フェニックス・サンズが今オフシーズン最も劇的なバックコート改革に踏み切ろうとしています。アリゾナ・スポーツのジョン・ガンバドーロが報じた情報によると、なんとジェイレン・グリーンをスターティングポイントガードに起用し、デビン・ブッカーを本来のシューティングガードに戻すという大胆な計画が進行中なのです。
理論上は素晴らしいアイデアに聞こえます。ブッカーは司令塔よりもスコアラーとしての才能が際立っていますから。しかし、NBAで一度も本格的なフロアジェネラルを務めたことのないグリーンにとって、これは想像を絶する重責となるでしょう。
クリス・ポール時代の再現を狙う危険な賭け
ブッカーが最も輝いていたのは、間違いなくクリス・ポールと組んでいた時期でした。数字がそれを雄弁に物語っています。
2020-21シーズン(ポールとの初年度):平均25.6得点、FG成功率約49% 2021-22シーズン:平均26.8得点に上昇 2022-23シーズン:ポールがまだ在籍していた最後の年には平均27.8得点まで到達
エリート級の効率性を誇り、サンズのオフェンスは流れるような美しさを見せていました。ポールがテーブルセッターの役割を完璧にこなし、ブッカーは純粋に相手ディフェンスを破壊することに集中できたからです。
サンズはこの黄金の設計図を再現しようとしています。ただし今回は、将来の殿堂入り確実なポールの代わりに、23歳のグリーンでーー。
グリーンの実力と課題:3.4アシストが物語る現実
グリーンの才能は疑いようがありません。昨シーズン、ヒューストン・ロケッツで82試合全てに出場し、平均21得点を記録。トランジションでの爆発力、ディフェンダーを振り切るアスレチシズム、一度火がつけば手がつけられないスコアリング能力。全てが一級品です。
しかし、安定した判断力という点では大きな疑問符が付きます。キャリア平均わずか3.4アシストという数字は、「プライマリーボールハンドラー」としては心もとない限りです。ヒューストンでの高い使用率にもかかわらず、ピック&ロールでのパサーとしても、オフボールでのコネクターとしても、エリートレベルの感覚を示したことはありません。
実際、Synergyのデータによれば、グリーンは昨シーズンのピック&ロールでのスコアラーとして68パーセンタイルにランクされています。悪くはありませんが、エリートとは言えません。彼のショットクリエイションは確かにダイナミックですが、プレイメイキングの判断力はまだ遅れを取っています。
「期待」という名のプレッシャー
グリーンが直面する最大の課題は、技術的な問題だけではありません。
彼は今、プレイオフの深いラウンドを何度も経験しているスーパースターの隣でプレイすることになります。ブッカー、グレイソン・アレン、マーク・ウィリアムズ、ディロン・ブルックス、ライアン・ダンという顔ぶれは、ベテランの安定感と成長する若手のミックス。確かに恵まれた環境です。
得点の重責はブッカーが背負うとしても、グリーンには以下が求められます:
- ペースをプッシュする
- 賢明な判断を下す
- ターンオーバーを最小限に抑える
- 真のファシリテーターとして成長する
- 効率的なスコアラーであり続ける
これは2ガードから1番への単なるポジション変更ではありません。オフェンスを組み立て、ブッカーやアレンにセットアップし、ボールを動かし続ける。まさに「巨大すぎる責任」の飛躍です。
サンズの怪我の歴史が物語る更なるリスク
サンズには怪我に悩まされた歴史があります。もしチームが当初の計画以上にグリーンに頼らざるを得なくなった場合、彼の重要性はさらに増大する可能性があります。
西地区での優勝争いを目指すサンズにとって、毎晩ポイントガードのポジションに疑問符がつくような状況は許されません。ブッカーのような選手を、ボールムーブメントの悪い停滞したオフェンスで無駄にするわけにはいかないのです。
ブッカー解放計画の成否がシーズンを左右
結局のところ、この動きの全ては「ブッカーの解放」に尽きます。
キャッチからの攻撃、ミドルレンジからのプルアップ、スイッチを焼き尽くすーーこれこそがブッカー本来のゲームです。そして、それこそがサンズの最高の形でもあります。
グリーンがこの理想を一貫して実現できるかどうか。それは間違いなく、フェニックスにおける今シーズン最大のストーリーラインの一つとなるでしょう。
23歳という若さは確かに成長の余地を示しています。しかし、NBAの厳しい現実は待ってはくれません。サンズの大胆な賭けが吉と出るか凶と出るか。その答えは、グリーンがコート上で示すパフォーマンスだけが教えてくれるのです。
引用:YARDBARKER

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