ケビン・デュラントがヒューストン・ロケッツに電撃移籍!ジェイレン・グリーン、ディロン・ブルックス、そして10位指名権だけでKDを獲得したロケッツの大勝負に、NBA界が騒然としています。この衝撃的なトレードで得をしたのは誰?損をしたのは誰?詳しく分析していきましょう。
大勝利:ヒューストン・ロケッツ
なぜ大勝利なのか
37歳のデュラントとはいえ、昨シーズンは53.1%のFG成功率、42.9%の3P成功率で平均26.6得点を記録。それをプレミアム級の資産を一切手放すことなく獲得できたのは驚異的です。
ロケッツにとって、今回手放した選手たちは実は「余剰戦力」でした。エイメン・トンプソンの台頭でグリーンのポジションは微妙になっていましたし、ブルックスは優秀なディフェンダーでしたが、すでにリーグ5位の守備力を誇るチームには代替可能でした。10位指名権も、昨年3位でリード・シェパードを指名したものの出場機会を与えられなかった状況を考えると、どのみち動かす予定だったでしょう。
完璧すぎるフィット
ロケッツの昨シーズンの成績を見ると、リバウンド1位、守備5位、速攻得点7位と素晴らしい数字を残していました。しかし、3P成功率21位、ハーフコート攻撃22位という弱点がありました。つまり、ゲームが膠着した時の得点力不足が最大の課題だったのです。
デュラントはまさにその穴を埋めるピース。ボールを渡せば確実に得点してくれる選手がいることで、チーム全体のバランスが一気に改善されます。
完全敗北:フェニックス・サンズ
何が問題だったのか
サンズの獲得した戦力を冷静に見てみましょう。デビン・ブッカーとブラドリー・ビールで来季1億700万ドルを支払うチームが、さらに3300万ドルのシューティングガードを獲得してどうするのでしょうか?
グリーンは運動能力こそありますが、昨季はキャリア最低の19.1%しかリム近くでシュートを打てず、ペイント内得点ではケルドン・ジョンソンやマリーク・モンクよりも下位。アシストも4本に届いたことがなく、ポイントガードへのコンバートも現実的ではありません。
長期的な大問題
さらに深刻なのは、サンズが2023年以降にトレードした6本のファーストラウンド指名権を一本も取り戻せなかったことです。これにより近い将来のタンクは不可能で、かといって優勝も難しい中途半端な状況に陥りました。
デュラント獲得時に手放した資産を計算すると、自分たちの1巡目指名権4本とスワップ1回、さらにミカル・ブリッジス(後にニックスとのトレードで1巡目5本とスワップ1回の価値を生んだ)、キャム・ジョンソン(1-2本の1巡目指名権相当)で、合計10本の1巡目指名権相当の価値を投資しました。
結果は?プレーオフ1シリーズ勝利と、今回の「投資額の20%程度のリターン」。これは組織運営の大失敗と言わざるを得ません。
意外な勝者:エイメン・トンプソン
グリーンの放出で、ついにトンプソンの時代が来ました。歴史的にデュラントと運動能力に長けた選手の組み合わせといえば、ラッセル・ウェストブルックの例があります。トンプソンがウェストブルック時代のような無謀なシュートや致命的なターンオーバーを避けることができれば、来季大ブレイクする可能性があります。
また、リード・シェパードとキャム・ウィットモアにとっても朗報です。グリーンとブルックスの退団、そして新人ドラフト指名権の放出により、ペリメーターでの出場機会が増えることになります。
敗者:ミネソタ・ティンバーウルブズとマイアミ・ヒート
ウルブズの苦境
ウェスタン・カンファレンス決勝でサンダーに敗れたウルブズは、自前のドラフト資産を持たないため、フェニックスのようなチームがスターをトレードで放出してくれることに期待していました。しかし、そのような機会は他に見当たらず、同じメンバーでもう一度挑戦するしかない状況です。
セカンド・エプロンを避けるためには、ジュリアス・ランドル、ナズ・リード、ニケイル・アレクサンダー・ウォーカーのうち誰かを手放す必要があり、チーム力の低下は避けられません。
ヒートの限界
37勝に終わったヒートは、ケレル・ウェアを除けば目立った若手タレントもなく、シャーロット・ホーネッツにファーストラウンド指名権を借金している状況。公正な価格でスターを獲得するだけの資産が不足しており、デュラントを格安で獲得することが唯一の希望でした。
その他の注目ポイント
イースタン・カンファレンスの安堵
デュラントがウェストに残ってくれたことで、東のチームは胸をなで下ろしています。オーランド・マジックのデズモンド・ベイン獲得など、今オフシーズンは珍しく東に有力選手が流れる傾向にありましたが、デュラントだけは阻止できました。
センター市場の活性化
サンズはセンター不足が深刻で、10位指名権を使ってでも即戦力センターを獲得したい状況です。ユタ・ジャズのウォーカー・ケスラー、ネッツのニック・クラクストン、マーベリックスのダニエル・ガフォードを抱えるチームにとっては絶好の商機となりそうです。
まとめ
今回のトレードは、ロケッツの完璧な戦略勝ちと、サンズの致命的な戦略ミスを象徴する出来事でした。デュラントという超一流選手を最小限のコストで獲得したロケッツは、一気に優勝候補の仲間入りを果たしました。
一方のサンズは、過去数年の無計画な動きのツケを一気に支払わされる形となり、今後数年間は暗いトンネルの中を歩むことになりそうです。

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