ケルシー・プラム

プラムの「悪い冗談」が巻き起こした波紋:オールスター戦でのクラーク発言が労使交渉の団結を揺るがす

2025年WNBAオールスター戦後の記者会見で起きた一つの発言が、選手たちの団結を揺るがす事態に発展しました。ロサンゼルス・スパークスのケルシー・プラムが放った「冗談」は、リーグ全体が労使交渉で一致団結すべき重要な瞬間に、不必要な議論を巻き起こすこととなりました。

問題発言が生まれた重要な瞬間

7月19日、インディアナポリスのゲインブリッジ・フィールドハウスで行われたオールスター戦は、単なる試合以上の意味を持っていました。全選手が「Pay Us What You Owe Us(私たちに正当な報酬を)」と書かれた黒いTシャツを着用してコートに登場し、現在進行中の労使協定(CBA)交渉に対する強いメッセージを発信したのです。

この統一行動は、前日に行われた労使交渉で、2026年シーズンから適用される新CBAについて双方の意見が大きく隔たっていたことを受けてのものでした。選手たちが団結を示すべき重要な瞬間でした。

しかし、試合後の記者会見でプラムが放った一言が、すべてを台無しにしかけました。

プラムの発言とその波紋

4度のオールスター選出歴を持ち、選手組合の第一副会長でもあるプラムは、Tシャツの準備について質問された際、こう答えました。

「Tシャツによる統一戦線は今朝の会議で決まりました。告げ口するわけではありませんが、チーム・クラークのメンバーは誰一人としてその場にいませんでした」

この発言は、ケイトリン・クラークがキャプテンを務めたチームがTシャツ作成に関与していなかったことを示唆するもので、選手たちの団結に亀裂があるかのような印象を与えました。

ソーシャルメディアは即座に反応し、批判の声が殺到しました。労使交渉という重要な局面で選手たちが一致団結すべき時に、なぜ内部の不和を示唆するような発言をしたのか、という疑問が投げかけられました。

「悪い冗談」の真相

8月15日、スー・バードのポッドキャスト「Bird’s Eye View」に出演したプラムは、ついに沈黙を破りました。

「本当に悪い冗談でした。後から考えれば、あのTシャツとファンの存在を考慮すれば、通常のオールスター戦よりもはるかに真剣な瞬間だったことを理解すべきでした」とプラムは語りました。

彼女の説明によると、記者会見には「ハッピーゴーラッキー」な気分で臨んでいたといいます。チームが勝利し、家族も観戦に来ており、素晴らしい週末を過ごしていたため、重い雰囲気を和らげようとして冗談を言ったのだと。

「チーム・クラークの選手たちが二日酔いだったという冗談のつもりでした。私たちのチームのニックネームも『ハングオーバー(二日酔い)』だったのに、少なくとも私たちは会議に出席したという意味で」とプラムは説明しました。

クラークとの友情関係

興味深いことに、この騒動の中心にいたケイトリン・クラーク本人は、プラムの発言を個人的に受け取っていなかったようです。実際、二人はコート外では良好な関係を保っており、ソーシャルメディアでの軽妙なやり取りも見られました。

オールスター週間中、プラムがアンダーアーマーのアスリートであるにもかかわらず、インスタグラムの投稿でナイキのロゴの横に立っている写真を投稿した際、クラークは「ナイキの広告をありがとう」とコメントし、友好的な雰囲気を示しました。

労使交渉への影響と教訓

プラムの発言が巻き起こした論争は、WNBAが直面している緊張状態を浮き彫りにしました。選手組合と リーグは、新しいメディア権契約と2億5000万ドルに達する拡張料金という好調な財務状況を背景に、重要な交渉を行っています。

フォックススポーツのコリン・カウハードは、プラムの発言を厳しく批判しました。「なぜゴールデングース(金の卵を産むガチョウ)であるケイトリン・クラークを攻撃するのか?彼女が来る前は水代を払わなければならない格安航空を使っていたのに、今はプライベートジェットで移動している」と指摘しました。

インディアナ・フィーバーのソフィー・カニンガムも、ポッドキャストでクラークを擁護し、プラムの発言への過剰な反応を批判しつつ、クラークがWNBAの顔であることを再確認しました。

団結の重要性を再認識

プラムの「悪い冗談」は、タイミングの悪さと状況判断の誤りが招いた失敗でした。選手組合の幹部という立場にありながら、団結を示すべき瞬間に不適切な発言をしたことは、大きな教訓となりました。

しかし、プラム自身が過ちを認め、説明したことは評価に値します。「最初は自己弁護しなかった。それが火に油を注ぐだけだと感じたから」という彼女の判断は、ある意味で賢明だったかもしれません。

この一件は、WNBAが成長と変革の時期にあることを示しています。選手たちの権利向上を目指す労使交渉において、団結は不可欠です。プラムの失言は、その団結の重要性を改めて認識させる結果となりました。今後、選手たちは労働組合としての一体感を保ちながら、リーグの発展と選手の待遇改善を両立させていく必要があるでしょう。

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