「もちろんだ。勝利こそが全てだから」
シェイ・ギルジャス=アレクサンダーの言葉に迷いはありませんでした。NBAカップ準決勝を前にした記者会見で、2015-16シーズンにゴールデンステイト・ウォリアーズが樹立したシーズン73勝という歴史的記録を意識しているかと問われた時の回答です。
現在24勝1敗。オクラホマシティ・サンダーは、あのウォリアーズと並ぶリーグ史上最高の25試合スタートを達成しています。16連勝中という勢いも含め、この若きチームが本気で歴史を塗り替えようとしていることは明らかです。
「成長しなければ、機会を無駄にしたことになる」
ギルジャス=アレクサンダーの発言で印象的だったのは、73勝という数字そのものへの執着ではなく、日々の成長への飽くなき追求でした。
ESPNの取材に対し、彼はこう語っています。「僕たちは毎晩、より良いバージョンの自分たちになろうとしている。もし今夜成長できなかったなら、機会を無駄にしたということだ。それが僕たちの考え方なんだ」
この言葉には、単なる勝利への欲求以上のものがあります。26歳のオールスターガードは、チームとしての哲学を明確に持っているのです。勝つことは結果であり、成長こそがプロセス。その姿勢が24勝1敗という驚異的な数字を生み出しています。
チームメイトのジェイレン・ウィリアムズも同様の考えを示しました。「何かに取り組むなら、全力でやって勝ちに行く。それが僕たちの本質であり、バスケットボールのプレースタイルなんだ」
73勝を経験した男からの警告
興味深いのは、ハリソン・バーンズのコメントです。彼は2015-16シーズン、まさにあの73勝ウォリアーズの一員としてプレーした経験を持つベテランフォワード。現在はサンダーに所属しており、両方の視点からこの挑戦を見ることができます。
バーンズはESPNにこう語りました。「疲れるよ。本当に疲れる。シーズン中ずっといろんな話題に対応しなければならないし、何もかもが違ってくる。大変だった」
この言葉は、73勝を追いかけることの代償を端的に表しています。あのウォリアーズはレギュラーシーズンで歴史を作りましたが、ファイナルでは3勝1敗のリードからレブロン・ジェームズ率いるキャバリアーズに逆転を許し、優勝を逃しました。シーズン最多勝という栄光は、最終的な勝者の称号とイコールではなかったのです。
サンダーが昨季残した「唯一の傷」
今週末、サンダーはNBAカップ準決勝でサンアントニオ・スパーズと対戦します。この試合はレギュラーシーズンの成績にもカウントされるため、73勝への道においても重要な一戦となります。
そしてNBAカップは、昨シーズンのサンダーにとって「数少ない傷」の一つでもありました。ウェスタンカンファレンス1位でシーズンを終えながら、プレーオフではダラス・マーベリックスに敗退。NBAカップでも結果を残せませんでした。
今季のサンダーがNBAカップに並々ならぬ意欲を見せているのは、その経験があるからでしょう。73勝という歴史的記録への挑戦と、昨季の雪辱。ギルジャス=アレクサンダー率いるこのチームは、両方を同時に追いかけています。
歴史は繰り返すのか、それとも——
2015-16ウォリアーズの73勝は、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンという成熟したコアによって達成されました。一方、現在のサンダーは26歳のギルジャス=アレクサンダーを筆頭に、チェット・ホルムグレン(22歳)、ジェイレン・ウィリアムズ(24歳)といった若い才能で構成されています。
若さは勢いを生みますが、82試合という長いシーズンを戦い抜くための経験値という点では未知数です。バーンズが警告した「疲労」は、肉体的なものだけでなく精神的なものも含まれます。毎試合が歴史への挑戦として注目される中、その重圧に耐え続けられるか。
残り57試合。サンダーが73勝を達成するには、あと49勝が必要です。つまり49勝8敗以上のペースを維持しなければなりません。数字だけを見れば不可能ではありませんが、NBA史上最も困難な挑戦であることは間違いないでしょう。
ギルジャス=アレクサンダーは「勝利が全て」と言い切りました。その言葉通り、サンダーは一つ一つの勝利を積み重ねながら、歴史の扉を叩こうとしています。
引用:yardbarker

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