wnbaとは?

WNBA労使交渉が緊迫化、リーグ提案の30日延長を選手会が拒否する可能性―新規参入2チームへの影響も

WNBAとWNBPA(選手会)による労使協定(CBA)の交渉が、予想以上に難航しています。現行のCBAは10月31日に期限を迎えますが、リーグ側が提案した30日間の交渉延長について、選手側は「適切な状況でなければ受け入れない」という強い姿勢を示しています。2019年の交渉時には60日間の延長を経て2020年1月に合意に至りましたが、今回は状況がより深刻化しているようです。

選手会が交渉延長を拒否する理由

ESPNの報道によると、選手会の法律顧問であるエリン・D・ドレイクは、ポッドキャスト「No Offseason」に出演し、「ハロウィンの期限までに合意に至ることはない」と明言しました。この発言は、リーグ側が選手会ほどの努力を払っていないという批判を含んでいます。

選手会側の不満の核心は、リーグが提示する給与・収益分配モデルにあります。選手会は、リーグが「ビジネスのどの部分とも連動しておらず、意図的に選手を過小評価するシステムを繰り返している」と指摘しています。一方、リーグ側は10月1日に提案を行い、選手会が月曜日に回答したと主張しており、選手会が「提案に対して意味のある形で関与していない」と反論しています。

この対立の背景には、リーグの急成長があります。2024シーズンは観客動員数が過去最高を記録し、メディア権料も大幅に増加しました。選手たちは、この成長に見合った収益分配を求めているのです。

エンゲルバート・コミッショナーへの批判が表面化

2024シーズン終了後、選手からリーグ運営への不満が噴出しました。特に注目を集めたのが、ミネソタ・リンクスのスター選手ナフィーサ・コリアーの発言です。コリアーはプレーオフ敗退後のインタビューで、リーグのリーダーシップを「世界最悪」と酷評し、キャシー・エンゲルバート・コミッショナーが選手との関係構築を怠っていると批判しました。

この発言は、WNBPA会長のネカ・オグウミケや執行委員会メンバーのエリザベス・ウィリアムスからも支持を受けました。コリアーのような影響力のある選手が公然とリーグ運営を批判したことは、選手とリーグの間の溝の深さを示しています。

エンゲルバート氏は2019年にコミッショナーに就任して以来、リーグの商業的成長には成功してきましたが、選手とのコミュニケーションについては課題を抱えているようです。今回の交渉においても、選手側が「適切な状況が存在しない」と感じているのは、こうした信頼関係の欠如が影響している可能性があります。

トロント・テンポとポートランド・ファイアへの影響

この交渉の難航が最も大きな影響を及ぼすのが、2026シーズンから参入予定の新規フランチャイズ、トロント・テンポとポートランド・ファイアです。両チームのエクスパンションドラフトは、新CBAの締結まで実施できません。ドラフトルールや日程などの詳細も、全て交渉の結果待ちとなっています。

もしロックアウトが発生すれば、両チームのロスター構築は大幅に遅れることになります。トロントはカナダ初のWNBAチームとして、ポートランドは情熱的なバスケットボールファンを抱える都市として期待されているだけに、この遅延は新規市場への展開にとって大きな痛手となるでしょう。

エクスパンションチームの成功は、既存12チームからどのような選手を獲得できるかに大きく左右されます。ドラフトの延期は、両チームのフロントオフィスが戦略を練る時間を奪い、2026シーズンの競争力に影響を与える可能性があります。

2019年交渉との違いと今後の展望

2019年の交渉では、両者は60日間の延長に合意し、最終的に2020年1月に8年間のCBAを締結しました。当時の合意には、給与の大幅引き上げ、出産・育児サポートの改善、メンタルヘルス支援などが含まれていました。

しかし、今回の交渉は当時とは状況が異なります。リーグの収益は2019年時点よりもはるかに大きく成長しており、選手側の期待値も高まっています。メディア権料の増加や、スポンサーシップの拡大により、リーグの財政状況は大きく改善されています。

選手会が主張する「ビジネスと連動した収益分配モデル」とは、おそらくNBAのような収益シェアリングモデルを指していると考えられます。NBAでは、選手がリーグ収益の約50%を受け取る仕組みが確立されています。WNBAでもこうしたモデルの導入を求めている可能性が高いでしょう。

ロックアウトが現実となれば、2025年シーズンの開幕は延期され、選手もリーグも大きな損失を被ることになります。しかし、選手会が「適切な状況」を強く求めている以上、安易な妥協は避けると思われます。今後数週間の交渉が、WNBAの未来を大きく左右することになるでしょう。

引用:yardbarker

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です