フィラデルフィア・76ersにとって、2024-25シーズンは悪夢そのものでした。24勝58敗という惨憺たる成績でプレーオフを逃し、2016-17シーズン以来となる屈辱を味わいました。その中心にいたのが、4年総額2億1200万ドルという大型契約で鳴り物入りで加入したポール・ジョージです。しかし、彼のデビューシーズンは期待とはかけ離れたものとなりました。
左膝と内転筋の問題により、ジョージはわずか41試合の出場に終わりました。平均16.2得点、5.3リバウンド、4.3アシスト、フィールドゴール成功率43%、3ポイント成功率35.8%という数字は、彼のキャリアの中でも特に低い得点力を示すものです。ジョエル・エンビード、タイリース・マクシーという新たなコアとの融合も、怪我による離脱で十分に図ることができませんでした。
ジョージの新たな役割:メンターシップへの転換
35歳という年齢を考えれば、ジョージに全盛期のようなパフォーマンスを期待するのは現実的ではありません。ニック・ナース・ヘッドコーチとフロントオフィスは、ジョージに対してより戦略的な役割を想定しています。それは、若手ウィングのメンター、重要な場面での得点力、そして攻撃負担の軽減という、第二のスターというよりも経験豊富なベテランとしての貢献です。
この役割転換は、リーグ全体で見られるベテラン選手の活用法として理にかなっています。しかし、問題はその許容範囲が非常に狭いという点です。もしジョージが健康を維持し、プレーオフで重要な貢献を果たせば、76ersの賭けは先見の明があったと評価されるでしょう。しかし、再び怪我で離脱したり、重要な場面で存在感を示せなければ、批判は避けられません。
契約の重さと組織への影響
ジョージの問題は個人的な復活劇にとどまりません。76ersの roster 構成とサラリーキャップは、彼のパフォーマンスに大きく依存しています。エンビードがリハビリ中、マクシーがスターとしての責任を担い、クエンティン・グライムズがクオリファイング・オファーでチームに残留する中、ジョージの巨額契約は組織の財政を圧迫しています。
もしジョージがこの投資を正当化できなければ、トレードの可能性についての議論が再び浮上するかもしれません。これは2年間の「証明契約」ではなく、長期契約です。2025-26シーズンがブレイクスルーではなくフラストレーションに終われば、来夏の噂はささやきではなく、厳しい質問へと変わるでしょう。
76ersの期待値:低いが揮発性の高い状況
2024-25シーズンがあまりにも悲惨だったため、期待値は特に低く設定されています。プレーオフなし、勢いなし、ただドラフトピックを獲得しただけ。もしチームがこのベースラインを大きく上回れば、ジョージには少なくとももう1シーズンの猶予が与えられるかもしれません。
しかし、過去のデータを見れば、状況の厳しさが理解できます。ジョージのキャリアを通じて、彼は常に健康面での懸念と向き合ってきました。インディアナ時代の壊滅的な怪我、オクラホマシティでのプレーオフでの期待外れ、そしてロサンゼルス・クリッパーズでの不安定なパフォーマンス。35歳を迎えた今、身体の回復力は若い頃ほど強くありません。
独自の視点:ジョージの価値は数字以外にある
ここで重要なのは、ジョージの価値を純粋に統計だけで測るべきではないという点です。76ersにとって、彼の最大の貢献は、プレーオフ経験の豊富さとチームへの文化的影響かもしれません。マクシーはまだスターとしての経験を積んでいる段階であり、エンビードは健康面での不安を抱えています。そうした状況で、ベテランの落ち着きと指導力は数字には表れない価値を持ちます。
また、76ersのコーチングスタッフは、ジョージを戦術的により柔軟に活用する必要があります。ボールを持つ時間を減らし、オフボールでの動きやディフェンス面での貢献を強化することで、彼の身体への負担を軽減しながら効果を最大化できます。スポット的な得点力と経験豊富なディフェンスこそが、今のジョージに求められる役割です。
2025-26シーズンの見通し:最後のチャンス
ポール・ジョージにとって、この2025-26シーズンは単なる「良い時もある」では許されない、真価が問われる年です。彼はまだ重要な存在であることを証明するか、あるいは76ersに賭けを継続する価値があるのかを再考させるか、その分かれ目に立っています。
温度計は上昇しています。ファンの期待、フロントオフィスのプレッシャー、そして自身のレガシー。すべてが今シーズンにかかっています。ジョージが健康を維持し、重要な瞬間に存在感を示せれば、76ersは再びプレーオフ争いに戻れるでしょう。しかし、もう一度失敗すれば、フィラデルフィアでの彼のストーリーは、未完のまま終わる可能性が高くなります。
引用: yardbarker

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