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カー、スパーズへの復帰か?ゴールデンステート退団後の最有力候補地

2025-26シーズンを最後に、ゴールデンステート・ウォリアーズのヘッドコーチ、スティーブ・カーの契約が満了します。過去10年間でNBA最高の成功を収めたコーチの一人が、果たしてベイエリアを去るのか。そしてその次の目的地として、サンアントニオ・スパーズが浮上しています。

カーは2025年9月のプレシーズン記者会見で、契約最終年についての質問に対し、印象的な回答を残しました。「まったく心配していない。続けることが運命なら続けるし、チームが別の誰かに移行することが運命なら、感謝と尊敬の念しかない」と語りました。この言葉からは、長年築き上げたウォリアーズ王朝の終焉を静かに受け入れる覚悟が感じられます。

グレッグ・ポポビッチ時代の終焉とスパーズの転換期

サンアントニオ・スパーズは2025年5月、29シーズンにわたってチームを率いたレジェンド、グレッグ・ポポビッチがヘッドコーチを退任し、バスケットボール部門統括責任者に専念することを発表しました。ポポビッチは2024年11月に脳卒中を患い、その後の回復を経ても、NBAヘッドコーチという過酷な職務に戻ることは困難だと判断しました。

76歳のポポビッチは、NBA史上最多となる1,422勝を記録し、5度のNBA優勝を達成した殿堂入りコーチです。彼の退任により、アシスタントコーチだったミッチ・ジョンソンが正式にヘッドコーチに昇格しました。しかし、ジョンソンが2025-26シーズンを率いる中で、フロントオフィスは次世代を見据えた戦略的な判断を迫られる可能性があります。

カーとスパーズ、深い繋がりの歴史

カーがスパーズに向かう可能性を考える上で、彼の選手時代のキャリアは重要な意味を持ちます。カーは15年間のNBA選手キャリアの中で、6つのチームでプレーしましたが、複数回在籍したのはスパーズだけです。

1999年1月、カーはシカゴ・ブルズからトレードでスパーズに加入し、その年にチーム初のNBA優勝を経験しました。その後、2001年にポートランド・トレイルブレイザーズに移籍しましたが、2002年8月に再びスパーズに戻り、2002-03シーズンを最後に現役を引退しました。この最終シーズン、カーは1試合平均13分の出場ながら、ベテランメンターとしてチームに貢献し、2度目のスパーズでの優勝を手にしました。

2003年のウェスタン・カンファレンス決勝第6戦、ダラス・マーベリックス戦で、カーは後半に4本の3ポイントシュートを決め、スパーズの勝利とファイナル進出に大きく貢献しました。この試合は、カーのクラッチ能力とポポビッチとの信頼関係を象徴する瞬間でした。

ウォリアーズでの黄金時代と今後の岐路

カーは2014年5月にウォリアーズのヘッドコーチに就任し、チームを史上最高の成功期へと導きました。就任1年目の2015年に優勝を果たし、2015-16シーズンには73勝9敗という歴史的な記録を樹立しました。その後、2017年と2018年に連覇を達成し、2022年には4度目の優勝を手にしました。

カーの指揮のもと、ウォリアーズは6年連続でNBAファイナルに進出し、2025年3月にはチーム史上最多勝利記録を更新しました。カーは2024年に2年間で3,500万ドルの契約延長にサインしており、年間1,750万ドルの報酬はNBAコーチの中で最高額です。

しかし、ステフィン・カリーの年齢と共に、ウォリアーズ王朝の終焉が近づいていることは明らかです。2025-26シーズンがカーとウォリアーズにとって「最後の一花」となる可能性があり、その結果次第では、60歳のカーが新天地を求める決断を下すかもしれません。

スパーズの未来とカーの役割

スパーズは現在、若き才能ビクター・ウェンバニヤマを中心とした再建期にあります。2023年のドラフト全体1位指名で獲得した21歳のフランス人センターは、2024-25シーズンに平均24.3得点、11.0リバウンド、3.8ブロックを記録し、オールスターに初選出されました。しかし、2月に右肩の深部静脈血栓症が発覚し、シーズンを早期に終えることとなりました。

ウェンバニヤマは現在完全に回復し、2025-26シーズンに向けてトレーニングキャンプに全面参加しています。スパーズはまた、2025年のトレードでデアーロン・フォックスを獲得し、4年間の最大契約延長を結びました。さらに、ドラフトで2位指名のディラン・ハーパーを獲得し、前年の新人王ステフォン・キャッスルと共に、若手中心のロースターを形成しています。

カーがスパーズのヘッドコーチに就任すれば、ポポビッチの教え子として、スパーズ文化の継承者となるでしょう。カーの戦術的な革新性とポポビッチから学んだ選手育成の哲学は、ウェンバニヤマのような世代を超える才能を最大限に引き出す可能性があります。

ポポビッチは現在、バスケットボール部門統括責任者として引き続きチームに関与しており、カーの招聘に向けて影響力を行使できる立場にあります。2人の長年の関係性を考えれば、カーにとってスパーズは単なる次のキャリアステップではなく、バスケットボール人生の「故郷への帰還」となるかもしれません。

2026年オフシーズンに向けた現実的なシナリオ

現時点で、カーがウォリアーズを離れることは確定していません。むしろ、彼は2025-26シーズンに全力を注ぎ、カリーと共に最後のチャンピオンシップを目指すでしょう。しかし、仮にシーズンが期待外れの結果に終わった場合、カーは自身のキャリアの次章を検討する可能性があります。

スパーズ側も、ミッチ・ジョンソンが2025-26シーズンを通じてどのような成果を上げるかを見極める必要があります。ジョンソンはポポビッチ不在の2024-25シーズンに31勝45敗の成績を残し、困難な状況下でもチームをまとめ上げました。しかし、スパーズがプレーオフ復帰を本気で目指すなら、カーのような実績あるチャンピオンシップコーチの招聘は魅力的な選択肢となるでしょう。

ポポビッチが引退した今、スパーズは新時代の幕開けを迎えています。カーがその新時代を率いるコーチとなるのか、2026年の夏が一つの転換点となることは間違いありません。

引用: sportscasting

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