リーグ全体のトレンドと注目トピック
2025年のWNBAレギュラーシーズンは、リーグ全体で得点力が向上し、戦術面でも3ポイント攻勢が目立ったシーズンでした。ラスベガス・エーシズは最終戦でシーズン記録となる22本の3ポイントシュートを成功させ、16連勝でレギュラーシーズンを締めくくりました。1試合で22本もの3ポイントを決めたチームはリーグ史上初であり、現代WNBAにおいてアウトサイドシュートがいかに重要かを象徴しています。また、フェニックス・マーキュリーのスター選手であるアリッサ・トーマスは、今季だけで7度(最終的には8度)ものトリプルダブルを記録して自身のリーグ記録を更新し、連日のようにオールラウンドな活躍が話題となりました。彼女は「WNBA史上初めて10得点・15リバウンド・15アシスト以上を同一試合で記録」するとともに、「2試合連続でリバウンド12&アシスト15以上」というWNBAおよびNBAでも前例のない偉業も成し遂げています。このように2025年シーズンは、リーグ全体でオフェンスの爆発力が増し、トリプルダブルのような派手なスタッツも連発する”ハイペース・ハイスコア”のトレンドが色濃く出たシーズンでした。 注目すべき出来事としては、リーグの拡張と市場拡大も見逃せません。2025年にはゴールデンステート・ワルキュリーズ(本拠地サンフランシスコ)が新規参入し、WNBAのチーム数は13に増加しました。ワルキュリーズは創設1年目から健闘して23勝21敗と勝ち越し、見事プレーオフにも進出しています。さらにWNBAは将来的に2026年にポートランドとトロントに新チームを加えるなど、2030年までに計18チーム体制へ拡大する計画を公式発表しており、リーグの勢いが感じられます。今季はその前哨とも言える”拡張元年”で、ワルキュリーズがホーム22試合全てを完売させる人気ぶりを見せるなど、新規市場での盛り上がりも大きな話題となりました。
新世代スター選手の台頭 – クラーク、リース、ベッカーズ
インディアナ・フィーバー対シカゴ・スカイの開幕戦では、新人同士の対決が注目を集めました。フィーバーの新人ガードであるケイトリン・クラーク(背番号22)と、スカイの新人フォワードであるエンジェル・リースが初顔合わせし、まさにNCAA女子決勝の再現とファンを沸かせました。結果はフィーバーが93–58で勝利しましたが、クラークはデビュー戦にしてトリプルダブル(得点・リバウンド・アシストの三部門で二桁)を達成し、一躍プロの舞台でも主役級の存在感を示しました。リースもこの試合で12得点17リバウンドと奮闘し、試合中にはクラークがリースへ激しいファウルを犯してフレグラント判定を受ける場面もあり、大学時代からのライバル同士らしい火花が散りました。試合後には一部ファンの心ないヤジが問題となりリーグが調査に乗り出す一幕もありましたが、両選手とも「ただのバスケットボールのプレー」と気丈に振る舞い、お互いへのリスペクトを示しています。新人離れした活躍と相まって、この開幕戦は「新時代の到来」を象徴する劇的な幕開けとなりました。 シーズンを通して、ルーキーたちのインパクトは凄まじいものでした。中でも昨年ドラフト全体1位でフィーバーに加入したケイトリン・クラークと、ドラフト全体2位でスカイに加入したエンジェル・リースの2人は新人ながらオールスターに選出される活躍を見せています。クラークは開幕から華麗な3ポイントシュートやノールックパスで観客を魅了し、平均16.5得点・8.8アシスト・5.0リバウンドというオールラウンドな数字を残しました。7月には残念ながら鼠径部の負傷でシーズン残りを全休する決断がなされましたが、健康なときの彼女は「リーグ全体に計り知れない影響を与える存在」であり、コートに立つだけでチーム全体に自信を波及させる稀有な選手だと評されています。実際、クラークが敵地に現れるとアリーナのチケットが即完売になるほどの”ドル箱スター”となっており、リーグ全体への経済効果も絶大でした。 一方、エンジェル・リースは持ち前のリバウンド力でルーキーイヤーから記録ずくめの活躍を見せました。昨季(2024年)に新人としてリバウンド記録を次々更新し、迎えた2年目の今季もさらなる成長を遂げています。リースはフィジカルの強さに加え、オフシーズンに磨いたシュート力で得点効率を向上させました。特筆すべきはアシスト能力の飛躍で、平均3.7アシストはリーグ全フォワード中トップ、25歳未満の選手では最多という数字です。ポストから巧みなパスをさばき、チームメートのセンターであるカミラ・カルドーソとの連携も光りました。守備では相変わらずのリバウンド怪獣ぶりで平均12.2リバウンド(リーグ1位)を記録し、25試合消化時点で昨年自ら樹立した「シーズン300リバウンド到達最速記録」に並ぶ速さでボードを支配しています。チーム成績こそシカゴ・スカイは苦戦(10勝34敗)に終わりましたが、リースの規格外のプレーは将来への大きな希望として語られました。 さらに今年のドラフト全体1位でダラス・ウィングスに入団したペイジ・ベッカーズも、新人離れした輝きを放ちました。かつて大学界で”Paige Buckets”の異名を取った得点マシンはプロの舞台でも期待に違わず、平均19.1得点・5.0アシスト前後という新人とは思えぬ成績を残しました。リーグ関係者からも「殿堂入りする才能だ」とまで入団前から期待されていた逸材でしたが、その評判に違わぬ活躍ぶりでした。特に8月には「新人によるリーグ史上最多得点」となる44得点を1試合で叩き出し、しかもシュート成功率80%(17/21)という超効率での達成だったため大きな話題となりました。これはWNBA全体でも今季唯一の40得点超えゲームであり、ベッカーズが新人王レースを決定づけるには十分すぎるインパクトでした。実際、複数の専門家が新人王に彼女を推すなど評価も圧倒的で、「ルーキーにとって歴代でも屈指のシーズン」との声も上がっています。チームのダラスはシーズンを通じ怪我人続出で最下位に沈んだものの、「彼女がフランチャイズの未来を照らす光だ」と期待されており、今後の飛躍にファンの熱い視線が注がれています。 この他にも、ワシントン・ミスティクスのソニア・シトロン(今季ドラフト3位)は平均15.0得点・3P成功率44.3%という高効率ぶりで新人オールスターに名を連ね、同じく新人オールスターとなったキキ・イリアフェン(ドラフト4位)は平均12.9得点・8.7リバウンドで全試合先発を果たすなど、ルーキーたちがリーグに新風を吹き込みました。2024年組(クラーク&リースら)と2025年組(ベッカーズ&シトロン&イリアフェンら)が立て続けに豊作だったことで、オールスターに選ばれた25歳未満の選手は今年6人にも達し、2011年以来の多さとなりました。文字通り新人・若手がリーグを席巻したシーズンであり、ファンにとっても将来が楽しみな”ニュージェネレーションの台頭”を実感する一年だったと言えるでしょう。
リーグを牽引するエースたち – ウィルソンとコリアーの活躍
新人たちが躍動する一方で、リーグの主役として輝きを放ったベテランスターももちろん存在します。なかでもラスベガス・エーシズのエイジャ・ウィルソンとミネソタ・リンクスのナフィーサ・コリアーという両フォワードは、シーズンを通してMVP級のパフォーマンスを展開しました。両者は昨年(2024年)のMVP投票でも1位(ウィルソン)・2位(コリアー)を争った間柄でしたが、今季もシーズン最終盤まで熾烈なMVPレースを繰り広げました。 エイジャ・ウィルソンはリーグ屈指の勝者としての貫禄をまざまざと見せつけました。シーズン後半にはエーシズを牽引して15連勝(最終的に16連勝)を達成し、チームを30勝14敗の高勝率に導いています。ウィルソン自身も平均23.4得点と自身初の得点王に輝き(リーグ2位のコリアーが23.0得点)、30得点以上を今季13試合で記録するなど圧倒的な得点力を発揮しました。9月にはリンクスとの直接対決で80%という高確率で30得点超えを達成し、その試合ではコリアーを12得点に抑え込むなど、MVP争いのライバルに対しても存在感を示しています。最終的にウィルソンは記者投票でもMVPの最有力と目され、仮に受賞となれば自身4度目のシーズンMVPとなります。4度のMVP受賞はWNBA史上初の快挙であり、ウィルソンは「史上初の4度MVP」という新たな伝説に王手をかけました。このように絶大なインパクトを残したウィルソンは、ディフェンス面でも平均2ブロック以上・リバウンドでもトップクラスの成績を残しており、まさに文字通りリーグの頂点に君臨するエースとして君臨しています。 対するナフィーサ・コリアーも、自身のキャリア最高と言えるシーズンでチームを牽引しました。ミネソタ・リンクスは34勝10敗で初のリーグ首位に輝きましたが、その原動力となったのがコリアーです。今季のコリアーは平均22.9得点(リーグ2位)に加え、フィールドゴール成功率53%、3ポイント成功率40.3%、フリースロー成功率91%という驚異的なシュート効率を記録し、WNBA史上2人目となる「50-40-90クラブ」入りを果たしました。これは2019年のエレーナ・デレ・ドン以来となる快挙であり、しかも平均20点以上での50-40-90達成は史上初という歴史的偉業でした。コリアーのこの成績には相手チームからも賛辞が惜しみなく送られ、リンクスのシャリル・リーブHCは「彼女こそ今季WNBA最高の選手だ。数字が何よりの証拠」とMVPに推すコメントを残しています。実際、昨季MVP投票でウィルソンに次ぐ2位だったコリアーは、今季も最後までウィルソンとMVPの座を争い続けました。8月に足首の捻挫で計10試合を欠場したことが唯一悔やまれますが、それさえなければとの声が出るほど圧巻のパフォーマンスでした。コリアー自身はシーズン開幕前から「50-40-90をやり遂げる」という高い目標を掲げて臨んでおり、見事に有言実行してみせた形です。産休・出産を経て昨季復帰したばかりとは思えない充実ぶりで、27歳にしてキャリアの絶頂期を迎えたコリアーは、リンクスを2017年以来の優勝へ導くキープレーヤーとして大いに期待されています。 この他にも、前述のアリッサ・トーマス(マーキュリー所属)は今季も平均得点とアシスト数を昨季より伸ばし、MVPレースではウィルソン&コリアーに次ぐ有力候補となりました。トーマスは「シーズン7回のトリプルダブル」という離れ業に加え、平均9.3アシストでアシスト王に輝き、異次元のオールラウンドぶりでチームを支えています。またニューヨーク・リバティのブリアナ・スチュワート(昨季MVP)は新戦力の加入や自身の負傷もありやや数字を落としたものの、それでも平均20点超を維持し存在感を示しました。さらに歴戦のベテランでは、コネティカット・サンに復帰したティナ・チャールズ(36歳)が通算リバウンドで歴代1位に立つなど、ベテラン勢も節目の記録を打ち立てています。こうしたスター選手たちの活躍によって、2025年シーズンも「WNBAは選手層が最も充実した黄金期に入っている」との声が高まっており、ファンを大いに楽しませるシーズンとなりました。
ファンの反応と市場の盛り上がり
2025年シーズンはファン人気と注目度の面でも、WNBA史に残る”ブーム”と言える年となりました。まず観客動員では、レギュラーシーズン全体で延べ250万人を突破し、2002年以来保持されてきたリーグ記録(236万人)を大幅に塗り替えました。最終的な総入場者数は約270万人に達したとみられ、1試合平均でも11,000人超と前年(9,807人)から約12%増加しています。チーム別に見ると、今季新設のゴールデンステート・ワルキュリーズが平均18,064人(22試合全て完売)という驚異的な数字でリーグトップとなり、インディアナ・フィーバー(平均16,634人)やニューヨーク・リバティ(同16,265人)も史上例のない高い集客を記録しました。ワルキュリーズはサンフランシスコの大都市圏で新規参入初年度から成功を収め、フィーバーは「ケイトリン・クラーク効果」で昨季から観客動員が4倍以上に跳ね上がるなど、既存フランチャイズにも追い風をもたらしました。実際、フィーバーはホームゲーム総計で349,313人を動員しリーグ2位、敵地でもクラーク見たさのファンが詰めかけた結果を含めると年間合計で70万人近い観客を集めたとも報じられています。このように「WNBAの試合に行くこと」が一種のブームになったとも言える熱狂ぶりで、各地のアリーナで多くのファンが詰めかけました。 テレビ視聴率やメディア露出も軒並み上昇傾向にあります。ESPNやCBSなど全米放送の視聴者平均は約79.4万人と昨年比+21%に伸び、特にABCの全国中継12試合は同局史上最高の平均視聴者数を記録しました。開幕直後にはフィーバー対スカイ(クラーク vs リース)の一戦が平均270万人を集め、WNBAのレギュラーシーズンゲームとして過去25年で最高視聴数となりました。この試合は2008年以来となる「視聴者数100万人超え」を果たしただけでなく、その後も複数のフィーバー戦が200万超えを記録するなど、クラーク擁するフィーバー戦がテレビ番組の目玉コンテンツとして注目を浴びました。もっとも、クラーク不在時でもリーグ全体の数字は好調で、フィーバー戦以外の全国中継でも平均54.9万人と前年から37%増加しており、WNBA自体の人気が底上げされています。7月に開催されたインディアナポリスでのオールスター戦も、クラークが怪我で欠場した影響で前年の視聴者数(344万人)こそ下回ったものの、それでも219万人が視聴し歴代2番目の高さとなりました。今季は開幕から話題が豊富だったこともあり、「SNSトレンドにWNBA関連ワードが常に上がる」状況が続きました。特にクラークが決めたロングレンジからのブザービーター(試合終了ブザーと同時に決めるシュート)は何度もハイライト映像がバズり、各種SNSで拡散されました。また、オールスター前後には選手たちが報酬や待遇改善を求めて”#PayUp”のシャツを着用するなど話題を提供し、ファンの間でもリーグの発展や将来像について活発に語られるようになっています。 こうした盛り上がりを受け、WNBAは今年度からABC/ESPNに加えて新たにNBCスポーツとの大型放映契約(11年22億ドル)を結ぶことも発表されており、まさにリーグの市場価値が飛躍的に向上したシーズンでした。ESPNの名物実況アナであるライアン・ルーコ氏は「女子バスケ界でこれほどの現象はかつてなく、タイガー・ウッズがゴルフにもたらした影響に匹敵する」とクラーク旋風によるWNBA人気を評しています。実際、インディアナ・フィーバーの球団価値はクラーク加入前の9000万ドルから現在は3億3500万ドルへと急騰したと報じられ、スポンサー投資やグッズ売上などあらゆる面で数字が伸びました。選手たちも「こんなに注目されるのをずっと望んでいた」と口を揃えて喜んでおり、ファンとリーグが一体となって女子バスケ界を盛り上げた記念碑的シーズンとなったのです。
プレーオフ進出チームの勢力図と注目マッチアップ
レギュラーシーズンの全日程を終え、今年のプレーオフに駒を進めたのは以下の8チームです。
1位:ミネソタ・リンクス(34勝10敗)
– コリアー擁するリンクスが球団史上初めてシーズン首位の座を獲得。守備力がウリで、失点はリーグ最少クラス。MVP級のコリアーに加え、相棒のアラーナ・スミスは今季最優秀守備選手に推す声もある堅実な選手。新人のダイアモンド・ミラーら若手も成長し隙のない布陣です。昨季まで低迷していただけに”シンデレラチーム”的な注目度があります。
2位:ラスベガス・エーシズ(30勝14敗)
– 昨季王者であるエーシズは、終盤16連勝で一気に2位に滑り込み、連覇を目指す態勢を整えました。ウィルソンはリーグNo.1の大黒柱で、加えて今年はオールスター級のジュエル・ロイド(昨季得点王)も新加入し攻撃力は増す一方。怪我から復帰した”ポイント・ゴッド”ことチェルシー・グレイの存在も頼もしく、経験値では群を抜く陣容です。下馬評では依然「優勝候補筆頭」として名前が挙がります。
3位:アトランタ・ドリーム(30勝14敗)
– ドリームはチーム創設以来最高タイの勝ち星を挙げ、A東地区を制しました。エースのライネ・ハワード(2022年ドラフト全体1位)は得点と3Pでチームを牽引し、アリシャ・グレイら脇を固めるメンバーも充実しています。堅守速攻のスタイルで8年ぶりの優勝を狙うダークホース的存在です。
4位:フェニックス・マーキュリー(27勝17敗)
– 大補強に成功したマーキュリーは、プレーオフでも要注意の強豪です。アリッサ・トーマスが毎試合トリプルダブル級の活躍を見せ、カーレア・コッパーやサトゥ・サバリーら新戦力もフィットしました。センターのブリトニー・グライナーも健在で、ベテランのデウォンナ・ボナーら経験豊富な面々が揃います。ニューヨークとの1回戦は「攻守両チームのスター揃い対決」として大注目です。
5位:ニューヨーク・リバティ(27勝17敗)
– 近年”スーパーチーム”と呼ばれる豪華陣容を誇るリバティですが、今季はやや波に乗り切れず5位。それでも昨年MVPのブリアナ・スチュワート、名PGのサブリナ・イオネスコ、守護神ジョンケル・ジョーンズとビッグ3は健在です。特にステュワート対トーマス(元同僚同士)のマッチアップは、1回戦最大の見どころになるでしょう。
6位:インディアナ・フィーバー(24勝20敗)
– クラーク抜きで終盤を戦ったフィーバーでしたが、ルーキー不在の逆境を跳ね返し7年ぶりのプレーオフ進出を勝ち取りました。セカンドイヤーのアリーヤ・ボストン(昨季新人王)とベテランのケルシー・ミッチェル(今季平均20.2得点)は共に安定感抜群で、指揮官ステファニー・ホワイトは「どんな困難もチームの結束で乗り越えた」と選手たちを称えています。若さと勢いを武器に上位への番狂わせを狙います。
7位:シアトル・ストーム(23勝21敗)
– 王者スー・バードやブリアナ・スチュワートの退団から1年、再建期のストームが意地を見せました。エースのジュエル・ロイドはシーズン途中にチームを離れましたが(トレード)、若手中心の布陣で勝ち越しを果たし、新人HCも手腕を発揮しました。プレーオフではさすがに分が悪いとの予想ですが、”ジャイアントキリング”を起こせるか注目です。
8位:ゴールデンステート・ワルキュリーズ(23勝21敗)
– 記念すべき拡張チーム初年度でプレーオフに滑り込んだワルキュリーズも見逃せません。19歳のドミニク・マロンガ(ドラフト2位)が史上最年少の二桁得点プレイヤーとして活躍するなど、将来有望な才能が揃っています。1回戦は優勝経験豊富なリンクスとの対戦となりますが、ホームでは連日満員の大声援が後押ししてくれるでしょう。
以上のように、上位勢力図は昨年までと比べても大きく塗り替わりました。昨季まで2強と呼ばれたエーシズとリバティが中位にとどまり、逆にリンクスやドリームといった新興勢力が台頭したことで、”群雄割拠”の様相を呈しています。プレーオフでは、ウィルソン vs コリアーのMVP対決が実現するのか、あるいはトーマス率いるマーキュリーが台風の目となるのか、注目のマッチアップが目白押しです。特にリバティ対マーキュリーの1回戦はスター選手が集う好カードで、スチュワートとトーマスというMVPクラス同士の激突にファンの期待も高まっています。さらに勝ち上がれば、リンクス vs リバティ(あるいはマーキュリー)の準決勝や、エーシズ vs ドリームの対戦など、興味深い組み合わせが数多く控えています。どのチームが勝ち上がってもおかしくない戦力拮抗のプレーオフとなりそうで、WNBA史上でも屈指の熱戦が繰り広げられる予感です。
2025年を象徴する試合・名場面ハイライト
2025年シーズンには、ファンの記憶に残る劇的な名勝負や名シーンが数多く生まれました。最後に、今年を象徴するいくつかの瞬間を振り返ってみましょう。
開幕戦で新人対決が大爆発(5月17日): インディアナで行われたフィーバー対スカイは、クラークがデビュー戦でトリプルダブルを達成&試合平均270万人視聴という歴史的ゲームになりました。クラークの華麗なプレーとリースの奮闘が光り、女子バスケ人気を一気に押し上げた試合です。
「44点の衝撃」、ペイジ・ベッカーズの新人記録(8月上旬): ダラス・ウィングスのルーキー、ベッカーズがロサンゼルス・スパークス戦で17/21という驚異的なシュート成功で44得点を記録。新人によるリーグ史上最多得点となり、現地実況も「”She’s ballin’!”」と大興奮。新人王を決定づけた伝説の一戦です。
ナフィーサ・コリアー、50-40-90を達成(9月11日): リンクス最終戦、コリアーが必要な3ポイントを沈めてシーズン通算50-40-90の基準をクリア。20得点超での達成はWNBA初で、会場もスタンディングオベーション。試合後の「彼女こそMVPだ」という声援が印象的でした。
ウィルソン率いるエーシズ、記録的3Pシャワー(9月12日): レギュラーシーズン最終日、エーシズがスパークスを相手に22本の3P成功&16連勝で有終の美。ウィルソンは23点19リバウンドの活躍でMVPへ最後の猛アピール。「ここ一番でギアを上げる王者の貫禄」を見せつけた瞬間でした。
若きスターの劇的ブザービーター: シーズン中盤、クラークはミスティクス戦などで立て続けに試合終了間際の逆転ブザービーターを沈め、SNS上でハイライト動画が何百万回も再生されました。長い距離から放たれる彼女のクラッチシュートは「今年最も鳥肌が立つ瞬間」としてファンの語り草です。
このように、2025年のWNBAレギュラーシーズンは記録とドラマに溢れ、ファンにとって忘れられない名場面が数多く生まれました。リーグ全体のレベルアップと新旧スターの競演、そしてそれを支えるファンの情熱が三位一体となり、女子バスケットボールの新たな黄金期を感じさせるシーズンだったと言えるでしょう。プレーオフや来季以降への期待も高まる中、これからもWNBAは更なる飛躍を遂げていくに違いありません。熱戦続きの2025年シーズン、本当にお疲れ様でした。そしてファンにとっては最高にエキサイティングで胸躍る夏となりました。
今日からプレーオフスタート。
日本での人気はまだまだでファンも少ないですが、私たちで盛り上げてまいりましょう!!

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