二世代のスーパールーキーが描く新時代
WNBAの歴史に新たな1ページが刻まれようとしています。2025年シーズンのペイジ・ベッカーズ(ダラス・ウイングス)と、2024年シーズンのケイトリン・クラーク(インディアナ・フィーバー)。この2人のルーキーシーズンの比較が、リーグ全体で大きな話題となっています。
最近のゴールデンステート・バルキリーズ戦での一幕が、ベッカーズの現在地を如実に物語っています。試合終了間際、ベロニカ・バートンとカイラ・チャールズがベッカーズを包囲し、シュートすら打たせませんでした。残り3.2秒がそのまま消化され、ボールは彼女の手中に留まったまま終了のブザーが鳴りました。この徹底マークは、9点リードという安全圏での出来事でした。なぜなら、ベッカーズがあと1点取れば、ルーキーシーズン全試合での二桁得点という記録が続くからです。
圧倒的な数字を残す2人の天才ガード
ベッカーズの2025年シーズンの成績は驚異的です。平均18.9得点はルーキー歴代7位、フィールドゴール成功率46.7%は17得点以上を記録したルーキーガードとしては歴代3位の高さです。さらに平均5.3アシストも記録し、15得点5アシストを達成したルーキーは、クラークと彼女の2人だけという偉業を成し遂げています。
一方、クラークの2024年シーズンも歴史的でした。平均19.2得点、5.7リバウンド、8.4アシストという数字は、新人ガードとしては前代未聞のオールラウンドぶりです。特に単一試合19アシストという記録は、リーグ史上に輝く金字塔となっています。
興味深いのは、両者の効率性の違いです。ベッカーズのターンオーバーは1試合平均2.1と、クラークの2.8を大きく下回っています。しかし、実効フィールドゴール率(3ポイントシュートの価値を加味)では、クラークの52.2%がベッカーズの50.4%を上回っています。
異なる環境が生んだ数字の意味
両者の数字を単純比較することは難しい側面があります。クラークには2023年ドラフト1位のアリーヤ・ボストンという強力なインサイドプレーヤーがおり、彼女だけでクラークから1試合平均2.6アシストを受けていました。一方、ベッカーズのウイングスは開幕ロスター12人中8人が7試合以上欠場という異常事態に見舞われています。
クリス・コクラネス監督は「彼女は試合の流れを読み、ディフェンスが与えるものを確実に捉えます。ルーキーがこのリーグで自分のペースとテンポを維持できるのは本当に印象的です」と、ベッカーズの成熟度を称賛しています。
チーム貢献度を示すオン・オフ差では、ベッカーズが100ポゼッションあたり8.1点もチームを改善させており、これはクラークを上回る数字です。ウィンシェアでも3.5対3.0でベッカーズがリードしており、残り3試合でさらに差を広げる可能性があります。
勝負の舞台という決定的な違い
しかし、決定的な違いが一つあります。それは試合の重要性です。クラークのフィーバーは2勝9敗という最悪のスタートから立ち直り、プレーオフ進出を果たしました。一方、ベッカーズのウイングスは一度もプレーオフ圏内に入ることなく、既にポストシーズン進出の可能性を失っています。
8月にスパークス戦で記録した44得点(ルーキータイ記録)の夜、ベッカーズと共にスタートした選手の2人は、シーズン中に急遽契約されたばかりの選手でした。この事実が、彼女が置かれた環境の厳しさを物語っています。
スー・バードやダイアナ・タウラシも新人オールスターに選ばれましたが、ベッカーズとクラークのような得点とアシストの両立は見せていません。新世代のルーキーたちは、よりオフェンス志向のリーグでプレーする利点を持ちながら、それでもなお際立った数字を残しています。
ベッカーズの次なる挑戦は、単なるスポイラーではなく、真に重要な試合でプレーすることです。クラークのルーキーシーズンはプレーオフでの3ポイントシュートで終わりました。ダラスがベッカーズをそのような舞台に立たせられるかどうかが、彼女の真価を決めることになるでしょう。
引用: ニューヨークタイムズ

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