wnba エクスパンション

「まるで夢のよう」6年ぶりのWNBA復帰は母国カナダの新チームだった──35歳アレクサンダーとテンポが紡ぐ感動の物語

 

WNBA参入1年目のトロント・テンポに、リーグ30年目のシーズンを象徴するような心温まる物語が生まれています。The IX Sportsが7月17日(現地時間)に公開したインタビュー記事で、6年ぶりにWNBA復帰を果たした35歳のカイラ・アレクサンダーが、母国カナダのチームでプレーする喜びを語りました。短期のハードシップ契約という限られたチャンスを、キャリアの集大成ともいえる舞台に変えたベテランの言葉には、拡張時代を迎えたWNBAの変化が凝縮されていると感じました。

6年ぶりの復帰戦は、2万人超の歴史的な一夜でした

アレクサンダーが最後にWNBAのコートに立ったのは、実に6年前のことです。インサイドの層の薄さに悩み、ベテランのリーダーシップを求めていたテンポが、7日間のハードシップ契約で彼女を呼び寄せました。注目すべきは、その復帰の舞台です。モントリオールのベル・センターで行われた一戦には2万人を超える大観衆が詰めかけ、WNBAレギュラーシーズンの観客動員記録を更新しました。アレクサンダーはこの歴史的な試合で約10分間の出場機会を得ています。チームは敗れたものの、彼女は「まるで夢のようで、今はただこの機会に感謝しています」と率直な思いを口にしました。トロントから約1時間の町で育った彼女にとって、母国のチームでプレーすること自体が、かつては想像すらできない未来だったのです。

2019年に絵本へ記した「夢」が現実になるまで

彼女が前回WNBAでプレーしていた頃、リーグはカナダ進出とは正反対の状況にありました。パンデミックの渦中で運営の集約化を迫られ、国外への拡張を語れる空気はまったくなかったのです。アレクサンダー自身も「2019年の私が今日の光景を見たら、きっと腰を抜かしていたでしょう」と振り返っています。その2019年、彼女は自ら文章と絵を手がけた子ども向け絵本『The Magic of Basketball』を出版しました。努力することと夢を追うことの大切さを説き、巻末には読者が自分の夢を書き込める空白のページを設けた一冊です。彼女自身の大きな夢だった五輪出場は、2021年開催の東京五輪でカナダ代表として実現しました。そして今回、母国のWNBAチームでプレーするという、当時は書き込むことすらできなかった夢までも現実にしたのです。

ブロンデロが評価した経験値と、テンポにもたらすもの

サンディ・ブロンデロヘッドコーチは「彼女は経験豊富で、長くこのリーグでプレーしてきた選手です」と起用の理由を説明しています。カナダ国籍のためビザ手続きが不要という実務面の利点もありますが、本質は海外リーグや代表戦で積み上げてきた実績への信頼でしょう。拡張1年目のテンポは若いロスターの浮き沈みが課題で、終盤の失速が指摘される試合も続いています。勝敗を超えて、ロッカールームに落ち着きをもたらすベテランの存在価値は決して小さくありません。さらに彼女の復帰は、育成の観点でも象徴的だと考えます。「これからトロントで育つ少女たちは、女子プロバスケのチームがない時代を知らずに済むのです」という言葉どおり、身近なロールモデルの存在は、次世代のカナダ人選手を確実に増やしていくはずです。

今後の試合・観戦情報

テンポは現在、アトランタ・ドリーム戦を含むシーズン中盤の正念場を迎えています。また来週にはシカゴでオールスターゲームが開催され、リーグ全体が祝祭ムードに入ります。ハードシップ契約の行方は流動的ですが、アレクサンダーがこのままロスターに残り、トロントのホームであるコカ・コーラ・コロシアムで大声援を受ける姿をぜひ見たいところです。

引用:https://www.theixsports.com/features/tempos-alexander-on-return-to-wnba-and-playing-in-canada/

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です