ペイジ・ベッカーズ

ベッカーズの未来を託す新監督は誰だ?ウィングス次期HC候補を徹底分析

ダラス・ウィングスが2025年シーズンをわずか10勝34敗という惨憺たる成績で終え、わずか1シーズンでクリス・コクラネスヘッドコーチを解任しました。全体1位指名のスーパールーキー、ペイジ・ベッカーズが新人王に輝く歴史的なデビューシーズンを送ったにもかかわらず、チームはシカゴ・スカイと並んでリーグワーストの成績に終わりました。これは単なる成績不振だけでなく、チーム運営そのものに深刻な問題があったことを示しています。

ゼネラルマネージャーのカート・ミラーは声明で「チームの将来にとって重要な時期を迎えるにあたり、リーダーシップの変更が組織にとって最善だと判断しました」と述べました。新施設の建設、若手中心のロースター、今後2年間で3つのドラフト1巡目指名権を持つという好条件が揃う中、チームは正念場を迎えています。

コクラネスの解任は予想されていました。シーズン前から期待されていたプレーオフ進出どころか、開幕1勝11敗という最悪のスタートを切り、10連敗を記録するなど、戦術面でも選手との信頼関係でも問題が露呈していました。特にディフェンス面での改善が見られず、チームは13チーム中12位という散々な守備力でした。ベッカーズのような才能ある選手を活かすには、より経験豊富で強いリーダーシップを持つ指導者が必要なのは明白です。

本命候補:サンディ・ブロンデロ – 実績十分の優勝請負人

次期ヘッドコーチの最有力候補として浮上しているのが、サンディ・ブロンデロです。ニューヨーク・リバティがわずか1年前にWNBA優勝を果たしたにもかかわらず、2025年9月に契約を更新しないという衝撃的な決断を下したことで、ブロンデロは突然フリーエージェントとなりました。

ブロンデロの実績は圧倒的です。リバティでの4シーズンで107勝53敗という成績を残し、フランチャイズ史上最多勝利のヘッドコーチとなりました。2024年には球団初のWNBAチャンピオンシップをもたらし、2年連続でファイナルに進出しています。それ以前には、フェニックス・マーキュリーで8シーズンにわたってヘッドコーチを務め、150勝108敗の成績でチームを毎年プレーオフに導き、2014年にはWNBA優勝と年間最優秀コーチ賞を獲得しました。

特筆すべきは、ブロンデロがダイアナ・タウラシ、ブリアナ・スチュワート、サブリナ・イオネスクといったスーパースター選手たちとの関係構築に長けている点です。解任前、スチュワートやイオネスクはブロンデロへの支持を公に表明していました。この「大物を扱える能力」こそ、ベッカーズという新たなスターを育成し、彼女を中心にチームを再建するために必要な資質です。

ブロンデロはまた、オーストラリア女子代表のヘッドコーチとしても活躍し、2024年パリ五輪で銅メダルを獲得するなど、国際的な経験も豊富です。57歳という年齢と豊富な経験は、混乱するウィングスに安定と方向性をもたらすでしょう。

若手育成のスペシャリスト:ノエル・クイン

もう一人の有力候補がノエル・クインです。シアトル・ストームのヘッドコーチとして2021年から2025年まで指揮を執り、若手コーチとしてリーグに旋風を巻き起こしました。就任1年目にコミッショナーズカップで優勝するという偉業を成し遂げ、選手時代にもストームで優勝を経験している生粋のストーム人です。

クインの最大の強みは、ガードの育成に定評があることです。自身もWNBAで10年以上ガードとしてプレーした経験を持ち、その知見を指導に活かしています。ベッカーズはルーキーシーズンに平均19.2得点、5.4アシストという素晴らしい数字を残しましたが、ターンオーバーが平均2.0本という改善の余地があります。クインの指導により、ボールハンドリングの精度向上が期待できるでしょう。

ただし、クインがストームを解任されたのには理由があります。2021年以降、プレーオフでわずか1シリーズしか勝てず、豊富なタレントを抱えながらもオフェンス面での戦術的改善が見られませんでした。さらに、選手からのハラスメント疑惑で調査を受けるなど、チームマネジメントに課題を抱えていました。2年連続でプレーオフ1回戦敗退となり、組織は新たな方向性を求めた形です。

それでも、若手ガードの育成という観点では、ベッカーズにとって理想的なコーチとなる可能性を秘めています。

ダークホース:リサ・レスリー – レジェンドの大胆な挑戦

リサ・レスリーは、実績面では最も注目を集めるダークホース候補です。WNBA史に名を刻むレジェンドとして、2度の優勝、3度のMVP、8度のオールスター選出を誇り、殿堂入りも果たしています。

レスリーの強みは、リーグの顔として活躍した経験です。ベッカーズもまた、若くしてスターダムに上り詰めた選手であり、その重圧や課題を理解できる人物として、レスリーはメンター的な役割を果たせるでしょう。また、BIG3リーグでトリプレッツを優勝に導いた経験もあり、コーチングの才能は証明されています。さらに、現役WNBA選手の個別指導も行っており、現代バスケットボールへの理解も深めています。

しかし、WNBA でのヘッドコーチ経験がないことは大きなリスクです。過去にWNBAのヘッドコーチ職の面接を受けたものの、自分より資格が劣ると感じた候補者が選ばれたことに失望し、以降は機会を辞退してきました。ウィングスがレスリーを説得できれば革命的な人事となりますが、現実的にはハードルが高いでしょう。

内部昇格の可能性:カート・ミラー自身の復帰

意外な候補として、現GMのカート・ミラー自身がベンチに戻る可能性も囁かれています。ミラーは2度の年間最優秀コーチ賞を受賞した実績を持ち、20年以上にわたってコーチングに携わってきました。コネチカット・サンでコクラネスと共に働き、2019年と2022年にファイナルに進出した経験もあります。

ミラーはチーム状況を誰よりも理解しており、ベッカーズやロースターの課題を把握しています。短期的な解決策としては合理的ですが、GM職とヘッドコーチ職の兼任は現代WNBAでは困難であり、ミラー自身も「両方の役割を一人でこなすのは現実的ではない」と過去に語っています。

ベッカーズの声を聞くべきか

通常、2年目の選手が組織のコーチング決定に関与することはありません。しかし、ベッカーズは「通常の選手」ではありません。近年のWNBAにおける選手エンパワーメントの流れを考えると、フロントオフィスがベッカーズの意見を聞くことは重要です。最悪のシナリオを避けるためにも、チーム全体の集団的決定として進めるべきでしょう。

ウィングスは現在、過去7シーズンで5人目のヘッドコーチを探しています。2018年にフレッド・ウィリアムスが解雇されて以来、2年以上続いたコーチはいません。この不安定さこそが、チームの慢性的な低迷の根本原因です。

まとめ:正しい決断が未来を左右する

ダラス・ウィングスは岐路に立っています。ベッカーズという将来のスーパースターを擁し、2026年ドラフトで再び上位指名権を獲得する可能性が高く(40%の確率で1位指名権)、新施設も建設中です。全てのピースは揃いつつあります。

必要なのは、これらのピースを組み合わせて勝利への道筋を示せる、経験豊富で信頼できるリーダーです。ブロンデロの実績と安定感、クインの若手育成能力、レスリーのカリスマ性、ミラーのチーム理解度—それぞれに魅力がありますが、最終的にはベッカーズのプレースタイルと相性の良い、長期的なビジョンを持った人物を選ぶべきでしょう。

シーズンはすでに終了しており、時間は限られています。ウィングスは慎重かつ迅速に、そして何よりも賢明な決断を下さなければなりません。正しい選択をすれば、プレーオフ進出どころか優勝争いも夢ではありません。間違った選択をすれば、ベッカーズの才能を無駄にし、再建は振り出しに戻ってしまうでしょう。

引用:yardbarker

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