クリス・ポール

クリス・ポールに対するクリッパーズの仕打ちは「裏切り」なのか?殿堂入り確実のレジェンドが迎えた衝撃の結末

「ポイント・ゴッド」と呼ばれる男の21年間のNBAキャリアが、最悪の形で終焉を迎えようとしています。12月3日未明、クリス・ポールは自身のInstagramストーリーで「たった今、チームから送り返されることを知った」と投稿しました。投稿時刻は東部時間の午前2時40分。40歳のベテランガードは、アトランタでのロードトリップ中に、深夜の電話で「解雇」を告げられたのです。

「レジェンダリー・クリッパー」への冷酷な仕打ち

わずか4日前のことです。クリッパーズは11月28日、本拠地インテュイット・ドームでポールのキャリアを称えるビデオを上映しました。チームは公式SNSで「CP3は殿堂入り確実のキャリアを、ホームで終える」とハートマークを添えて投稿していました。そしてその4日後、彼らはそのレジェンドをロードトリップの真っ只中に放り出したのです。

ローレンス・フランク球団社長は声明で「クリスはクリッパーズの歴史に残るレジェンドであり、歴史的なキャリアを送ってきた」と述べました。さらに「チームの不振はクリスのせいではない」とも付け加えています。しかし、感謝の言葉と冷酷な行動の間に横たわる深い溝を、ファンは見逃しませんでした。

「Lob City」を作り上げた男の帰還

2011年12月、ポールはニューオーリンズ・ホーネッツからクリッパーズへトレードされました。当初はレイカーズへのトレードが合意されていましたが、当時ホーネッツを所有していたNBAがこれを却下。いわゆる「バスケットボール上の理由」による介入は、今でも論争の的となっています。

結果としてクリッパーズに加入したポールは、ブレイク・グリフィン、デアンドレ・ジョーダンとともに「Lob City」と呼ばれる華麗なオフェンスを構築しました。2011年から2017年までの6シーズン、彼はチームを毎年プレーオフに導き、フランチャイズ史上初の2度のパシフィック・ディビジョン制覇を達成。通算409試合で平均18.8得点・9.8アシスト・4.2リバウンド・2.2スティールを記録し、4,023アシストはいまだにフランチャイズ記録です。

この期間、ポールは5度のオールスター選出と5度のオールNBA選出を受けました。間違いなく、彼はクリッパーズ史上最も偉大な選手の一人です。

「どんな形でも、ここに戻りたかった」

2025年7月、ポールは1年360万ドルのミニマム契約でクリッパーズに復帰しました。40歳を迎える21年目のシーズン、彼はスターターの座を求めませんでした。出場時間の保証も要求しませんでした。

入団会見でポールはこう語っています。「正直に言えば、どんな手段を使ってでもここに戻ってプレーしたかった。チームがどんな状態でも構わなかった。ただ家に帰り、クリッパーズの一員でいたかった」

11月22日、シャーロットでの試合前に、ポールは今シーズン限りでの引退を発表しました。クリッパーズのユニフォームを着て、キャリアを終えたかったのです。その願いは、わずか6週間で粉々に砕かれました。

数字で振り返る「ポイント・ゴッド」の偉業

ポールのキャリア通算成績は圧倒的です。

  • 通算アシスト12,532本(NBA歴代2位、1位はジョン・ストックトン)
  • 通算スティール2,727本(NBA歴代2位、同じくストックトンに次ぐ)
  • 12度のオールスター選出
  • 11度のオールNBA選出(ファーストチーム4回)
  • 9度のオールディフェンシブチーム選出
  • スティール王6回(NBA史上最多)
  • アシスト王5回
  • NBA75周年記念チーム選出

プレーオフでは通算平均20.0得点・FG48.4%と、レギュラーシーズン以上のパフォーマンスを発揮してきました。10得点10アシスト以上のダブルダブルは、プレーオフ歴代5位の回数を誇ります。

唯一欠けているのは、チャンピオンリングだけです。2021年にサンズで初めてNBAファイナルに進出しましたが、バックスに敗れました。

チーム崩壊の中で―今季のクリッパーズ

今季のクリッパーズは5勝16敗と、予想を大きく下回る成績に沈んでいます。ノンガベージタイム(試合の勝敗が決まっていない時間帯)のディフェンシブレーティングはリーグワースト3位。カワイ・レナードの負傷、ジェームズ・ハーデンの不調、チーム内の不和など、問題は山積みです。

ポール自身の数字は、14試合で平均2.9得点・3.3アシスト・14.2分出場。11月中旬には5試合連続でベンチ外となる屈辱も味わいました。40歳のベテランに多くを期待するのは酷かもしれませんが、彼の存在がチームの問題の原因ではないことは明白です。

「美しい結末」を奪われたレジェンド

NBAは残酷なビジネスです。誰もが望む形でキャリアを終えられるわけではありません。しかし、クリッパーズがポールに対して行ったことは、単なるビジネス以上の問題を孕んでいます。

もし両者が合意の上で別れるなら、それは理解できます。惨憺たるシーズンを最後まで共に過ごすことが難しいなら、話し合いで解決する方法もあったはずです。しかしクリッパーズは、ロードトリップの真っ只中、深夜に電話一本で「送り返す」という選択をしました。

ポールは12月15日までトレードできません。ウェーバー(契約解除)にするか、バイアウト(契約買取)に応じるか、あるいは別のチームへのトレードを模索するか。選択肢はいくつかありますが、いずれにせよ「クリッパーズのユニフォームでキャリアを終える」という夢は消えました。

ポールの次なる一歩

現時点で、レイカーズやウォリアーズがポール獲得に興味を示しているという報道があります。しかし40歳のポイントガードにとって、シーズン途中での移籍は容易ではありません。ロスター枠、サラリーキャップ、そしてチーム内での役割など、考慮すべき要素は多岐にわたります。

それでも、ポールほどのレジェンドが、このような形でキャリアを終えるべきではないでしょう。NBA史上最高のポイントガードの一人が、最後に求めたのは「家族のそばでプレーすること」だけでした。クリッパーズは、その小さな願いすら叶えることができなかったのです。

フランチャイズ史上最高の選手を辱めることで、クリッパーズは自らを辱めました。ポールの殿堂入りは確実ですが、クリッパーズがこの汚点を拭い去るには、長い時間がかかるでしょう。

引用: cbssports

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です