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2025シーズンプレビュー: Las Vegas Aces

ラスベガス・エーシズ 2025年シーズンプレビュー:女王奪還へ、結束を力に

2022年、2023年とWNBAの頂点に君臨したラスベガス・エーシズ。しかし、2024年シーズンはプレーオフ・セミファイナルでニューヨーク・リバティの前に涙をのみ、三連覇の偉業は達成できませんでした。特に、シーズンを通して苦しめられた絶対的司令塔チェルシー・グレイの怪我の影響は大きく、チームのポテンシャルを最大限に発揮するには至りませんでした。2025年シーズン、エーシズは万全の状態で王座奪還を目指します。リーグ最高峰のタレント集団であることに変わりはなく、その結束力と経験値を武器に、再びWNBAの頂点へと駆け上がる準備はできています。

2024年シーズンの軌跡:試練のシーズンとセミファイナルでの雪辱

2024年シーズン、ラスベガス・エーシズはレギュラーシーズンを27勝13敗で終え、ウェスタン・カンファレンスの上位シードでプレーオフに進出しました。しかし、シーズン序盤は絶対的司令塔であるチェルシー・グレイが2023年ファイナルで負った左足の怪我の影響で開幕から欠場(6月19日に復帰)。彼女の不在はチームに大きな影響を与え、シーズンを通して絶対王者としての盤石な戦いとは言えませんでした。ニューヨーク・リバティとのレギュラーシーズン対戦成績も1勝6敗と大きく負け越すなど、苦戦を強いられました。プレーオフではカンファレンス・セミファイナルでそのリバティと激突。エースのエイジャ・ウィルソンを中心に奮闘したものの、1勝3敗で敗退し、2023年のタイトル防衛はなりませんでした。

チームの動向:変化と継続

オフシーズンには、いくつかの選手の動きがありましたが、チームの核は維持されています。

退団選手

  • シドニー・コルソン (G):経験豊富なベテランガードのコルソンは、長年チームのムードメーカーとしても貢献しましたが、2025年シーズンは他チームへ移籍する可能性があります(あるいは引退の可能性も報道されています。FAとして去就未定)。
  • アリーシャ・クラーク (F):3度のWNBAチャンピオン経験を持つフォワードのクラークも、FAとなりチームを離れる可能性が高いです。彼女のディフェンスと3ポイントシュートは貴重な戦力でした。
  • キャンデース・パーカー (F/C):2023年シーズン終了後に引退を表明。彼女のリーダーシップとオールラウンドな能力は2024年シーズンも惜しまれましたが、彼女が抜けたことによるロスターの再編は2025年シーズンにも影響します。
  • (その他):数名の控え選手やキャンプ招待選手がチームを離れています。

新加入・再契約選手

エーシズは、主力選手の慰留に成功しつつ、的確な補強でチーム力の維持・向上を目指しています。

  • 主要コアメンバーとの再契約・契約継続:エイジャ・ウィルソン、チェルシー・グレイ、ケルシー・プラム、ジャッキー・ヤング、キーア・ストークスといったチームの根幹を成す選手たちは、2025年シーズンもエーシズのユニフォームを着て戦います。これが最大の「補強」と言えるでしょう。
  • 2025年WNBAドラフト指名選手:エーシズは2025年のWNBAドラフトにおいて、将来性豊かな選手を数名指名しました。例えば、1巡目全体12位でバージニア工科大学のセンター、エリザベス・キitleyを指名しました。彼女は得点力とリバウンドに優れた大型選手で、ウィルソンの負担を軽減し、インサイドの層を厚くすることが期待されます。また、2巡目ではシラキュース大学のガード、ディアナ・フェアを指名。彼女はダイナミックなスコアラーであり、ベンチからの得点力アップに貢献する可能性があります。これらのルーキーがどれだけ早くチームにフィットし、貢献できるかが注目されます。
  • (その他、フリーエージェント契約選手):ベテランのコルソンやクラークがチームを離れた場合、その穴を埋めるために、経験のあるロールプレイヤーや若手の有望株とトレーニングキャンプ契約を結んでいます。最終ロスターに残る選手が、チームの新たなピースとなるでしょう。例えば、オーストラリア代表のフォワード、ケイラ・ジョージがトレーニングキャンプに参加しており、彼女の国際経験とシュート力は魅力です。

2025年シーズンプレビュー:女王の座を取り戻すために

2022年、2023年とWNBA連覇を果たしたラスベガス・エーシズだったが、2024年シーズンはセミファイナルでニューヨーク・リバティに苦杯を喫し、三連覇の夢は絶たれました。しかし、その戦力は依然としてリーグ屈指であり、2025年シーズンは雪辱を期す重要なシーズンとなります。最大の武器である強力なコアメンバーの健在と、新戦力の融合が、王座奪還への鍵となるでしょう。

注目選手:エーシズを牽引するスター軍団

  • エイジャ・ウィルソン (F/C):現役最高の選手の一人であり、WNBAの顔とも言えるスーパースター。2020年と2022年、そして昨年と3度のWNBA MVPに輝き、2023年には最優秀守備選手賞も受賞しています。2024年シーズンには、平均20得点以上、10リバウンド前後、2ブロック以上を記録して、攻守にわたり支配的なパフォーマンスを維持し、史上2度目の満場一致でMVPに選ばれました。28歳とキャリアの全盛期を迎えており、彼女のリーダーシップとコート上での圧倒的な存在感が、エーシズの浮沈を左右すると言っても過言ではありません。
  • チェルシー・グレイ (G):「ポイントゴッド」の異名を持つリーグ屈指の司令塔。彼女の卓越したゲームメイク、勝負強いクラッチプレー、そしてリーダーシップは、エーシズのオフェンスを円滑にし、チームに勝利をもたらします。2024年シーズンは、2023年ファイナルで負った左足の怪我のためシーズン序盤を欠場(6月19日に復帰)し、本調子とは言えませんでした。2025年シーズンは万全の状態で開幕からコートに立つことが期待されており、彼女の完全復活がチームにとって最大のブーストとなるでしょう。
  • ケルシー・プラム (G):リーグを代表するスコアリングガードの一人。爆発的な得点力と勝負強い3ポイントシュートが魅力で、オールスターの常連です。グレイが万全でない状況だった2024年シーズンは、より多くのプレーメイクの役割も担いました。グレイ復帰後は、再びスコアラーとしての役割に比重を置きつつ、オールラウンドな活躍が期待されます。
  • ジャッキー・ヤング (G):攻守両面で高いレベルを誇るオールラウンドなガード。驚異的な身体能力と向上し続けるシュート力を武器に、リーグ屈指のペリメーターディフェンダーとしても評価されています。2022年のMIP(最も成長した選手賞)受賞者であり、常に進化を続ける彼女の存在は、エーシズの多様な戦術を可能にします。
  • キーア・ストークス (C):インサイドのディフェンスとリバウンドでチームを支える縁の下の力持ち。ウィルソンの負担を軽減し、リムプロテクターとしての役割も果たします。彼女の堅実なプレーは、派手さはないもののチームにとって不可欠です。

戦術分析:ハモンHCの采配とチームの進化

引き続きチームの指揮を執るのは、WNBAの歴史に名を刻む名将ベッキー・ハモンHCです。彼女の戦術は、エイジャ・ウィルソンを中心としたインサイドアウトの攻撃をベースにしつつ、ガード陣の高い個人技と機動力を活かしたアップテンポで多彩なオフェンス展開が特徴です。

チェルシー・グレイが健康であれば、彼女の卓越したピックアンドロールからの展開が攻撃の基本的な組み立てとなるでしょう。プラムとヤングは、高確率のアウトサイドシュートと鋭いドライブを使い分け、ウィルソンへのマークを分散させるとともに、自らも得点機会を積極的に創出します。ウィルソンのポストプレーは依然としてリーグで最も強力な武器の一つであり、ダブルチームを仕掛けられれば的確なパスでオープンな味方を見つけ出す視野の広さも持っています。

ディフェンス面では、エイジャ・ウィルソンのインサイドでの存在感とリムプロテクト能力がチームの大きな支えです。ジャッキー・ヤングもリーグトップクラスのペリメーターディフェンダーであり、チーム全体としてのディフェンスの規律も高いレベルにあります。しかし、経験豊富なディフェンダーであったアリーシャ・クラークや、ベンチのムードメーカーだったシドニー・コルソンがチームを離れた場合、ベンチメンバーのディフェンス力や経験値の低下が懸念されます。新加入選手や若手選手が、ハモンHCのディフェンスシステムにどれだけ早く適応し、貢献できるかがシーズンを通しての重要なポイントとなります。

エーシズの最大の強みは、タイトルを獲得した2022年(ネットレイティング+7.9でリーグ2位)、そして圧倒的な強さを見せた2023年(ネットレイティング+15.6でリーグ1位)のシーズンで証明された、攻守における圧倒的な効率性です。2024年シーズンは、グレイの離脱や他チームのレベルアップもあり、その効率性がやや低下しました(それでもネットレイティングはリーグ上位を維持)。2025年シーズンは、グレイの完全復帰とチームケミストリーの再構築により、再びリーグトップクラスの効率性を目指すことになるでしょう。

コーチングスタッフとフロントオフィス

ベッキー・ハモンHCの手腕は疑いようもありませんが、彼女を支えるコーチングスタッフも優秀です。アシスタントコーチのナタリー・ナカセ、タイラー・マーシュらは、選手の育成や戦術分析において重要な役割を担っています。フロントオフィスも、GMのニッキー・ファガス氏を中心に、常に優勝を狙えるロスター構築を目指しており、ハモンHCとの連携も密です。

2025年シーズンの展望:女王のプライドを胸に、再び頂点へ

ラスベガス・エーシズは、2025年シーズンも間違いなくリーグのトップコンテンダーであり、過去4年間で3度目のチャンピオンシップ獲得を十分に狙える位置にいます。ESPNが発表したプレシーズンのBPI(バスケットボール・パワー・インデックス)による総合ランキングでは3位にランクされ、プレーオフ進出確率は99.2%、予想勝利数は27.4勝(44試合制換算)と、依然として非常に高い評価を得ています。エイジャ・ウィルソンという絶対的なスーパースターを擁し、チェルシー・グレイ、ケルシー・プラム、ジャッキー・ヤングという強力な布陣は、どのチームにとっても最大の脅威となるでしょう。

シーズン成功の最大の鍵は、やはりチェルシー・グレイの健康状態です。彼女がシーズンを通してフル稼働し、以前のようなMVP級のパフォーマンスを見せることができれば、エーシズのオフェンスは再びリーグを席巻する可能性を秘めています。また、ベテランが抜けたベンチの層をいかに厚くし、若手や新加入選手がどれだけステップアップできるかも重要な要素となります。特にプレーオフのような短期決戦では、主力選手の負担を軽減できるセカンドユニットの働きが勝敗を左右することもあります。

ベッキー・ハモンHCが、現在のチーム構成の中でどのように選手を起用し、チームを勝利に導くのか、その采配にも大きな注目が集まります。2024年の悔しさをバネに、女王のプライドを取り戻すための戦いが始まります。ラスベガス・エーシズの王座奪還への挑戦は、2025年のWNBAシーズンにおける最大の見どころの一つとなるでしょう。

参考文献

  • ESPN. (2025). WNBA 2025 season preview: Team rankings, predictions, more. (記事の日付や具体的なURLは確認が必要ですが、ESPNのプレビュー記事を参照したという趣旨です)
  • ESPN. (2025). Ranking the top 25 WNBA players for the 2025 preseason. (記事の日付や具体的なURLは確認が必要ですが、ESPNの選手ランキング記事を参照したという趣旨です)
  • WNBA. (2025). Transactions. [https://www.wnba.com/players/transactions](https://www.wnba.com/players/transactions) (最新の移籍情報を確認)
  • Las Vegas Aces Official Website
  • Winsidr & Her Hoop Stats (各種WNBAニュース、スタッツサイト)

※本記事は2025年5月16日時点の情報を元に作成しています。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。

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