2025年のNBAオフシーズンで最も衝撃的な動きが起こりました。ミルウォーキー・バックスがデイミアン・リラードをウェイブ・アンド・ストレッチし、その資金でマイルズ・ターナーと契約したのです。10年間インディアナ・ペイサーズの顔だった選手が宿敵チームに移籍するという、まさかの展開に NBA界は騒然となっています。
最大の勝者:デイミアン・リラード
皮肉にも、この移籍劇で最も得をしたのはウェイブされたリラード本人かもしれません。過去2年間、リラードにとって状況は最悪でした。本来希望していたマイアミではなくミルウォーキーに送られ、期待していたチャンピオンシップ争いからは程遠い状況。血栓の問題から復帰した矢先にアキレス腱を負傷し、プレイオフ1回戦で離脱という悲劇に見舞われました。
しかし、今回のウェイブにより、リラードは完全に自由の身となりました。契約金はバックスが支払い続けるため、彼は最低給与でも理想的なチームを選ぶことができます。「お金のことを考える必要がない。バックスが払ってくれるのだから」という状況で、35歳、36歳のシーズンを無駄にする代わりに、念願の初優勝を狙える完璧な環境を手に入れるチャンスを得たのです。
最大の敗者:インディアナ・ペイサーズ
ペイサーズの判断は、ファンにとって屈辱的としか言えません。20年ぶりに贅沢税を支払ってでもイースタン・カンファレンス王者のコアを維持する準備ができていたはずでした。しかし、ファイナル第7戦でタイリース・ハリバートンがアキレス腱を負傷し、状況は一変しました。
ペイサーズがターナーに提示したオファーは「率直に言って哀れなもの」でした。ジェイク・フィッシャーによると、3年総額6000万ドルを真に超えることはなかったといいます。これは2年前にシカゴが32歳のニコラ・ブチェビッチに支払った額と同程度です。ターナーはより優秀な選手であるにも関わらず、です。
最も痛烈なのは、10年間ターナーを手放すまいとトレード要求を跳ね返し続けてきたペイサーズが、最終的に何の見返りもなく宿敵バックスに彼を失ったことです。「ペイサーズはバックスを憎んでいる」と記事にもあるように、過去2年のプレイオフで激突し、シーズン中も数々の激戦を繰り広げた相手に、チームの柱を無償で渡してしまったのです。
バックスの短期的勝利と長期的リスク
短期的には大勝利 ヤニス・アンテトクンポの周りにチームを構築するには最適なスペーシングが必要で、ターナーのような3ポイントシュートとリムプロテクションを両立できるセンターは不可欠です。37歳になったブルック・ロペスの後継者として、これ以上ない人材を獲得しました。
ヤニス自身がターナーのリクルートに積極的に関与したとされ、これによりトレード要求の噂も一時的に収まるでしょう。弱体化した今年のイースタン・カンファレンスで競争力のあるバスケットボールをする意味のあるチャンスを手に入れたのです。
長期的には大きなリスク しかし、この動きには巨大なリスクが伴います。バックスは5年間、年間2260万ドルのデッドマネーを抱えることになります。もしこの賭けが失敗すれば、このデッドマネーが将来の方向転換を著しく困難にするでしょう。
ヤニスは来オフシーズンまで延長契約ができないため、今回の結果を見てから決断を下すことになります。うまくいかなければ、再びトレード要求の噂が浮上するでしょう。バックスはさらなる改善を迫られ、貴重なドラフト指名権を使わざるを得なくなる可能性が高いのです。
その他の勝者と敗者
勝者:ディアンドレ・エイトン ペイサーズが突如センターを必要とする状況になり、エイトンの市場価値が急上昇しました。レイカーズよりも高額なオファーを提示できる立場にあるペイサーズの参入により、エイトンはより良い条件を引き出せるでしょう。
敗者:センターを必要とする他のチーム フリーエージェンシーは椅子取りゲームの側面があります。ルーク・コーネット、ブルック・ロペス、ケボン・ルーニーなど、今年のセンター市場は選手有利でした。選択肢が減る中、ペイサーズも加わったことで、レイカーズ、セルティックス、ウォリアーズなどセンターを求めるチームの競争がさらに激化しています。
この移籍劇は、単なる選手の移籍を超えて、イースタン・カンファレンスの勢力図を大きく変える可能性を秘めています。ペイサーズファンにとっては屈辱的な展開ですが、バックスにとっては短期的な希望の光となりました。果たしてこの大胆な賭けがどのような結果をもたらすのか、来シーズンの行方に注目が集まります。
引用:CBSSPORTS

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