1年違いで現れた2人の超新星
ペイジ・ベッカーズがWNBAに参入したのは、ケイトリン・クラークからわずか1年後のことでした。しかし、その1年の差は、ベッカーズにかかる期待の重さを軽減するものではありませんでした。2025年ドラフト全体1位指名を受けた彼女は、リーグの人気をさらに押し上げる次世代のスーパースターとして任命されたのです。そして木曜日、フェニックス・マーキュリー戦での97-76という圧勝でシーズンを締めくくったベッカーズは、その期待を遥かに超える歴史的な成果を残しました。
史上2人だけの偉業達成(ルーキー得点692点、アシスト194)
ベッカーズがシーズン36試合目となる最終戦で記録した24得点、8リバウンド、7アシスト、2ブロック、1スティール、2本の3ポイントという完璧なスタッツは、彼女のルーキーシーズンを象徴するものでした。この試合により、彼女はWNBA史上極めて稀な領域に足を踏み入れることになりました。
ルーキーシーズンで総得点と総アシストの両方で歴代トップ3に入った選手は、WNBA史上わずか2人だけ。2024年のケイトリン・クラークと、2025年のペイジ・ベッカーズです。
具体的な数字を見てみましょう。クラークは40試合全てに出場し、歴代1位となる769得点と337アシストを記録しました。一方、ベッカーズは692得点で歴代3位、194アシストで同じく歴代3位という驚異的な成績を残しました。この2人だけが、得点とアシストの両カテゴリーで歴代トップ3入りを果たしたルーキーなのです。
チーム成績とは対照的な個人の輝き(10勝34敗でも光った才能)
ベッカーズの偉業をより際立たせるのは、チームの厳しい状況下で達成されたという事実です。ダラス・ウィングスは10勝34敗というリーグ最下位タイの成績でシーズンを終えました。チームが苦戦する中、ベッカーズは一人輝きを放ち続けたのです。
この状況は、真のスーパースターの証とも言えます。周囲のサポートが限られる中でも、コンスタントに高いパフォーマンスを維持し、歴史的な数字を残す。これは、彼女の個人能力の高さだけでなく、精神的な強さも物語っています。
さらに注目すべきは、ベッカーズがルーキーのスティール数でも歴代17位タイ(57スティール)を記録したことです。得点とプレイメイクだけでなく、守備面でも貢献していたことを示す数字です。
「中西部の魔法」が示す新時代の到来
「Midwestern Magic(中西部の魔法)」という表現が、この2人の共通点を見事に表しています。クラークはアイオワ大学、ベッカーズはコネチカット大学(ただし出身はミネソタ)と、共に中西部にルーツを持つ選手たちです。
2人とも全体1位指名という最高の期待を背負ってWNBAに参入し、その期待に完璧に応えました。クラークが2024年に打ち立てた記録は、誰も破ることができない領域かと思われましたが、わずか1年後にベッカーズが歴代トップ3入りを果たすという快挙を成し遂げました。
この2人の出現は、WNBAの新時代の幕開けを告げています。大学時代から注目を集め、プロ入り前から大きな期待を背負い、そしてルーキーイヤーから歴史的な活躍を見せる。このパターンが、今後のWNBAスターの新たなモデルとなるかもしれません。
クラークとの比較が示す今後の可能性
確かに、純粋な数字で見ればクラークの記録は圧倒的です。769得点対692得点、337アシスト対194アシストという差は歴然としています。しかし、ベッカーズがチーム状況の違いを考慮すれば、その価値は数字以上のものがあります。
クラークが40試合全てに出場したのに対し、ベッカーズは36試合の出場でこの記録を達成しました。もし全試合出場していれば、さらに記録を伸ばしていた可能性もあります。
新人王受賞はほぼ確実視されているベッカーズですが、彼女の真の価値は2年目以降に証明されることでしょう。チームが再建され、より良いサポートを得られるようになった時、彼女がどのような数字を残すのか。クラークとの直接対決も含め、今後のWNBAは、この2人の「中西部の魔法使い」たちが牽引していくことになりそうです。
引用: yardbarker

WNBA FAN BLOG運営者/バスケットボールジャーナリスト
WNBA・NBAをこよなく愛し、バスケットボール歴30年以上。特にWNBAの魅力を日本に広げるため、2025年5月に WNBA FAN BLOG をスタートしました。試合結果や選手情報だけでなく、独自の視点による戦術分析や選手インタビュー、海外ニュースの速報翻訳まで幅広くカバーしています。
現在、日本国内では数少ないWNBA専門メディアとして、最新ニュースをどこよりも速く正確にお届けすることをミッションにしています。
得意分野
試合分析・戦術解説
選手のデータ分析(EFF、PER など)
海外ニュース速報翻訳(英語 → 日本語)
サイト目標
日本最大の WNBA 情報ポータルサイト構築
日本のバスケットボールファンコミュニティ作り
関連 SNS アカウント
X(Twitter):@WNBAJAPAN
フォローしてWNBA の最新情報をキャッチしてください!