2025年WNBAプレイオフが遂に開幕しました。9月15日に行われたファーストラウンド第1戦の4試合は、レギュラーシーズンの勢力図がそのままプレイオフにも持ち込まれるのか、それとも番狂わせが起こるのかを占う重要な試金石となりました。結果的に上位シードが順当に勝利を収めましたが、その内容には今後のシリーズを左右する重要な要素が数多く含まれていました。
目次
圧倒的な守備力で相手を封殺したエーシズとリンクス
ラスベガス・エーシズの完璧な試合運び
エイジャ・ウィルソンを擁するエーシズは、シアトル・ストームを相手に理想的な試合展開を見せました。前半だけで45-25という20点差をつけ、ストームに一度もリードを許すことなく完勝しました。この試合で特筆すべきは、エーシズの守備陣が見せた圧倒的なプレッシャーです。チーム全体で10スティール、6ブロックを記録し、相手の13個のターンオーバーから21得点を奪取しました。
ウィルソン個人の29得点、8リバウンド、3スティール、2ブロックという数字も圧巻でしたが、それ以上に重要なのは、彼女の存在がチーム全体の守備意識を高めていることです。3度のMVPと2度の最優秀守備選手賞を獲得している彼女のリーダーシップは、プレイオフという重要な局面でこそ真価を発揮します。
ミネソタ・リンクスが見せた攻守の完成度
一方、レギュラーシーズン首位のリンクスは、第8シードのバルキリーズを101-59という大差で下しました。この42点差での勝利は、フランチャイズのプレイオフ史上最大差となる記録的な大勝でした。
リンクスの強さは、5人の選手が2桁得点を記録したバランスの良い攻撃陣にあります。ナフィーサ・コリアーの20得点を筆頭に、チーム全体でフィールドゴール成功率51.5%を記録し、35本のフィールドゴールのうち25本でアシストが記録されるという、理想的なボールムーブメントを展開しました。守備面でも相手のフィールドゴール成功率を33.9%に抑え、16個のターンオーバーを奪うなど、攻守両面で圧倒的な実力差を見せつけました。
スター選手の不在と負傷が与える影響
ケイトリン・クラーク不在のフィーバーが露呈した課題
インディアナ・フィーバーは、今シーズン話題の中心となったケイトリン・クラークを怪我で欠く中、アトランタ・ドリームに敗れました。クラークがコート上にいる時のオフェンシブレーティングは108.6でしたが、不在時は104.4まで低下していたという数字が示す通り、彼女の不在は想像以上に大きな影響を与えました。
ケルシー・ミッチェルが27得点と奮闘しましたが、他の選手の合計得点はわずか41得点、シュート成功率28.8%という惨憺たる内容でした。クラークの持つ視野の広さとパスセンスがいかにチームの攻撃を活性化させていたかが、改めて浮き彫りになった試合でした。
リバティを襲った最悪のシナリオ
ニューヨーク・リバティは延長戦の末にフェニックス・マーキュリーに勝利しましたが、その代償は大きなものでした。エースのブリアナ・スチュワートが延長戦残り2分で左膝を負傷し、コートを去ることになったのです。
スチュワートは今シーズン開始前に右膝の半月板の処置を受け、シーズン終盤には右膝の骨挫傷で1か月間欠場していました。今回の左膝の負傷がどの程度深刻なものかは現時点では不明ですが、リバティにとって最悪のタイミングでの負傷であることは間違いありません。
新戦力が見せた存在感
ナターシャ・クラウドの劇的なデビュー戦
リバティがオフシーズンに2つのファーストラウンド指名権を放出して獲得したナターシャ・クラウドは、その期待に応える素晴らしいパフォーマンスを見せました。23得点、6リバウンド、5アシスト、4スティールという数字もさることながら、フィールドゴール成功率75%(12本中9本成功)、3ポイント成功率50%(6本中3本)という効率の良さが光りました。
特に第4クォーターと延長戦で10得点を挙げた勝負強さは、プレイオフという大舞台でこそ必要とされる資質です。39分間の出場時間でチームはプラス11を記録し、彼女がコート上にいることでチームが安定することを証明しました。
ルビー・ヒルモンが示したシックスマンの価値
アトランタ・ドリームのルビー・ヒルモンは、今シーズンのシックスマン賞候補として名前が挙がっていましたが、プレイオフでもその実力を遺憾なく発揮しました。16得点、9リバウンドに加え、3アシスト、1スティール、3ブロックという万能な活躍を見せました。
オフシーズンに習得した3ポイントシュートも2本成功させ、相手の守備陣に新たな脅威を与えました。特に後半での活躍が目立ち、フィーバーとの点差を広げる上で重要な役割を果たしました。
今後のシリーズ展開を占う重要なポイント
ベスト・オブ・スリー形式のファーストラウンドでは、第1戦を落としたチームは即座に崖っぷちに立たされます。バルキリーズ、ストーム、フィーバー、マーキュリーの4チームは、第2戦で勝利しなければシーズン終了という厳しい現実に直面しています。
特に注目すべきは、スチュワートの負傷がリバティのシリーズ展開にどう影響するかです。彼女が欠場することになれば、マーキュリーにとっては大きなチャンスとなります。一方、フィーバーはクラーク不在の中でどのような戦術変更を行うのか、ミッチェル以外の選手がステップアップできるかが鍵となります。
リンクスとエーシズは、第1戦で見せた圧倒的な強さを維持できれば、順当にセカンドラウンドへ進出することが予想されます。しかし、プレイオフは何が起こるか分からない舞台です。第2戦では、敗れたチームが必死の反撃を見せることが予想され、より激しい戦いが展開されることでしょう。
2025年のWNBAチャンピオンへの道のりは、まだ始まったばかりです。各チームの調整力、選手の健康状態、そして何より勝利への執念が、最終的な勝者を決定することになります。
引用: cbssports

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