2025年のWNBAシーズンは、リーグの歴史に新たな1ページを刻みました。9月18日に発表された2025 Kia WNBA最優秀守備選手賞で、ミネソタ・リンクスのアラナ・スミスとラスベガス・エーシズのエイジャ・ウィルソンが同票を獲得し、史上初となる共同受賞という快挙を成し遂げたのです。これまで単独受賞が当然だったこの賞が、2人の卓越した守備力を前に、審査員も優劣をつけることができなかったという、まさに異例の結果となりました。
プレーオフ上位チームを支える圧倒的な守備スタッツ
今シーズンの守備統計を見ると、両選手の支配力が数字として明確に表れています。スミスはキャリア7年目にして、42試合全てに先発出場し、平均26.6分間という長時間コートに立ち続けました。彼女のスタッツは驚異的で、ブロックとスティール合計で135回(リーグ2位)、1試合あたり1.9ブロック(同3位)、シーズン通算80ブロック(同3位)、さらに55スティール(同10位タイ)を記録しています。
一方のウィルソンは、8年目のベテランとして40試合全てに先発し、平均31.2分間プレーしました。彼女の守備数値はさらに圧倒的で、1試合あたり2.3ブロックでリーグトップ、総リバウンド407本、ディフェンシブリバウンド316本と、いずれもリーグ最多を記録。ブロックとスティールの合計は156回に達し、スミスを上回る成績を残しています。特筆すべきは、総スティール数でも64回(リーグ3位)を記録し、インサイドだけでなくペリメーターでも脅威となっていることです。
リンクスは守備効率97.5というリーグ最高の数値を記録し、プレーオフ第1シードを獲得。エーシズも終盤16連勝という驚異的な勢いで第2シードに滑り込み、両チームが守備を軸にプレーオフの上位を占めることとなりました。
対照的なキャリアパスが生んだ守備の頂点
興味深いのは、両選手が全く異なるキャリアを歩んできたという点です。スミスは2019年にドラフト全体8位で指名されてから、着実に成長を重ね、昨シーズンは初めてオールディフェンシブセカンドチームに選出されました。そして今季、リンクスの守備の要として、チームをゴールデンステート・バルキリーズとのプレーオフ第1ラウンドで2-0のストレート勝ちに導き、準決勝進出に貢献しています。
対照的にウィルソンは、すでに2022年と2023年に最優秀守備選手賞を受賞している実績があり、オールディフェンシブファーストチームにも3度選出されている守備のスペシャリストです。さらに驚くべきは、彼女が守備だけでなく攻撃面でも圧倒的な成績を残していることで、今季は総得点937点、1試合平均23.4得点、フィールドゴール成功数332本、フリースロー成功数248本と、いずれもリーグトップの数値を記録しています。
投票結果を見ると、72人のスポーツライターとブロードキャスターからなる審査員団のうち、スミスとウィルソンがそれぞれ29票ずつを獲得。3位のシアトル・ストームのギャビー・ウィリアムズが9票、4位のフェニックス・マーキュリーのアリッサ・トーマスが3票と、上位2人が圧倒的な支持を集めたことがわかります。
リーグの守備レベル向上と今後の展望
今回の共同受賞は、WNBAの守備レベルが新たな次元に達したことを示しています。従来は一人の選手が飛び抜けて優秀であることが多かったこの賞において、2人の選手が甲乙つけがたい成績を残したことは、リーグ全体の競争レベルの向上を物語っています。
特に注目すべきは、両選手が所属するチームがプレーオフの1位と2位を占めていることです。これは守備力がチームの勝利に直結することを改めて証明しており、今後のWNBAにおいて守備特化型選手の価値がさらに高まることが予想されます。若手選手たちにとっても、スミスのように地道な努力で頂点に立つことができるというキャリアモデルは、大きな励みとなるでしょう。
また、ウィルソンが攻守両面で圧倒的な成績を残していることは、現代バスケットボールにおける「トゥーウェイプレーヤー」の重要性を示しています。彼女のような選手が増えることで、WNBAの試合はより戦術的で見応えのあるものになっていくことが期待されます。
両選手には、副賞として各5,150ドルと記念トロフィーが贈られます。金額は決して大きくありませんが、この賞がキャリアに与える影響は計り知れません。スミスにとっては初受賞という新たなキャリアのマイルストーンとなり、ウィルソンにとっては3度目の受賞という偉業達成となりました。
プレーオフが進む中、両チームの守備力がどこまでチームを勝利に導くのか、ファンの注目が集まっています。特に準決勝に進出したリンクスのスミスと、16連勝の勢いに乗るエーシズのウィルソンの直接対決が実現すれば、まさに守備の頂上決戦となることでしょう。今後のプレーオフでの両選手の活躍に、ますます目が離せません。
引用: wnba.com

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