ケイトリン・クラーク

WNBAのテレビ視聴が前年比12%増、しかし上位7中継はすべてフィーバー絡み──新TV契約1年目の前半戦が突きつけた本当の課題

 

オールスターウィークエンドが終わり、WNBAの前半戦の通信簿がそろいました。新しいテレビ放映契約に切り替わった1年目、リーグ全体のテレビ視聴はオールスターブレイク時点で前年比12%増だったと報じられています。ここ数週間、話題の中心はコート外ばかりでした。ケイトリン・クラークをめぐる報道の過熱、そしてコミッショナーであるキャシー・エンゲルバートの去就問題です。それでも数字はまったく別のことを語っていました。ただ、筆者がいちばん引っかかったのは伸び率そのものではなく、その内訳のほうです。

局別に見ると、前半戦のテレビ中継で何が起きていたのか

この数字を伝えたのはSports Business Journalのオースティン・カープで、新放映契約に参加した各パートナーを合算した結果、リーグ全体でおよそ12%の伸びになったと整理されています。牽引したのはNBCでした。放送したのはまだ4試合だけですが、その平均が150万人。放送本数が少ないぶん看板カードに集中している面はあるものの、平均値としては頭ひとつ抜けています。

続くCBSとABC/ESPNも、1試合平均で100万人をしっかり超えました。一方でUSAネットワーク、ION、プライムビデオは平均50万人前後です。つまり同じWNBAの試合でも、どの局に載るかで見られ方が3倍前後変わるという構造が、契約1年目にしてすでにはっきり出ているわけです。

個別の中継で最も見られたのは、7月12日のインディアナ・フィーバー対ラスベガス・エーシズ(NBC)で260万人。そしてフィーバーが絡まない試合での最高は、6月28日のエーシズ対シカゴ・スカイ(CBS)の150万人でした。王者エーシズが出ている好カードであっても、フィーバーが入るかどうかで110万人の差がつく。これが2026年前半戦のリアルな数字です。

12%という伸びを、どの高さから測るか

ここで大事なのは、この12%が「低い場所からの倍増」ではないという点です。WNBAの視聴はすでに数年連続で跳ね上がり続けており、その高くなった土台の上にさらに1割強を積み増したことになります。伸び代が残り少ないと言われがちな水準からの上積みは、率の見た目以上に価値があります。

元記事は、健康なクラークと新しいテレビ契約の組み合わせが今回の上昇を後押ししたと指摘しています。裏を返せば、昨季はクラークの離脱によって数字が削られていた期間があったということでもあります。そこからの反発と、放送枠の質そのものが底上げされた効果。この2つが重なった前半戦でした。

そしてもう一点、見逃せない事実があります。オールスター週末のリーグは、決して良いムードではありませんでした。クラークをめぐる報道疲れの議論が広がり、エンゲルバートは2027年も職にとどまるのかという問いに明言を避け、退任論がくすぶり続けています。それでもテレビの数字は落ちませんでした。ファンはリーグの内輪の事情ではなく、コートの上を見に来ているということです。

一極集中は成功なのか、それとも先送りされた宿題なのか

上位7中継がすべてフィーバー絡みだった、という一行こそが今回の本質だと筆者は考えます。スター選手が牽引するのはどのリーグでも同じですが、上位を1チームが独占するというのは集中度としてかなり極端です。放映権パートナーから見れば、収益予測がフィーバーの日程と主力の体調に強く連動してしまうことを意味します。

この構造には期限もあります。後半戦でフィーバーが失速したり、プレーオフで早期に姿を消した場合、9月以降の数字が前半戦の勢いをそのまま維持できるとは限りません。逆に言えば、リーグが次に取り組むべきは「フィーバー以外のカードで100万人を超える」中継をどれだけ増やせるかという一点に尽きます。6月28日のエーシズ対スカイが150万人を集めた事実は、その芽が確かにあることを示しています。

後半戦は、視聴という意味でも試されるシーズンになります。ダラスのペイジ・ベッカーズ、ミネソタ、ニューヨーク、アトランタ。全国放送で数字を取れるカードが複数生まれたとき、WNBAの成長は一人の選手への依存から一段階抜け出すことになります。12%という数字は、その課題を隠してくれる便利な数字でもあるのです。

後半戦の見どころと放送情報

フィーバーは7月28日(日本時間29日)にシアトル・ストームとの一戦で後半戦をスタートし、この試合はESPNで中継されます。ここから始まるロードの3連戦、そして8月に入ってからのトレード期限の動きが、後半戦の視聴数字を大きく左右していくはずです。数字の続報は、シーズンが進んだところで改めて確かめたいところです。

引用:https://awfulannouncing.com/wnba/first-half-ratings-up-new-tv-deal.html

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