2025シーズン序盤、ラスベガス・エーシズは予想外の苦戦を強いられていました。オフシーズンにケルシー・プラム、ティファニー・ヘイズ、アリーシャ・クラークといった主力選手を失い、新たにジュエル・ロイドとダナ・エバンスを獲得したものの、過去数シーズンで築き上げたチームケミストリーが崩れ、プレーオフ進出すら危ぶまれる状況でした。
しかし、8月に入ってからエーシズは見違えるようなチームになっています。8月の7試合で6勝を挙げ、今シーズン最長となる連勝記録を樹立しました。この劇的な変化の裏には、チームの根本的な戦術転換がありました。
守備への意識改革がもたらした変化
8月16日、フェニックス・マーキュリーとの激戦を86-83で制した後、エイジャ・ウィルソンは重要な証言をしています。「私たちはオフェンスにばかり気を取られて、なぜ得点できないのか、なぜうまくいかないのかと悩んでいました。その結果、守備への意識を失っていたんです。でも守備に集中し始めて、そのレベルでケミストリーを築き始めてから、たくさんの異なることが解き放たれ始めました」
実際、数字がこの変化を如実に物語っています。8月2日のミネソタ・リンクスに111-58という歴史的大敗を喫して以降、エーシズは対戦相手に90点以上を許していません。ゴールデンステート・バルキリーズとニューヨーク・リバティ戦では、3試合で相手を80点未満に抑え込む守備力を見せています。
過去6試合でのディフェンシブレーティングは、リーグ5位にまで向上しました。これはシーズン全体の順位と比較すると大幅な改善です。同時にオフェンシブレーティングでも2位にランクし、エイジャ・ウィルソンの素晴らしいパフォーマンスに支えられた攻守のバランスを実現しています。
ジュエル・ロイドのベンチ起用という戦術的成功
ベッキー・ハモン監督が下したもう一つの重要な決断は、ジュエル・ロイドをベンチから起用することでした。この変更により、ロイドの攻撃力が効果的に発揮されるようになり、チーム全体のローテーションがスムーズになりました。
6月下旬にはナリッサ・スミスもトレードで獲得し、新たな戦力として加わりましたが、彼女も新しいチームへの適応期間を必要としました。しかし今では、これらの新戦力が既存のコアメンバーと融合し始めています。
プレーオフレースの現状と今後の展望
現在エーシズは5位につけていますが、プレーオフ争いは依然として熾烈です。リンクスから8ゲーム差という位置にいるものの、トップ4入りの可能性は十分に残されています。
一方で下位チームからの追い上げも警戒が必要です。ゴールデンステート・バルキリーズとの差はわずか1.5ゲーム。インディアナ・フィーバー、シアトル・ストーム、ロサンゼルス・スパークスとの差はもう少し余裕がありますが、油断は禁物です。
エーシズがこの勢いを維持できれば、プレーオフでは脅威となる存在になるでしょう。リバティやマーキュリーとの連勝は、トップチームと互角に戦える力があることを証明しました。過去数シーズンにわたって築き上げた王者の資質が、ようやく再び姿を現し始めています。
エイジャ・ウィルソンを中心とした守備の改善と、ロイドのベンチ起用という戦術的な調整が功を奏し、エーシズは再び「らしさ」を取り戻しつつあります。シーズン終盤に向けて、この新たなレベルのプレーを維持することが、プレーオフでの成功への鍵となるでしょう。

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