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エーシズ vs マーキュリー、専門家たちの予想が真っ二つに分かれる2025年WNBAファイナル

2025年WNBAファイナルが10月3日に開幕しますが、専門家たちの予想は見事に割れています。ラスベガス・エーシズとフェニックス・マーキュリーの対決は、史上初の7戦制という新フォーマットで行われることもあり、その結果を予測することが極めて難しくなっています。果たしてエーシズが3度目の王座を手にするのか、それともマーキュリーが11年ぶりの栄冠を勝ち取るのか。両陣営の見解と、その根拠を徹底的に分析します。

マーキュリー優勢派の主張:勢いと守備力がカギ

複数のメディアで、マーキュリーの勝利を予想する声が高まっています。特に注目すべきは、マーキュリーがこれまでのプレーオフで見せてきた圧倒的な守備力と、勢いの持続性です。

CBS Sportsの専門家パネルでは、4人中2人がマーキュリーの優勝を予想しました。その理由として挙げられているのが、マーキュリーのプレーオフでの実績です。彼らは第4シードながら、王者ニューヨーク・リバティと首位ミネソタ・リンクスという、昨シーズンのファイナリスト2チームを連続で撃破しました。一方のエーシズは、第7シードのシアトル・ストームと第6シードのインディアナ・フィーバーという、格下の相手に苦戦を強いられました。

マーキュリーの守備力は数字にも表れています。プレーオフ全体で、相手チームの得点を1試合平均75.9点に抑え、ペイントエリアでの得点をわずか32点に制限しています。これはプレーオフ参加チームの中で最高のディフェンシブレーティングです。興味深いことに、エーシズは攻撃の47.5%をペイントエリアで生み出しており、この両者の特徴が正面からぶつかり合うことになります。

さらに、マーキュリーには休養面でのアドバンテージがあります。彼らは準決勝を日曜日に終え、金曜日の第1戦まで5日間の休養を得ました。一方、エーシズは火曜日に延長戦まで戦い、わずか3日後にファイナルを迎えます。今シーズン、マーキュリーは3日以上の休養を得た試合で8勝3敗、平均88得点という好成績を残しており、フレッシュな状態で臨める彼らが序盤戦で優位に立つ可能性は高いと見られています。

エーシズ支持派の反論:経験値とウィルソンの絶対的存在感

一方で、エーシズ優勢派の主張も説得力があります。最も大きな要因は、チャンピオンシップの経験です。エーシズは2022年と2023年に連覇を達成しており、エイジャ・ウィルソンとチェルシー・グレイはともにファイナルMVPの実績を持っています。

マーキュリーのビッグ3であるアリッサ・トーマス、サトゥ・サバリー、カレア・カッパーの中で、ファイナルで優勝した経験があるのはカッパーだけです。プレッシャーのかかる場面での対応力という点では、エーシズに軍配が上がります。

また、ウィルソンという決定的な個人能力の差も見逃せません。プレーオフでのウィルソンの使用率は34%とリーグトップで、エーシズの得点の29.9%、フィールドゴール試投の31.2%を占めています。エーシズはウィルソンが25得点以上を記録した試合で4勝1敗、25得点未満では1勝2敗という明確な傾向があり、彼女のパフォーマンスがチームの勝敗を左右します。

レギュラーシーズンの対戦成績もエーシズに有利です。4回の対戦で3勝1敗と優位に立っており、特に8月21日の最終対戦では83-61と圧勝しています。ウィルソンはマーキュリー戦で平均25得点、15.7リバウンド、3アシストという高いスタッツを残しており、マーキュリーの小さいフロントコートにとって脅威となるでしょう。

オッズが示す拮抗した戦い

ブックメーカーのオッズを見ると、この対決がいかに接戦であるかが分かります。Caesarsのオッズでは、エーシズが-130、マーキュリーが+110となっており、ほぼ五分五分の評価です。BetMGMでもエーシズが-122と、わずかな優勢に留まっています。

第1戦のスプレッドはエーシズ-3.5点となっていますが、これはホームコートアドバンテージを考慮した数字であり、マーキュリーが十分に勝利のチャンスを持っていることを示しています。興味深いことに、開幕直後のマーケットの動きは、アンダードッグのマーキュリーとオーバーに傾いています。

ベッティング専門家の多くは、両チームがペースの速いバスケットボールを展開することを予想しており、トータルスコアは160点前後になると見られています。両チームとも、リバウンド後にすぐに速攻を仕掛けられる選手を複数擁しており、ポイントガードを探す時間を省略できる点が、ハイスコアゲームを生む要因となっています。

ファイナルMVP予想:トーマス vs ウィルソン

ファイナルMVP争いも注目ポイントです。もしエーシズが優勝すれば、ウィルソンがMVPを獲得する可能性は極めて高いでしょう。彼女なしにエーシズが優勝することは考えにくく、オッズでも1.83と圧倒的な支持を集めています。

一方、マーキュリーが優勝した場合、トーマスが最有力候補となります。オッズは2.55で、彼女の全方位的な貢献度が評価されています。トーマスは今シーズン、シングルシーズン記録となる8回のトリプルダブルを達成し、プレーオフでも平均18.6得点、8.4リバウンド、9.1アシストというトリプルダブルに近い数字を残しています。

興味深い別の見方として、サバリーをMVP候補に挙げる声もあります。サバリーが15得点以上を記録した試合でマーキュリーは5勝0敗という完璧な成績を残しており、彼女のパフォーマンスがチームの勝敗を直接左右しています。ただし、サバリーの平均出場時間は33分に留まっており、疲労を考慮してコーチが交代を挟む必要があるため、MVPを獲得するにはコンスタントに高いパフォーマンスを維持する必要があります。

勝敗を分ける3つの要因

1. ファウルコールの基準

マーキュリーの最大の武器は、そのフィジカルなディフェンスです。プレーオフで1試合平均13.9個のファウルしか取られておらず、これはプレーオフ参加チーム中最少の数字です。他のチームは全て15個以上取られている中で、この差は大きな意味を持ちます。

もし審判がマーキュリーのフィジカルなプレーを許容すれば、ウィルソンは苦戦を強いられるでしょう。しかし、もしタイトなコールが行われ、ウィルソンがレギュラーシーズンのマーキュリー戦のように1試合10本以上のフリースローを得られるようになれば、エーシズが圧倒的に有利になります。ウィルソンのプレーオフ平均フリースロー7.3本は全選手トップタイの数字であり、彼女をラインに立たせることがマーキュリーにとって最悪のシナリオです。

2. ペイントエリアでの攻防

マーキュリーの身長面での不利は否定できません。6フィート4インチ以上の選手は、6フィート7インチのカラニ・ブラウンのみで、彼女はプレーオフでわずか3分間しかプレーしていません。ウィルソンはレギュラーシーズン中、制限区域内で70%のシュート成功率を記録していますが、ミドルレンジでは45%まで落ちます。

マーキュリーがウィルソンをペイントエリアから遠ざけ、中距離シュートを打たせることができれば勝機が見えてきます。逆に、エーシズが攻撃の47.5%を生み出すペイントエリアでの優位性を確立できれば、マーキュリーの守備をも打ち破ることができるでしょう。

3. クラッチタイムでのメンタリティ

マーキュリーはプレーオフで複数の大逆転劇を演じてきました。準決勝第2戦では20点差を跳ね返し、WNBAプレーオフ史上最大級のアウェイでの逆転勝利を収めました。第4戦でも第4クォーターに13点差から追いつき、86-81で勝利しました。

一方のエーシズは、シリーズを締めくくることに苦労しています。1回戦のシアトル戦は74-73という際どい勝利でしたし、準決勝のフィーバー戦も延長戦までもつれ込みました。この点はマーキュリーにとって希望の光となるでしょう。

しかし、最終的な勝負どころでは、エーシズの経験が物を言う可能性があります。グレイとウィルソンはファイナルMVPの実績を持ち、プレッシャーのかかる場面での対応力は証明済みです。7戦制という長期シリーズでは、この経験の差が明暗を分ける可能性があります。

筆者の見解:予想困難だが極上のエンターテインメント

複数の専門家の意見を総合すると、このシリーズは本当に予想困難です。CBSSportsでは4人中2人がマーキュリーの勝利を予想し、2人がエーシズを支持するという完全に割れた結果となりました。多くの専門家が、シリーズは6戦または7戦までもつれ込むと予想しています。

個人的な見解としては、マーキュリーには番狂わせを起こす要素が十分にあると考えます。守備力、勢い、休養面でのアドバンテージ、そしてトーマスという全方位型のスーパースターの存在。これらの要素が噛み合えば、エーシズを破ることは十分に可能です。

しかし、最終的にはウィルソンという決定的な個人能力の差と、エーシズの経験値が勝敗を分けるのではないかと予想します。特に、7戦制という長期シリーズになればなるほど、チャンピオンシップを知っているチームが有利になります。

ただし、もしマーキュリーが第1戦か第2戦で勝利を収め、ラスベガスで1勝を挙げることができれば、シリーズの流れは大きく変わるでしょう。マーキュリーは今シーズン、ホームコートアドバンテージが最も強いチームの一つであり、フェニックスに戻った時には相当な脅威となります。

最終予想:エーシズが第6戦または第7戦で優勝。ただし、マーキュリーがシリーズを3-2でリードする展開も十分にあり得ます。いずれにせよ、この史上初の7戦制ファイナルは、WNBAの歴史に残る名勝負になることは間違いありません。

オッズメーカーがほぼ五分五分と評価しているこの対決は、どちらが勝っても驚きではありません。砂漠の決戦は、純粋にバスケットボールファンとして最高のエンターテインメントを提供してくれるでしょう。日本時間10月4日午前9時のキックオフを、ぜひお見逃しなく。


引用:yardbarker

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