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エーシズが4連勝で3度目の頂点へ、エイジャが史上初の4冠達成でMVP獲得(97-86)

試合展開

エーシズは第1クォーターから圧倒的なペースで試合を支配しました。55%という高いシュート成功率で30-21とリードして第1クォーターを終えると、第2クォーター序盤にはジュエル・ロイド、チェルシー・グレイ、ダナ・エヴァンスが立て続けに3ポイントシュートを沈め、一時19点差まで広げました。エーシズは前半だけで17本中9本の3ポイントシュートを成功させ、これはWNBAファイナルのハーフ記録タイとなりました。興味深いことに、Game 3の前半に続いて2試合連続でこの記録を達成したことになります。

前半終了時点で54-38と16点差をつけたエーシズですが、マーキュリーにとって試合前から厳しい状況が続いていました。サトゥ・サバリーはGame 3終盤の脳震とうで欠場。さらにハーフタイム直前、残り9.2秒でアリッサ・トーマスがロイドの違法スクリーンに巻き込まれ、右肩を押さえて倒れ込みました。トーマスは両肩に関節唇損傷を抱えながらプレーしており、この負傷は深刻に見えました。

それでもトーマスは後半に戻ってきました。第3クォーターでは、さらに衝撃的な出来事が起こりました。残り2分41秒、ネイト・ティベッツヘッドコーチがダブルテクニカルファウルで退場となったのです。ティベッツはモニーク・アコア・マカニに対するファウルの判定に抗議しており、審判のジーナ・クロスの顔に近づきましたが、明確な接触はありませんでした。ティベッツは困惑した表情でコートから退場させられました。

第3クォーター終了時点で76-62と14点差をつけたエーシズでしたが、マーキュリーは第4クォーターでも諦めませんでした。カリーヤ・カッパーを中心に8-0のランを展開し、残り7分56秒に76-70まで詰め寄りました。Game 3では17点差から追いつき、このGame 4でも同様の粘りを見せました。

しかし、ここからエーシズがクラッチタイムの強さを発揮しました。グレイが重要なシュートを次々と決め、エーシズは再びリードを広げていきました。残り1分30秒、カッパーがファウルアウトし、さらにベンチに向かう際にテクニカルファウルを取られました。これによりエーシズが3本のフリースローを獲得し、リードを2桁に戻しました。最終的にエーシズが97-86で勝利し、4-0の完全スイープで優勝を決めました。

注目選手・スタッツ

・エイジャ・ウィルソン(エーシズ):31得点9リバウンド4アシスト3ブロック2スティール。ファイナルMVPを獲得し、シリーズ平均は28.5得点11.8リバウンド2ブロックでした。今季、得点王、レギュラーシーズンMVP、最優秀守備選手賞、ファイナルMVPの4冠を達成した史上初の選手となりました。第1クォーターだけで12得点を挙げ、前半で14得点を記録しました。プレーオフ通算10回目の30得点ゲームはWNBA歴代最多です

・チェルシー・グレイ(エーシズ):18得点4リバウンド4アシスト2スティール2ブロック。第4クォーターで重要なシュートを決め続け、マーキュリーの追い上げを許しませんでした。前半に10得点を記録しました

・ジャッキー・ヤング(エーシズ):18得点7リバウンド8アシスト。オールラウンドなプレーでチームに貢献しました

・ジュエル・ロイド(エーシズ):第2クォーター序盤に3本連続の3ポイントシュートを決め、エーシズの大量リードを築く起点となりました

・カリーヤ・カッパー(マーキュリー):30得点。22本中12本のシュートを成功させ、最後まで戦い続けました。第3クォーターだけで13得点を挙げ、第4クォーターでも11得点を記録しましたが、残り1分30秒にファウルアウトしました

・アリッサ・トーマス(マーキュリー):17得点12リバウンド10アシストでトリプルダブルを達成。ファイナルでのトリプルダブルは史上唯一の3回目となり、プレーオフ通算では6回目のトリプルダブルを記録しました。WNBA史上、他の全選手を合わせても2回しかないという驚異的な記録です。右肩の負傷を抱えながらも後半に戻り、最後まで戦い抜きました

・デワンナ・ボナー(マーキュリー):第4クォーターでテクニカルファウルを取られました

試合後のコメント

試合後、エイジャは巨大なスキーゴーグルをかけ、ピンクのタンバリンを持って記者会見に登場しました。「これは私たちが今感じている喜びの象徴です。感謝しています」と語り、質問への答えが気に入るとタンバリンを振りました。

歴史的な4冠達成について「このクレジットは私が受けるべきものじゃない。これは神の御業です。私とは何の関係もありません。XとOの問題じゃない。これは内側から来るものです」と謙虚に語りました。また、試合後にはマイアミ・ヒートのセンター、バム・アデバヨと抱擁を交わし、「私たちがこれを祝えることは本当に特別です。私たちはこの地点に到達するために必死に働きました。そして今は楽しむ時間です」と感動的なコメントを残しました。

ベッキー・ハモンは「あなたのラシュモア山があるなら、彼女はエベレストに一人で立っています。周りには誰もいません」とエイジャを最大限に称えました。また、「この選手たちは超一流です」と語り、「この優勝は違った意味を持ちます。なぜなら、プロセスが違ったからです」と今季の困難な道のりを振り返りました。1999年から2014年までWNBAでプレーしたハモンは、「エーシズはすでにリーグ史上最高のフランチャイズの一つです。スキルセットとレベルは比較できません。これはどんな偉大なリーグにも当てはまる自然な進化です」と語りました。

マーキュリーのティベッツは退場について率直に語りました。「私にとって、これは恥ずかしいことです。退場させられたことを申し訳なく思っています。この競技に長く関わってきましたが、これは史上最も弱いダブルテクニカルの一つだと思います。2つ目を取られたことすら知りませんでした。理解できません。わざと退場しようとしたわけではありません。私たちはプレーオフの命をかけて戦っていたのです」と悔しさを滲ませました。

一方で、エーシズについては「信じられないチームです。彼らは非常に高いレベルでプレーしていました。私たちは何試合かでチャンスを得る位置につけましたが、彼らのランは凄まじかった。重要なシュートを次々と決めていました」と賞賛しました。

試合中、キャシー・エンゲルバートコミッショナーがフェニックスの観客から大きなブーイングを受ける場面がありました。チャンピオンシップトロフィーとファイナルMVPトロフィーを授与する際、エンゲルバートへの不満の声が響き渡りました。試合後、グレイはこの件について「私たちには素晴らしい選手がいます。そのように扱う必要があります」とコメントしました。

エーシズは8月2日時点で勝率5割だったチームが、そこから16連勝でレギュラーシーズンを終え、プレーオフでシアトル・ストームとインディアナ・フィーバーとの激戦を制し、ファイナルでは圧倒的な強さを見せました。4年で3度目の優勝を果たし、リーグ史上7番目に3回以上の優勝を達成したフランチャイズとなりました。ヒューストン・コメッツ、ミネソタ・リンクス、シアトル・ストームだけが4回の優勝を達成しており、エーシズは次の目標を定めました。

ウィルソンは最後に「良いことは正しい人々に起こる」と締めくくりました。

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