インディアナ・フィーバーのソフィー・カニンガムが、自身のポッドキャスト「Show Me Something」で2025年WNBAファイナルについて語り、注目を集めています。ケイトリン・クラークの「守護者」として知られる彼女が、なぜファイナルを観戦しないのか。その理由には、今シーズンのWNBAが抱える深刻な問題が浮き彫りになっています。
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「WNBAの有害性から離れたい」発言の真意
ラスベガス・エーシズとフェニックス・マーキュリーによるファイナルが熱戦を繰り広げる中、カニンガムは共同ホストからどちらのチームを応援するのか尋ねられました。彼女の答えは意外なものでした。
「正直言うと、見るかどうかも分からない。もううんざりなの。WNBAの有害性から休憩が必要よ。複数の理由でドラマに満ちたシーズンだった」
この発言は、単にフィーバーがファイナルに進出できなかった悔しさから来るものではありません。カニンガム自身が今シーズン経験した、数々の困難な出来事を反映したものです。
フィーバーを襲った「怪我の連鎖」
インディアナ・フィーバーの2025年シーズンは、まさにM・ナイト・シャマラン監督のスリラー映画のような展開でした。シーズン序盤のデワナ・ボナー騒動から始まり、その後は怪我の連鎖がチームを襲いました。
8月7日まで、フィーバーの主力選手はケイトリン・クラークを中心に健康を保っていました。しかし、フェニックス・マーキュリーとの一試合が転機となります。この試合でシドニー・コルソンとアーリ・マクドナルドが負傷すると、まるで堰を切ったように怪我人が続出しました。
その後、カニンガム自身も負傷リストに加わり、クロエ・ビビー、そしてシーズン最終戦ではケルシー・ミッチェルまでもが離脱しました。プレーオフのセミファイナル第5戦では、ミッチェルが第3クォーターで膝の怪我により途中退場を余儀なくされ、チームは延長戦の末に敗れました。
審判問題と罰金の嵐
怪我の問題だけではありません。シーズンを通じて、審判のレベルの低さが繰り返し指摘されました。そして、選手たちが審判について発言すると、すぐに罰金が科されるという悪循環が続きました。
カニンガムほど罰金について詳しい選手はいないでしょう。彼女自身、今シーズン複数回にわたって罰金を科されており、この問題を身をもって体験しています。審判の判定に疑問を呈することすら許されない雰囲気が、選手たちのフラストレーションを高めていきました。
ナフィーサ・コリアーの爆弾発言
シーズンの締めくくりとして、ミネソタ・リンクスのナフィーサ・コリアーによる衝撃的な退団インタビューが、まさに「最後の一撃」となりました。コリアーは、ケイトリン・クラークの1600万ドル契約がキャシー・エンゲルバートコミッショナーなしには実現しなかったと明かし、リーグの構造的問題を浮き彫りにしました。
こうした一連の出来事が積み重なり、カニンガムは「しばらくリーグから離れたい」という結論に至ったのです。プロアスリートはシーズン終了時点で、すでに多大なストレスと精神的疲労を抱えています。そこに今シーズンのドラマが加わり、休息が必要になるのは当然のことでしょう。
カニンガムの去就、フィーバー復帰はあるのか
退団インタビューで、カニンガムはインディアナ・フィーバーへの愛を率直に語りました。フランチャイズに戻りたいという希望を示す一方で、現実的な判断の必要性も認めています。
「他のチームや他のオファーを検討するつもりよ。でも、私の希望としては、ここで素晴らしい時間を過ごしてきたし、それを続けたいと思っている。ただ、新しいCBA(労使協定)では、多くのものが懸かっているから」
この発言は極めて外交的ですが、カニンガムの本音が垣間見えます。彼女はフィーバーでプレーすることを望んでいますが、CBA交渉の結果次第では、より良い条件を提示するチームを選ぶ可能性も残しています。
フィーバーが直面する課題
カニンガムがチームに与えた影響、そしてケイトリン・クラークとの強い絆を考えれば、フィーバーは彼女を引き留めるためにあらゆる手を尽くすでしょう。しかし、フィーバーが抱える課題はカニンガムだけではありません。
チームはケルシー・ミッチェルとレクシー・ハルの再契約も必要としています。ほぼリーグ全体がフリーエージェントになる中、フィーバーにとってはより良い選択肢が現れる可能性もあります。
CBA交渉が長引いている現状では、すべての関係者にとって将来は不透明です。ただし、フィーバーとカニンガムの双方に、来シーズンも一緒にプレーしたいという意思があることは明らかです。
契約条件次第で決まる未来
最終的には、金銭面での条件が合致するかどうかが鍵となります。カニンガムのフィーバーへの愛情、クラークとのケミストリー、そしてチームが彼女に依存している現実を考えれば、来シーズンもインディアナでプレーする可能性は高いでしょう。
ただし、今シーズンのような「有害性」が続くようであれば、彼女だけでなく多くの選手が環境の改善を求めて行動を起こすかもしれません。WNBAがさらなる成長を遂げるためには、審判の質の向上、選手の安全確保、そしてリーグ運営の透明性向上が不可欠です。
カニンガムの「ファイナルを見ない」という発言は、単なる個人的な選択ではなく、WNBAが抱える構造的問題への警鐘なのかもしれません。
引用:yardbarker.

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