2025年2月、ソフィー・カニングハム選手は大型トレードによりインディアナ・フィーバーへ移籍しました。
このトレードは4チーム間で行われ、フィーバーは有望株のナリッサ・スミス選手らを放出してまでカニングハム選手を獲得する積極的な動きを見せています。
インディアナのゼネラルマネージャーであるアンバー・コックス氏は「ソフィーは以前から注目していた選手で、チームのスタイルに完璧にフィットする。非常に競争心が旺盛で攻守両面でハードワークし、リーグ屈指のシューターの一人だ」と評価しており、新天地での活躍に大きな期待を寄せています。
新チームでの役割と展望
カニングハム選手はフェニックス・マーキュリーでの6シーズンを経てフィーバーに加わりましたが、本人も新天地でのプレーは新鮮な空気を吸うようだと語り、チームの文化を絶賛しています。
若いタレントが揃うフィーバーでは、持ち味であるシューティング力や走力を活かし、ベテランとしてチームを支えることが期待されています。事実、フィーバーは彼女や同時期に加入したナターシャ・ハワード選手ら経験豊富な戦力を迎え入れ、2023年ドラフト全体1位のアリーヤ・ボストン選手や新人ガードのケイトリン・クラーク選手とともに優勝を狙える陣容を整えつつあります。
カニングハム選手自身、特別な何かがここにはあると手応えを感じており、新チームで化学反応を起こすべく意気込んでいます。
大学時代からWNBAまでのキャリア
ミズーリ大学での輝かしい実績
ソフィー・カニングハム選手は地元ミズーリ州の名門、ミズーリ大学で4年間プレーし、数々の記録を打ち立てました。通算2,187得点を挙げてミズーリ大女子バスケットボール史上最多得点記録を樹立し、フリースロー成功数でも歴代1位の537本を記録しています。
3ポイントシュート成功数(238本)や3ポイント成功率(40.3%)、フリースロー成功率(83.9%)でも歴代2位に入るなど、チーム史上屈指のシューターとして活躍しました。
また在学中は毎年主力として成長を遂げ、3年次から最終年まで3シーズン連続でオールSEC(南東カンファレンス)ファーストチームに選出される快挙を達成しています。
これはミズーリ大女子バスケ史上初の偉業であり、全米規模でもAP通信や全米バスケットボール記者協会からオールアメリカン(サードチーム)に選出されるなど、高い評価を受けました。
大学最終学年には平均17.8得点・5.9リバウンド・2.8アシストを記録し、卒業後のWNBAドラフトに向けて有力候補として注目を集めました。
WNBAでのキャリア序盤(2019-2021年)
2019年のWNBAドラフトにて全体13位でフェニックス・マーキュリーに指名され、プロキャリアをスタートさせます。新人時代は主にベンチからの出場でしたが、持ち前のシュート力と闘志あふれるプレーで徐々に存在感を発揮しました。
マーキュリーではレジェンドのダイアナ・タウラシ選手やブリトニー・グライナー選手らとチームメイトとなり、多くを学びつつ着実に成長していきます。3年目の2021年にはチームのWNBAファイナル進出も経験し、優勝こそ逃したものの大舞台でのプレーを通じて貴重な経験を積みました。
この頃までのキャリア平均は7.7得点、3ポイント成功率36.2%と、シューティングガード兼スモールフォワード(身長185cm)として堅実な成績を残しています。
飛躍のシーズンとエース級の活躍(2022-2023年)
4年目の2022年シーズン、カニングハム選手は飛躍的な成長を遂げます。シーズン序盤こそロールプレイヤーの立場でしたが、チーム事情の変化に伴い6月下旬から先発に定着すると、以降は平均15.6得点・4.8リバウンドをマークするなど成績が大きく向上し、マーキュリーをプレーオフ進出に導きました。
最終的にこの年は自己最高の平均12.6得点、4.4リバウンド、1.6アシストを記録し、リーグの「最も成長した選手賞(MIP)」候補にも名前が挙がるほどのブレイクを果たしました。特に3ポイントシュートの威力は増し、先発定着後は1試合あたり平均3.1本の3ポイントを沈めています。
また、この年の7月12日に行われたミネソタ・リンクスとの試合では、キャリア最高となる36得点(うち3ポイント6本、5スティール)を叩き出す圧巻の活躍を見せました。
この試合でカニングハム選手は、WNBA史上2人目となる「30得点・5リバウンド・5スティール・5本以上の3ポイント成功」という離れ業を達成し、クラッチシューターとしての真価を発揮しています。
さらに2022年シーズンには、17試合連続で1試合2本以上の3ポイントシュート成功というWNBA新記録も樹立しました。
こうした活躍によりマーキュリーにとって欠かせない存在へと成長したカニングハム選手は、チームから毎年着実に成長を遂げ、昨季は飛躍した。プレーに喜びと闘志を体現し、チームとファンに愛される存在だと評価され、契約延長を打診されるほど信頼を勝ち取りました。
近年の活躍とプレースタイル
2023年シーズンもマーキュリーで先発として奮闘し、平均11.3得点を記録しました。チーム事情により得点は前年度より僅かに減少したものの、3ポイントシュートは高精度を維持し続けました(例えば2024年シーズンには3ポイント成功率37.8%でリーグ4位をマーク)。
カニングハム選手は「シャープシューター」(精密なシューター)の異名を取る通り、3ポイントレンジからのシュートを最大の武器としています。
その一方で、鍛え抜かれたフィジカルと強気なメンタルを活かしたハードなディフェンスやルーズボールへの全力プレーも持ち味で、コート上で決して気迫を絶やさない姿勢がファンを魅了しています。
実際その闘志あふれるプレーぶりから
「Spicy Sophie(スパイシー・ソフィー)」
の愛称で親しまれ、所属していたマーキュリーの本拠地では彼女の名を冠したオリジナルカクテルまで販売されるほどの人気選手でした。
マーキュリーでの通算成績は6年間で182試合出場、平均7.7得点・2.7リバウンド・1.4アシスト、フィールドゴール成功率42.2%、3ポイント成功率36.2%を記録し、3ポイント成功数245本は球団歴代4位、通算得点1,368点は歴代9位にランクインするなどチーム史に名を残す活躍をしています。
新天地で迎えるさらなる飛躍
2025年シーズンから加入したインディアナ・フィーバーでも、カニングハム選手は即戦力として期待されています。フィーバーは若手中心のチームですが、カニングハム選手の加入によってシューターとしての得点力と経験値が大きく向上しました。
本人もインディアナでプレーできる喜びを語りつつ、皆が正しい目的で集まり、アジェンダを脇に置いてチームのために最善を尽くしていると新チームの結束力を評価しています。
長年偉大な得点王タラシ選手と共にプレーした経験を持つカニングハム選手は、新チームで若きスターガードのクラーク選手とコンビを組むことについて
「常にボールをもらう準備をしていなきゃいけない点でタラシと似ている。クラークはタラシの若くエナジッシュなバージョンね」
と冗談まじりに語り、後輩への信頼を見せています。
28歳となり選手として成熟期を迎えつつあるカニングハム選手は、そのシュート力とリーダーシップでインディアナの躍進を支え、さらなる飛躍を目指しています。

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