アトランタ・ホークスは10月29日(現地時間)、ブルックリン・ネッツとのアウェーゲームで117-112の勝利を収めました。しかし、この勝利の裏で大きな不安が残る出来事が起こりました。チームの司令塔であるトレイ・ヤングが第1クォーター終盤に右膝を負傷し、試合途中で退場を余儀なくされたのです。
怪我の経緯と試合展開
試合開始からホークスは好調な滑り出しを見せていました。第1クォーター終盤、ヤングはバスケット下でディフェンス中に不運な事故に見舞われます。チームメイトのモウハメド・ゲイがネッツのノア・クローニーから胸を押されてバランスを崩し、後方に倒れ込んだ際、ヤングの右膝に直撃しました。
ヤングは即座に膝を押さえて倒れ込み、明らかに痛みを感じている様子でした。タイムアウト中に立ち上がってベンチに向かいましたが、そのままプレーを続けようとしました。しかし、クイン・スナイダーヘッドコーチはヤングの状態を見て、わずか17秒後に交代を指示。ヤングはそのままロッカールームへと向かい、ハーフタイム前に右膝捻挫として試合への復帰はないと発表されました。
ヤングは退場時点で7分間のプレーで6得点、1リバウンド、1アシスト、1ブロックという成績でした。
ヤング不在の中、ホークスは見事なチームプレーでネッツを退けました。ジェイレン・ジョンソンが23得点(16本中10本成功)でチームを牽引し、ニッケル・アレクサンダー=ウォーカーが18得点、ルーク・ケナードが17得点、オニエカ・オコングが12得点と複数の選手が二桁得点を記録しました。ディフェンス面でもホークスはシーズン屈指のパフォーマンスを見せ、ネッツをフィールドゴール成功率45%、3ポイント成功率29%に抑え込みました。
怪我の状態と今後の見通し
試合後、スナイダーヘッドコーチは記者会見で重要な情報を明かしました。「最も重要なことは、ACL(前十字靭帯)の問題ではないということです。今夜か明日MRI検査を受けて、そこから判断することになります。どのくらいの期間かはまだわかりませんが、できるだけ早く復帰してくれることを願っています」
ACL損傷が否定されたことは、ホークスにとって最大の朗報と言えます。ACL損傷であれば数ヶ月から1年近い離脱を余儀なくされるため、今シーズンの戦いに大きな影響を与える可能性がありました。右膝捻挫という診断は、比較的軽い怪我である可能性を示唆していますが、MRI検査の結果次第では数週間の離脱も考えられます。
スナイダーはヤングの競争心の強さについても言及しました。「彼は試合を離れたくなかった。彼はとても競争心が強い選手で、チームのために常にプレーできることに誇りを持っています。今夜もそうでした。彼は『数分だけ待ってくれ』と言いましたが、私は『良い状態に見えなければ、すぐに交代させる』と伝えました」
ホークスへの影響と対応策
ヤングの不在は、ホークスにとって計り知れない損失です。昨シーズン、ヤングはリーグトップのアシスト王に輝き、1試合平均11.6アシストというキャリアハイを記録しました。さらに平均24.2得点もマークし、チームの攻撃を一手に担う存在でした。今シーズンも開幕から平均20.8得点、9.5アシストという高水準のパフォーマンスを維持していました。
ヤング不在の中、ホークスはどのように対応するのでしょうか。スナイダーは試合後、チーム全体でヤングの穴を埋める必要性を強調しました。「トレイのようなキャリバーの選手、特にボールを持ってオフェンスを組み立てる選手がいなくなることは、私たちが即座に対応しなければならない課題です。ルーク(ケナード)、ニッケル、ダイソン(ダニエルズ)、ジェイレン(ジョンソン)など、誰がプレーするにせよ、重要なことは全員がパスでプレーし、そこから有利な状況を作り出そうとする意志です」
第2ハーフの開始時、スナイダーはヤングの代わりにアレクサンダー=ウォーカーを先発に起用しました。これにより、ホークスは守備的に優れたラインナップを組むことができます。しかし、ヤングが持つ1試合11.6アシストという創造力を単独で補える選手はロスター内に存在しません。
チーム状況と今後の課題
ホークスは今シーズン、大きな期待を背負ってスタートしました。昨シーズンの最優秀守備選手投票で2位となったダイソン・ダニエルズ(オールディフェンシブファーストチーム選出、リーグ最多スティール記録)に加え、オフシーズンにはクリスタプス・ポルジンギスを獲得。昨シーズン、初のオールスター選出に向かっていたものの膝と肩の怪我で36試合しかプレーできなかったジェイレン・ジョンソンも健康状態で復帰しています。さらに、昨年のドラフト1位指名のザカリー・リサシェもシーズン序盤の不調を乗り越え、新人王投票で2位に入る活躍を見せています。
しかし、ここ1週間、ホークスは怪我人の続出に悩まされています。ジョンソン(足首)、リサシェ(足首)、ポルジンギス(インフルエンザ)と主力選手が次々と欠場し、今回のヤングの負傷がそこに加わりました。ネッツ戦前の時点でホークスは1勝3敗と苦しいスタートを切っており、ネッツ戦の勝利で2勝3敗に改善したものの、東地区の競争を考えると主力の長期離脱は避けたいところです。
ヤングにとって、今シーズンは個人的にも重要な意味を持ちます。4度のオールスター選出を誇るヤングは、今オフに4年で最大2億2900万ドル(約338億円)の契約延長の資格を得ていましたが、ホークスからのオファーはありませんでした。現在の契約は2027年まで残っていますが、シーズン前にヤングは延長契約がなかったことに失望を表明していました。
それでも、ヤングはメディアデーで前向きな姿勢を見せていました。「僕は今シーズンにすごく集中しています。チームの状況にとても満足しているし、楽しみにしています。何も心配していませんでした。何かが起こったら起こったで、起こらなかったとしても、僕にはまだ時間があります」
まとめ
トレイ・ヤングの右膝負傷は、ホークスにとって大きな打撃です。しかし、ACL損傷が否定されたことで、最悪のシナリオは回避されました。MRI検査の結果が明らかになるまで正確な復帰時期は不明ですが、チームメイトたちはヤング不在でも勝利を収める底力を見せました。
ホークスは、イースタン・カンファレンスで混戦が予想される中、若手とベテランの融合でダークホース的存在として注目されています。ヤングの早期復帰が期待される一方で、チーム全体での対応力も試されることになるでしょう。今後のMRI検査の結果と、ホークスがヤング不在でどのように戦うかに注目が集まります。
引用:yardbarker

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