ケイトリン・クラーク

ケイトリン・クラーク欠場28試合目、フィーバーのプレーオフ進出に暗雲

スーパースターの長期離脱がもたらす危機

WNBAインディアナ・フィーバーのスーパースター、ケイトリン・クラークが今季28試合目の欠場を記録しています。7月15日以来コートに立っていない新人王候補の不在は、チームのプレーオフ進出を危うくしています。レギュラーシーズン残り3試合、8位でプレーオフ最後の枠にしがみつくフィーバーは、ロサンゼルスとわずか1ゲーム差という崖っぷちの状況です。多くのファンが注目する中、クラークの復帰時期は依然として不透明なままです。

深刻化する怪我の連鎖と戦力低下

フィーバーの現状を数字で見ると、その深刻さが浮き彫りになります。

主要選手の離脱状況(2025年9月時点)

  • ケイトリン・クラーク:右鼠径部負傷で28試合欠場(7月15日以降)
  • アーリ・マクドナルド:足の負傷でシーズン絶望
  • シドニー・コルソン:前十字靭帯断裂でシーズン絶望
  • ソフィー・カニンガム:内側側副靭帯損傷でシーズン絶望
  • キース・ポーター(選手育成コーチ):アキレス腱断裂

クラークの怪我は複雑な状況です。当初の右鼠径部負傷に加え、8月後半には左足首に「軽度」の骨挫傷を負っていたことが明らかになりました。さらに今季前半には左大腿四頭筋と左鼠径部の軟部組織損傷も経験しています。

火曜日のフェニックス・マーキュリー戦(79-85で敗北)では、クラークが5対0のドリルに参加する姿が確認されましたが、ステファニー・ホワイトヘッドコーチは「長期的な健康と幸福が最も重要」と慎重な姿勢を崩していません。

鼠径部負傷の危険性と過去の教訓

WNBAの殿堂入り選手リサ・レスリーは、2006年に自身も経験した鼠径部負傷の危険性について警鐘を鳴らしています。

「深い鼠径部の負傷は軽視できません」とレスリーはCBSスポーツネットワークで語りました。「完治したと思っても、一つの動き、一つのカットで同じ場所を再負傷する可能性があります。リスクを冒す価値があるとは思えません」

レスリーは当時、太ももと臀部に重いテーピングを施してプレーを続けましたが、常に再負傷のリスクと隣り合わせだったといいます。この証言は、クラークの復帰を急ぐことの危険性を明確に示しています。

復帰への具体的条件と残された時間

ホワイトコーチは、クラークの復帰には以下の条件が必要だと明言しています。

  1. 複数回の練習参加:チーム練習でなくても可能だが、実戦形式の練習が必要
  2. 94フィート(コート全体)でのコンタクトプレー:プロキャリアを通じて求められる強度での対応
  3. 持久力の確認:疲労状態でのプレー能力の検証

レギュラーシーズンは9月11日に終了し、プレーオフは9月14日に開幕します。フィーバーの残り日程は以下の通りです。

  • 9月6日(金):対シカゴ・スカイ(9勝30敗)ホーム
  • 9月8日(日):対ワシントン・ミスティクス(16勝25敗)アウェイ
  • 9月10日(火):対ミネソタ・リンクス(32勝8敗)ホーム

もしフィーバーが8位でプレーオフに進出した場合、第1シードのミネソタとの対戦が予想され、最終戦は事実上のプレーオフプレビューとなる可能性があります。

サブリナ・イオネスクの教訓と長期的視点

ニューヨーク・リバティのサブリナ・イオネスク(2020年ドラフト全体1位)の経験は、クラークとフィーバーにとって重要な教訓を提供しています。

イオネスクはルーキーシーズンにわずか3試合で足首を負傷し、復帰を急いだ結果、完全に健康になるまで3年を要しました。しかし、辛抱強くリハビリと成長を続けた結果、5年目の2025年シーズンについにリバティに初のチャンピオンシップをもたらしました。

この成功例は、短期的な成果よりも長期的な健康と成功を優先することの重要性を示しています。23歳のクラークには長いキャリアが待っており、彼女自身もフィーバーでの長期的な活躍を望んでいることを示唆しています。

今後の展望:慎重な判断が求められる岐路

フィーバーは今、難しい決断を迫られています。

シナリオ1:強行復帰 残り3試合のいずれかでクラークが復帰し、プレーオフ進出を確実にする。しかし、再負傷のリスクが高く、長期的なダメージの可能性がある。

シナリオ2:プレーオフまで温存 レギュラーシーズンは欠場し、プレーオフに備える。フィーバーが他チームより1日早くシーズンを終えるため、第1ラウンドまで4日間の休養が取れる利点がある。

シナリオ3:今季絶望 完全回復を優先し、来季に備える。オフシーズン全体をリハビリとトレーニングに充て、2026年シーズンの完全復活を目指す。

ホワイトコーチが「持久力と疲労」を懸念事項として挙げていることを考えると、クラークが今季再びプレーする可能性は日を追うごとに低くなっています。リーグで最も激しいマークを受けるガードの一人として、クラークの身体的負担は計り知れません。

シーズン前には「チャンピオンシップ」を語っていたフィーバーですが、現実は厳しいものとなりました。しかし、これは終わりではなく、より大きな成功への準備期間かもしれません。クラークとフィーバーが目指すのは、一時的な成功ではなく、持続可能な王朝の構築です。その実現は、今この瞬間の慎重な判断にかかっています。

引用: sports.yahoo

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