均25.5得点を記録し、リバウンド8.9本(5位タイ)、スティール2.3本(1位タイ)、ブロック1.4本(7位タイ)という圧倒的な総合力を示しています。
特筆すべきは、フィールドゴール成功率52.5%、フリースロー成功率90.7%という高い効率性です。これらの数字はすべてキャリアハイを更新しており、昨シーズンMVP投票で2位だった勢いをそのまま持続させています。過去12か月でコリアーは、コミッショナーズカップ優勝、オリンピック金メダル獲得、最優秀守備選手賞受賞、そして3対3プロリーグの共同設立という輝かしい実績を積み重ねてきました。
一方、3度のMVP受賞歴を持つラスベガス・エーシズのエイジャ・ウィルソンは、平均22.0得点、9.9リバウンドと依然として高いパフォーマンスを維持していますが、チームが4勝3敗と苦戦していることもあり、4度目のMVP獲得は厳しい状況です。昨シーズン、シーズン最多得点記録(26.9点)を樹立したウィルソンにとって、自身が設定した高すぎるハードルが逆に足かせとなっている印象です。
新人王:ワシントン・ミスティクスの2人が激戦
新人王レースでは、意外な展開が生まれています。ドラフト全体1位のペイジ・ベッカーズ(ダラス・ウィングス)ではなく、全体4位のキキ・イリアフェン(ワシントン・ミスティクス)が現在のフロントランナーとなっています。
イリアフェンは平均14.9得点、9.9リバウンドとダブルダブルに迫る成績を残し、フィールドゴール成功率も51%と大学時代(50%)を上回る効率性を示しています。WNBA史上、ルーキーシーズンにダブルダブルを達成したのは、ティナ・チャールズ、シェリル・フォード、エンジェル・リースの3人だけという事実が、彼女の活躍の価値を物語っています。
興味深いことに、イリアフェンの最大のライバルは、チームメイトで全体3位指名のソニア・シトロンです。シトロンは平均14.0得点、3ポイント成功率40.5%、フリースロー成功率89.3%という優れた効率性を誇り、ミスティクスの躍進を支えています。
ベッカーズは脳震盪で3試合、病気で1試合を欠場しましたが、出場した試合では平均14.7得点、6.7アシストを記録。ルーキーで平均10得点6アシスト以上を記録したのは、ケイトリン・クラークとスカイラー・ディギンズだけという歴史的な数字を残しています。シーズン終了時には欠場試合の割合が10%未満になることから、今後の巻き返しが期待されます。
最優秀守備選手賞:クラウドが新風を吹き込む
ニューヨーク・リバティのナターシャ・クラウドが、最優秀守備選手賞の有力候補として浮上しています。リバティの守備力は昨シーズンのチャンピオンシップラン時(100ポゼッションあたり95.3失点)よりも向上し、リーグトップの88.6失点という驚異的な数字を記録しています。
クラウドがコート上にいる時のチームの守備レーティングは83.8で、彼女がいない時(94.9)と比較して11.1ポイントも改善されるという圧倒的な影響力を示しています。3度のオールディフェンシブチーム選出歴を持つ彼女の存在が、リバティの守備をさらに堅固なものにしています。
近年はフロントコートの選手が同賞を独占してきましたが、クラウドはガードとして久々の受賞者となる可能性があります。
最も成長した選手賞:グレイがキャリア9年目のブレイク
アトランタ・ドリームのアリシャ・グレイが、キャリア9年目にして大きな飛躍を遂げています。カール・スメスコ新監督のシステムの下、平均20.1得点(リーグ5位)とキャリアハイを更新し、昨シーズンから約5点も向上させました。
特に3ポイントシュートの向上が顕著で、成功率は昨シーズンの34.2%から42.9%へと大幅に改善。1試合平均6.6本の3ポイント試投もキャリアハイです。さらに平均4.5アシストもキャリアベストで、ドリームの成功に不可欠な存在となっています。
シックスウーマン賞:リバティとリンクスのベンチが熾烈な争い
ニューヨーク・リバティのケネディ・バークが、ベンチからの貢献でリードしています。キャリアハイの平均9.3得点を記録し、3ポイント成功率は驚異の59%(27本中16本成功)。攻撃面だけでなく、複数のポジションを守れる守備のストッパーとしても貴重な役割を果たしています。
ミネソタ・リンクスからは、ナティーシャ・ハイデマン(平均8.8得点)とジェシカ・シェパード(フィールドゴール成功率58%、平均7.1リバウンド)の2人が追随しています。
最優秀監督賞:ティベッツが新生マーキュリーを率いる
フェニックス・マーキュリーのネイト・ティベッツが、ほぼ完全に入れ替わったロスターで6勝4敗という好成績を収め、最優秀監督賞の筆頭候補となっています。ダイアナ・タウラシの引退、ブリトニー・グライナーの移籍という大きな損失にもかかわらず、新戦力を見事に融合させています。
無敗のリバティとリンクスを率いるサンディ・ブロンデロとシェリル・リーブも有力候補ですが、期待値を大きく上回る成果を出しているティベッツに注目が集まっています。
今後の展望
シーズンはまだ序盤ですが、すでに各アワードレースの構図が見えてきました。特にコリアーのMVP獲得は現実味を帯びており、ウィルソンの4度目のMVP獲得を阻止する可能性が高まっています。新人王レースではミスティクスの2人の争いが注目される一方、ベッカーズの復帰後の巻き返しも期待されます。
各選手の健康状態やチームの成績次第で状況は大きく変わる可能性がありますが、現時点での評価は、WNBAの競争レベルの高さと若手選手の台頭を如実に示しています。
引用:espn
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