マイアミ・ヒートの地元紙サン・センチネルの記者アイラ・ウィンダーマンが、チームの顔とも言えるバム・アデバヨのトレードを検討すべきだと衝撃的な提言を行いました。これは個人パフォーマンスへの批判ではなく、チームの若返り路線とアデバヨのタイムラインが合わないという戦略的観点からの大胆な提案です。ジミー・バトラー移籍後のヒートが直面する現実的な問題を浮き彫りにしています。
問題はアデバヨではなくチーム状況
ウィンダーマンは記事の冒頭で明確に述べています。「これはアデバヨの契約や得点力を懸念する批判者の話ではない。彼は正当な評価を受けており、優れた守備に加えて十分な攻撃力も提供している」
問題は個人の能力ではなく、チーム状況にあります。「現時点では、アデバヨというより彼のチームの問題だ。今のチームは、彼に値しない」という痛烈な現状分析です。
アデバヨがヒートの37年の歴史で最もユニークな貢献者の一人となり、2度のマックス契約延長を勝ち取ったのは、サポート役としてプレイする能力によるものでした。他選手の守備的弱点をカバーし、攻撃では献身的な司令塔として機能する—これが彼の真価です。
過去の成功例:
- ゴラン・ドラギッチとジミー・バトラーと共に:2020年NBAファイナル進出
- カイル・ラウリーとバトラーと共に:2023年NBAファイナル進出
しかし、サポートするに足る戦力がない時、アデバヨのスキルの多くが活かされません。
世代交代とアデバヨのタイムラインがずれている
バトラーの強制退団からヒートがなかなか立ち直れない中、最近は「ネクスト・ジェン・ヒート」(次世代ヒート)と呼ばれる若手中心の新体制が話題になっています。約1週間後に28歳になるアデバヨは、まだ年齢的には全盛期です。最新の延長契約もこれから始まります。
ところが、ヒートの育成プログラムの中核選手たちは、アデバヨの「今すぐ勝ちたい」タイムラインに追いついていません:
- タイラー・ヒーロー:25歳
- ジェイミー・ハケス・ジュニア:24歳
- ニコラ・ヨビッチ:22歳
- ケレル・ウェア:21歳
- カスパラス・ヤクチオニス:19歳
エリック・スポエルストラ・ヘッドコーチはシーズン総括で、プレイオフで戦力になるまでにまだ数年必要な選手たちについて語りました。ヒーロー以外は、まだまだ成長が必要な段階です。
経済的現実との食い違い
アデバヨは来シーズン3700万ドル、翌シーズンには5100万ドルを稼ぎます。しかし若手選手の多くが戦力として計算できるのは、まだ先の話です。
ウィンダーマンは、ゴールデンステート・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンとの比較を行っています。グリーンも得点以外は完璧で、間もなく年俸5000万ドルクラブ入りする選手ですが、決定的な違いがあります。
「ゴールデンステートがグリーン在籍中に競争力を失ったのは、他選手の怪我が原因だけだった。若手の成長を待つための後退ではない—ヒートが向かっている方向とは違う」
ウォリアーズは健康なステフィン・カリーがいる限り常に勝負に出ており、グリーンは自分の持ち味を活かせるチームの恩恵を受けています。
アデバヨが置かれたジレンマ
「しかし、ヒートにはカリーがいない。サポートすべきオールNBAレベルの才能もいないし、アデバヨが支えるべきプレイオフ・ジミーへの期待ももはやない」
優勝を狙えるチームでは、アデバヨの価値は計り知れないことが証明されています。実際、昨年パリでのオリンピックでアメリカ代表が金メダルを獲得した時、アデバヨは最も頼りにされる選手でした。多くのメダリストが再び一緒にプレイしたいと口にするほど、彼は様々な選手とうまく噛み合いました。
ところが現時点では、2025-26年のマイアミ・ヒートは優勝争いから最も遠い存在に見えます。急に若返ったロスターで、いつターンアラウンドできるかも分からない状況です。
厳しい現実と将来への提言
ウィンダーマンは最後に厳しい現実を突きつけます:
「優勝を狙えるチームでのバム・アデバヨは見ていて圧巻だ。しかし我慢の年、さらには—あえて言うなら—再建中のバム・アデバヨは、せっかくのユニークな才能の無駄遣いになってしまう」
「アデバヨを手放すことは間違いなく現状への大きな衝撃となるだろう。しかし、それは今の苦しい状況を打破することにもつながる」
この提言は、ヒートファンには受け入れ難いかもしれませんが、チームの長期戦略を考える上で避けて通れない現実的な問題を提起しています。アデバヨほどの才能が、その能力を最大限発揮できない環境にいることの是非。それがヒートが直面している最も難しい判断の一つなのです。
引用:SUNSENTINEL

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